僕は子供の頃から注射というものが大っ嫌いで、社会人になってからも年に1度に受ける会社の健康診断の採血ですら1年前から憂鬱になるほどだった。
しかしまあこの病気になってから約2年間、きっともう100回近くは穿刺されていると思うが、そうなると注射嫌いの僕もさすがに慣れてきて、自ら進んでインフルエンザの予防接種を受けるほどにまで成長した。
病気になってから今回で3回目のインフルエンザの予防接種になるのだが、これを打ってもらうには医師の診断が必要となる。
大学病院に転院したので、今の主治医である教授先生に予防接種のことを相談すると「そういうのは違う病院でやってもらってください」とにべもなかった。
血液腫瘍内科でお願いしたのがいけなかったのか、教授というプライドがそう言わせたのか、大学病院ではインフルエンザの予防接種をやっていないのかよく分からないが、テレビドラマのドクターX風に言うと「白衣の権威」を垣間見たような気がした。
仕方がないので大学病院でインフルエンザの予防接種はあきらめ、手術を受けた病院の前の主治医を訪ね、近況報告を兼ねてGOサインを出してもらって注射してもらった。
さて、以前から僕のブログを読んでいただいている方は、僕がアブラキサンの副作用と思われる陥入爪に悩まされ、「陥入爪」というテーマだけで7回にわたって記事をアップし、過去2度にわたって手術を受けたことを覚えていらっしゃることだろう。
陥入爪の最新記事は、2016.1.12に単身赴任先のクリニックで手術を受けた「54 激痛!陥入爪手術(その7)「術後(新クリニックにて)」」が最後だけど、闘いは今も依然続いており、その後は経過観察という名のもとに激痛と膿出を繰り返しても静観され、毎日絆創膏を貼って今日に至っているのが現状である。
クリニックの先生も陥入爪のことは一度は手術をしてくれたものの、訴えても「仕方ないねー」と、ロキソニンしかくれなかった。
単身赴任が終わって大学病院に転院し、教授に過去に受けたケモの副作用で陥入爪になり、今でも膿出を繰り返していることを話すと、「今後ケモする時に膿出があるのはよくないねぇ・・・一度皮膚科で診てもらいなさい」というお話が出た。
おお、これでひょっとしたら陥入爪の激痛から解放されるかもしれない!と喜んだのも束の間、別の不安がモクモクと湧き出てきた。
それは・・・。
僕が手術を受けた前の病院でまだケモを施行中のころ、陥入爪で悩んでいることを主治医やがん化学療法認定看護師に訴えて皮膚科を受診した時、ケモが原因で陥入爪になっているものは手術の適用外だと、軟膏だけを処方して強引に終診にした医師がいた。
主治医やがん化学療法認定看護師に皮膚科医が「何もしてくれなかった」ことをお話すると、看護師は直談判しに行ってくれ(撃沈されたけど)、主治医は院内紹介状まで書いてくれ、セカオピの先生の意見も添えてやっとのことで再診察にこぎつけ、ようやく切ってくれたということがあった。
しかし、切ってくれたのは食い込んでいる爪の部分を斜めに切っただけで、数か月経つと見事に両足とも再発してしまった。
ちなみに1月にクリニックで切ってもらった時は爪先からまっすぐに根本まで切り、根本から爪を引っこ抜いてくれるような切り方をしてくれたおかげでここだけは再発することなく見事に完治した。
実はこのなかなか切ってくれない医師というのは、毎週木曜日に大学病院から派遣されてくる皮膚科の医師で、教授から皮膚科受診の話が出た時に、(まさかあの切らない先生が出てくるのでは・・・)と、一瞬不安に思ったのだ。
2016.11.9
これで陥入爪から解放されるという期待、また足親指にキシロカイン注射を打たなければならないという憂鬱感、そしてあの切らない医師が出てくるのでは・・・という不安感を抱きながら予約した時間に大学病院へと向かった。
皮膚科で受付をしたところ、患者向けの案内表示板に忘れもしないあの皮膚科医師の名前があった。
「どうか他の医師にあたりますように・・・」と心の中で祈りながら、受付で手渡された問診票を記入し、提出するとすぐに僕の名前が呼ばれた。
恐る恐る診察室の扉を開けると、中にいたのは女医さんだった。
「やった!あの医師じゃない!」
女医さんは僕が書いた問診票を見ながら、時々僕に質問をしながら電カルにカチャカチャと文字を打ち込んでいく。
ようやく打ち終わると僕に向き直って少し申し訳なさげに、
「今回もまた○○先生に診てもらうことになります」
と告げた。
え!あなたは白衣を着ているけど皮膚科医ではなく問診専門の係りなの?やっぱりあの先生じゃないとだめなの?
と、僕は心の底からがっかりしてしまった。
一旦待合室に戻り、3分ほどするとまた僕の名前が呼ばれた。
さっきとは違う診察室に入ると。。。
「先生、どうもお久しぶりです。いやあ、マーカーが上がっちゃってこのたびは大学病院でお世話になることになったんですよ。」
と、完全にビジネス用のとっておきの営業スマイルで不信感たっぷりの顔と本心を覆い隠し、久々に再開する先生にご挨拶をする。
先生も(また来やがったか。しつこい患者だな。)と思ったかどうかは知らないが、
「いやあ、ここでまた会うとは思わなかったよ。どれどれ、靴下を脱いでこの台に足を載せてくれる?ははあ、以前よりは少しましになったかなぁ。まだ軟膏は残ってる?大学病院の規則で1か月以上診療期間が開くと一万円取られちゃうから、またひどくなるようだったら、前の手術を受けた病院で診てあげるよ」
と、予想通り、経過観察という診断結果となった。
前の病院で診察するなら教授先生の知らないところで電カルに「経過観察」と自由に書けるからに違いない。(不信感たっぷり)
はあああああ・・・・・というため息、これを読んでいるあなたにも聞こえますか?
というわけで、陥入爪との闘いは終わることはありませんでした。
こうなると 陥入爪を切ってくれる町医者を真剣に探してみるかな。だって治る気配がないんだもん。