前回の超機嫌が悪かった教授先生の診察が3.21のことで、それから1ヶ月が経過した。
この1ヶ月はなぜか3か月くらい経ったかのように長く感じ、診察が待ち遠しかった。
別に教授先生が恋しいわけではない。
現に大学病院へ行く道中で考えていたことは、検査結果のことよりも教授先生のご機嫌のことだった。
(また、ご機嫌斜めだったらどうしよう。ほんとに転院を考えないといけなくなるのかな)と。
きっと僕の中にあるモヤモヤを早く解消したかったから待ち遠しく感じたのだろう。
今日は4.5に受けた胸部と腹部の造影CT検査の結果発表と血液検査がある。

 

まず教授先生の診察の前に、形成外科の診察を受けた。
形成外科の先生からは、頭皮(皮下)の癌(の疑い)について教授先生と切除生検するのか、それともケモで効果測定するのかを相談しておいてほしいという宿題をもらっていた。
待合室で待っている間、前回の教授先生とのやりとりをどう伝えようかとずっと考えていた。
大学病院のHPからこの形成外科医のプロフィールを見てみると、平成13年のご卒業の先生で肩書はなくて医員のみ。
特に認定医などの資格もお持ちではない先生だった。
大学病院の上下関係の中では思ったことをなかなか言えない立場なんじゃないかなと、邪推した。

 

呼ばれて診察室に入ると、とりあえず先生が口を開くのをじっと待つ。
先生は教授先生からのメールを読み終えると、なぜか「ふん」と鼻で笑った。
僕も横目でそっと読ませてもらうと、
「ホルモン療法を継続中であるが、生検のために腫瘤を切除することは可能ですか?」
というような内容が書かれていた。
多分鼻で笑ったのは、
○ 形成外科医が「切りますか?ケモにしますか?」と問い合わせたメール対し、教授先生が「切れますか?」という訳の分からない返事をしてたから・・・
若しくは、
○ 切れますか?って形成外科医なんだから切れるに決まってるだろ!
と思ったからだろうと推測した。

教授先生がこういう中身のないメールを返信してきたことが分かったので、ここで僕は前回の教授先生がものすごく機嫌が悪くて全く相談できなかったことを話した。
「そんな先生なんですか?」
と、まだ若い形成外科医の言葉に驚きとかすかな怒りがこもったのを見て、少しいい気味になった。
とは言え、これからどうするのかを決めなければいけない。

 

「僕がどう考えているかというと・・・」と口を開くと、
「そうそう、たいちさんはどう思っておられますか?」
と、形成外科医が相槌を打つ。

 

○ 放置してもすぐに命やQOLに関わらないのなら、痛い思いをしてまで切りたいとは思わない。
○ 一時期腫瘤がものすごく痛かった時は切ってほしいと願ったこともあったが、今は痛みが治まっている。ホルモン療法も施行中なので今は経過観察でもいいんじゃないかと思っている・・・

と話した。

 

これに対し形成外科医は、
○ 小さな腫瘍は局所麻酔で、左後頭部の大きなものは全身麻酔で1時間30分ほどの手術と1週間ほどの入院が必要になる。
○ 放置しておけば頭に癌の花が咲く(ww)可能性がないとは言い切れない。
○ 左後頭部の痛みや腫瘤の形が変わるのは菌による炎症かもしれないが、それでも良性ものとは思えない。
○ たいちさんが切りたくないという考えであれば、1ヶ月後に予約を入れておくのでそれまでにもう一度よく考えてみてください
※ ここの大学病院は再診が1ヵ月以上あくと1万円が加算される仕組みになっているので、先生が気を遣ってくれたのだ。大学病院ってみんなそうなのかな?
というわけで、形成外科を後にした。
今日のこのお話では診察にならなかったのか、それとも先生がおまけしてくれたのかは分からないが、形成外科の診察料は0円だった。

それにしても教授先生の意味不明なメール・・・一体何を考えておられるのか。

さて、いよいよ血液腫瘍内科の教授先生のところへと向かう。
今日は11時30分の予約に対して12時30分にコールがあり、これは大学病院を受診するようになってから最速記録だった。
妻は今日も僕に同行してて、僕は診察室へ向かいながら、
「前回のことがあったからとは言え、教授先生に嚙みついたり不愛想にしちゃいけないよ。」
と釘を刺すと、
「分かってます。教授先生を怒らせたくないから。」
と妻の健気な言葉に泣ける思いがした。

