先生に動画の撮影を始めるようにと言われたので、持参してきたカメラの電源を入れた。
最初はリンパドレナージからだ。
前処置と言われるリンパの道を作ってあげるやり方を教えてもらう。
〇 肩回し
〇 腹式呼吸
〇 健側の右腕や下肢にリンパ液が流れるようにマッサージ

続いて患側の腕のマッサージに移る。
ドレナージのやり方は手術を受けたリンパ浮腫外来を受診した時に、静岡がんセンターのDVDをお借りして正しいやり方をマスターしたつもりだったが、2年経つうちにどうも自己流になっていたようだ。
今回もう一度先生に正しいやり方と僕の症状に合ったマッサージを教わると、患側の腕に貯まっていたリンパ液がさーっと音を立てて流れるかのように左腕が楽になった。

ここからリンパドレナージの真骨頂である圧迫療法を教わる。
圧迫療法で使う包帯は4種類6本ある。
〇 筒状包帯
〇 指用包帯
〇 綿包帯
〇 ショートストレッチ包帯(6㎝、8㎝、10㎝)

 

これら包帯の巻き方を順番に実践する。
そしておおよそ1時間かけて仕上がったのが、まさしくネットで見た画像のとおりだった。

先生の言う複合的理学療法は、
〇 スキンケア
〇 医療リンパドレナージ
〇 圧迫療法
〇 運動療法
を組み合わせてその効果を高めるもので、一つ欠けても治療が成り立たないとのことだった。
この浮腫んだ左腕を集中的に細くするためには、お風呂に入る時以外24時間、4週間を目安にこの状態で過ごさないといけないらしい。

しかし・・・、僕は困惑してしまった。
〇 この状態でどうやってYシャツとスーツを着て会社に行ったらいいのか。
〇 この姿を会社の上司や同僚になんと説明すればいいのか。
〇 仕事は事務作業が主だが、こんな腕では仕事をうまくこなす自信がない。
〇 朝の洗顔や髭剃りなど、日常生活はどうしたらいいのか。

次から次へと何層にも巻く包帯に茫然としたまま今日の治療が終わった。(圧迫療法は弾性包帯で腕を締め付けるような巻くのではなく、包帯を何重にも重ねて圧迫するのが正しいそうだ。)

巻かれた包帯の上から準備してきた大き目の長袖の上着を着て、お会計を済ませる。
包帯の購入料も含め、今回は20,000円弱だった。

伺う前の期待から来る高揚感とは逆に、こんな状態で帰路につく自分がとっても哀れに感じて足取りはずっしりと重かった。

帰りは自宅近所の馴染みのインド料理屋さんで夕食をとったが、ネパール人の店長が目ざとく僕の上着の袖から出た指の包帯を見て、「けんかしたのー?」と笑いかけてきた。
「いやいや、少し捻挫してしまってねー。。。」と、面白い返しもできずに咄嗟に出た嘘をつく。

自宅に帰ってから腕の包帯を取りたい衝動をぐっと我慢し、その晩は風呂にも入らず早々に布団に入った。

翌日、目が覚めた僕はシャワーを浴びようと包帯を一つ一つ腕から外していった。

(↓完成形。この状態で寝た。)



(↓上肢のショートストレッチ包帯を手首まで取ったところ。下から白い綿包帯が見える。 )


 

(↓手首のショートストレッチ包帯を取ったところ。綿包帯が巻かれている状態。 )


 

(↓ 綿包帯を取ったところ。上肢に筒状包帯が、手には指包帯が巻かれている。)


 

(↓ 筒状包帯を取ったところ。手には指包帯が巻かれている。)


 

(↓ 全部取れました。)