前回、単身赴任元の病院(全摘手術をした病院)の形成外科でLVA手術の名手がいる大学病院の先生を紹介してもらった(「200 形成外科でリンパ浮腫を相談してみた」)が、今日、準備してもらった紹介状を携えて大学病院へ行ってきた。

大学病院の予約は9時30分だ。
自宅から歩けば15分の距離だが、汗びっしょりかいて病院まで行きたくなかったのでタクシーを使った。
大学病院には以前に、男性乳がんの遺伝子検査の相談(「75 男性乳がんなので、遺伝子カウンセリングを受けてきた」)で訪れたことがあり、その時に診察券を発行していたので受付はスムーズだった。

形成外科の受付で問診票を書いて約15分後、マイクで診察室に呼ばれた。
担当の先生は40歳くらいのメガネをかけた男性で、白衣は着ておらず、お世辞にもおしゃれとは言えない茶色のチェック柄のシャツを着ていた。
他にもナースや助手の先生など3人ほどの医療関係者がいたが、彼らはそれぞれの制服を着ている。

参考までにLVAの名手のプロフィールを病院のHPから転載しておく。
○ 専門領域
・形成外科一般・顔面・頭頸部の形成・再建外科・血管・神経・リンパ管のマイクロサージャリー
○ 資格等
・日本形成外科学会専門医・日本創傷外科学会専門医・日本レーザー医学会専門医・日本がん治療認定医機構認定医・臨床研修指導医(厚生労働省)

最初に僕の既往歴や手術や副作用のこと、浮腫に気づいた時のことなどを問診され、電カルに打ち込んでいく。
次にカーテンが引かれたベッドに上半身を脱いで横になると、看護師さんが左右の腕の太さを計測していき、カーテンの向こう側にいる先生に数値を伝える。
聞いているとどうやら3センチほど左右差があるようだ。(今日の浮腫は全然ましなほうだ。)
計測が終わると再び先生の前に座り、先生のお話をお聞きすることになった。

1 LVA手術について
・ たいちさんほどの浮腫ならやってみても価値があるのではないかと思う。
・ 昔からある手術法だが、他の先生がこの手術を渋るのは先生自身の技術的な問題と、医療器具の問題(細密な針や糸、顕微鏡などが当時はなかった)があり、完全な成功例が少なかったからだと思う。
・ 当院(というか、先生自身が執刀する)なら40分から1時間程度の日帰り手術で、当然入院の必要はない。
・ 手術後は普通にパソコンなどの軽作業をしていただくこともできる。
・ 短時間の手術なのでバルーンは挿入しないが、ご希望なら挿入することはできる。(とんでもない!)
・ LVA手術ができる病院というのは設備の関係で限られるのだが、この大学病院ではもちろんできるし、全摘手術を受けられた病院にも設備があるので手術することは可能だ。
・ 現に週2~3回程度、出張して手術に行っている。

2 重いものを持つことやウェイトトレーニング、サウナや熱いお風呂に入ることについて
・ 運動やお風呂で血流がよくなるということは、動脈を通って血液が盛んに運搬されるということだ。
それに比べると静脈はそこまで活発に動く血管ではないので、結果的にリンパ液が溜まるという現象が起こるが、適切にリンパドレナージなどを行えばこれは解消することができる。
長い目で見れば全く運動しないよりも運動して筋肉を鍛えたほうが流れがよくなるので、適切にケアをするならば積極的に運動したほうがいいと考える。

3 リンパドレナージ、圧迫療法に効果はあるのか?
・ 理論的にみて間違っていることはしていないと考える。

4 LVA手術の効果のほどは?
・ 個人差があり、よく効果が出る人とそうでない人がいるのは事実だ。

5 リンパシンチグラフィーについて
・ 各都道府県で病院への設置台数の制限があり、保険が効かないなどの不合理な制度があるのでよっぽどひどい人じゃないとリンパシンチはやらないのが一般的だ。
・ また造影剤の注射がとても痛いこともあり、たいちさんの腕の状態なら行う必要がないと考える。

6 LVAは早く受けたほうがいいのか?
・ 極端に慌てる必要はないが、5年くらい経過すると血管やリンパ管の形が変わったりもろくなったりする可能性があるので、特別な理由がないなら速やかに受けたほうがいいだろう。

だいたい以上のようなお話だった。
先生のお話はネット上で調べていた情報とは違っていて、僕が心配していた
・ 入院期間は少なくとも2週間程度
・ リンパシンチでリンパの道が開けるかどうか確認する
・ バルーンを挿入する
というようなことは、この先生の場合はなさそうだ。
特に驚いたのは、日帰りで1時間程度で手術が終わるとの話だった。
それならばすぐにでも受けて帰りたい気持ちになったが、とりあえずよく考えてみて、全摘手術を受けた病院の形成外科医と相談して結論を出すということで、診察室を後にした。

さて、手術をどうするか。。。

1時間程度で終わる日帰り手術でも、高額療養費制度を使ったとしても10万円くらいはかかるだろう。
僕の場合は単身赴任手当によって年収が増えているので、最高額の自己負担になる可能性がある。
そして何よりも・・・せっかく手術を受けても無駄になってしまわないかという心配だ。
この心配事には二つあって、一つは手術の効果が芳しくなく失敗に終わることで、もう一つは僕が長生きできなかったら・・・ということだ。
実はこのことでは、妻と口論になってしまった。
妻曰く、僕は「自分のことしか考えておらず、後ろ向きにしか物事を考えない」ということらしい。

日曜日に単身赴任先に帰る予定にしているが、全摘手術をした病院の形成外科医には早々に結論を伝えにいかなければならない。
まだ時間的な猶予はありそうなので、手術についてはもう少しよく考えてみることにしたい。