診察室の扉をノックしてそっと扉を開けると、わざと明るく
「こんにちは!」
と声を掛けたが、教授先生はPCに顔を向けたまま返事をしない。
(あちゃー、こりゃまた今日も機嫌が悪いのかなー)と嫌な予感を感じつつ荷物をかごの中に入れ、診察室の丸椅子に腰をかけた。

でもそれは杞憂だった。
今日の教授先生は前回とは打って変わって普通に接してくれ、僕の治療のこともよく考えてくれていたようだった。
(前回のことがあっただけに、当たり前のことに感動してしまった。)

まず、4.5のCTの検査結果をお話しされた。
前回2016.12.16のCTと比べると、縦郭リンパ節の腫れが引いているのが分かる。
問題は・・・。

○ 右腋窩リンパ節(健側)に腫大が認められる・・・後で触診してもらったが触診では触れない程度の大きさ。
○ 腰椎に3か所の骨転移が認められる・・・CT画像を見たが背骨の一部がまるで虫歯のように黒く欠けていた
とのことだった。

先生は、LETはあまり効果が芳しくないのでそろそろ止めようかと思っていたそうだ。

僕が、
「次はいよいよケモになりますか?」
と聞くと、
「いや、ワシは今のところケモは全く考えていないよ。次は同じアロマターゼ阻害薬だが、アロマシンという薬に変更しようかと思っていた。
でも、縦郭リンパ節の腫れが引いたのでもう少しLETで様子をみたいな。」
と、お話された。
そして骨転移については次回からランマークを月に1回お腹に皮下注射するとのことで、低カルシウム血症の予防のため、デノタスチュアラブル配合錠を今日から処方してくれた。
さらに頭皮の腫瘤も触診してくれて、僕がブログで「散った」と表現していた頭頂部の小さなしこりがなくなったことには満足気で、さらに僕が形成外科医に、
「症状がないなら切りたくない」
と言ったことについては教授先生にとっては100点満点の答えだったようで、頭をなぜなぜするような勢いでさらに上機嫌になった。
全くもってあどけない先生だ。

最後に血液検査の結果だ。
CEAは24.9(前回は、25.4)と誤差程度に下がっていたが、その他の項目に目立った異常はなかった。

診察の後は隣の処置室で看護師さんにポートフラッシュをやってもらった。
すっかり顔なじみになった看護師さんが小声で、
「今日の教授先生はどうだったの?」
って聞いてきたので、僕が黙って指でOKサインを出すと、
「ああ、それは良かったねぇ」
とにこっとしてくれた。

僕と歳はそう変わらないようなおばさん看護師だけど、なぜかこの人と接していると癒される。

というわけで教授先生は根っからの悪人ではないと思うけど、診察室に入った時には場の空気をしっかり読んで「ご機嫌」を伺い、悪い時には運が悪かったとあきらめてさっさと退散するほうがいいことを学習した。
ブログを読んでいただいている皆様にはご心配をおかけし、さらには「怒り」という負の感情を惹起させてしまったことに心からお詫び申し上げます。
「患者が先生に気を遣う」という違和感はあるものの、「がん難民」になるよりかは癖のある教授先生でも上手に付き合っていくしかないな、というのが現在の僕の気持ちです。

これからもどうか暖かく見守ってくださいね。

 

検査結果が発表される度に悪いところが見つかり、今回は腰椎への骨転移と手術したほうとは違う右腋窩リンパ節への転移でした。
今はまだ比較的けろっとしているけど、また後からじわじわとショックが心の内側へとしみ込んでいき、ぐーっと落ち込んでいってしまうのだろうなぁという気がしています。
縦郭リンパ節、頭蓋骨や腰椎への骨転移、頭皮への転移・・・と、すぐには命に関わる転移ではないけれど、それだけに真綿でじわじわと首を絞められるような恐怖を感じます。
改めて教授先生の「これからは年単位でゆっくりと悪くなっていくよ」という言葉が思い出されてなりません。

 

次の検査は3ヶ月後のCTですが、次はどんなご報告になることやら・・・。