さて、先週に引き続いて2回目の耳鼻科受診である。
前回先生に嘘をついてしまったという自責から、今日は受診前から逆切れ気味に自棄になっていて、もうどうにでもなれという心境だった。
前回は仕事を休んで行ったのでヅラなしだったが、今日は会社帰りなのでヅラを着用していて、こういう姿をお披露目しないといけないというのも自棄になっている理由なのだけどね。

予告どおり、まずは鼻のレントゲンを撮られた。
小さなレントゲン室で台におでこをくっつけて1枚、顎をくっつけて1枚、合計2枚撮影される。
このレントゲンで、もし鼻の周りに癌の転移が発見されたらどうしよう…と、一瞬脳裏を不安がよぎった。

それからすぐに診察だ。
前回と同じように器具で鼻の穴を開いて覗いた後、なにかの薬を噴霧し、続いて耳の穴を覗かれる。
僕のそばには若い女性の看護助手がおり、先生が鼻や耳の穴を診る時は僕の顔やら頭を持ってグイっと先生が見やすい位置に動かす。
しかし僕の頭を持ってこのグイっとする動作がなかなか激しく、ズラがずれるんじゃないかと冷汗をかいた。
それにしても僕の頭を触れた時に、ズラって気が付かれたかなぁ。

続いてファイバースコープを鼻の中に突っ込まれる。
これは前の病院の耳鼻科でも経験していたし、経鼻内視鏡の経験もあったのでそんなにはビビらない。
それにここの病院では新しい機械を使っているのかファイバースコープが本当に細く、こよりを突っ込まれているような感じでしかなかった。
先生の診察の結果、鼻腔内が荒れているのでこれからも治療を続けていきましょうというお話だった。
鼻周辺の癌の転移のことは聞いたわけではないが、きっと大丈夫だろう。

さて、これからが僕にとっては本番で、周りには若い女性の助手が3人ほどいたが、自棄気味になっている僕は構わず先生に切り出した。

「先生、前回お話した悪性腫瘍のことなんですが、実は胸は胸でも肺ではなくて乳房なんです。肺は全摘していなくて、全摘したのは乳房のほうで・・・。訂正しづらくてそのままになっちゃって申し訳ありません。薬はこれから5年以上、ホルモン剤のタモキシフェンを服用しています」
と言って、そっと先生の顔色を伺う。
先生は僕の話をじっと聞きながらメモと取っていて、一言、
「ああ、男性乳がんってやつだね。タモキシフェンは注射なの?」
とだけお尋ねになったので、
「経口薬です」
と答えてそれで終わった。
看護助手はバタバタと次の患者さんの受け入れ準備をしていて、僕の告白に気を留めた様子はなかった。

この先生とお会いするのは今日で2回目なのでまだ先生の性格をはかりかねているが、どうもこの先生はぼそぼそと喋る癖があって何を喋っておられるのかよく分からない。
それでいて、周りの看護助手がピリピリしているのを見るとなかなか厳しい先生なのかなっとも思うが、まだうまくコミュニケーションを取ることができない。
ともあれ、緊張の診察と告白はこれで終わった。

帰りがけにまたネブライザーを受け、たんまりと1週間分の薬を貰ってしまった。また1週間後に来い・・・ということなのだが、鼻炎という診断ではあるものの特に日常生活に困っているわけではないので、CPAPのことがなければ通うのは中断していただろう。
これからもこんな調子で1週間に一度通院させられるのは、仕事や出張もある中、僕にとっては結構な負担だ。

いやもう、悪いところを治していただいているのだし、先生がそれに熱心に取り組んでおられるのは大変結構なことなのだけど、患者である僕はそこまで望んではいないのだが。