朝、包帯を外すと腕にくっきりとデコボコと巻いた包帯の跡がついていたが、浮腫みにはあまり変化がないように思えた。
いつになく手のひら全体が正座した後の脚のように痺れていたが、圧迫していた包帯を急に外した影響だろうとあまり気に留めなかった。
シャワーを浴び、再び包帯を巻く段になって僕は急に鬱になってしまった。
さまざまな思いが頭を駆け巡ったが、一番堪えているのは「確実に一つ体が悪くなった」という事実だ。

リンパ浮腫は手術の合併症で予期できなかったことではないが、ケモの副作用のように時間を待てば回復するというような希望はない。
例外的にこの治療でリンパの道が復活した患者さんがいたという話を聞いたが、僕はそんな奇跡が起こることを期待するほど楽天家ではない。

山のように積まれた包帯を前にしてたっぷり30分間悩んだあげく、僕はこの日、会社に行くことができず、仮病を使って休んでしまった。
そしてこの日は夜まで包帯を巻くことができなかった。

しかし、「やれ」と言われたことを放置できない性分なので、この日の夜は早めにお風呂に入り、撮影した動画をパソコンで流しながらリンパドレナージ~圧迫療法をやってみた。
次の予約は3日後だ。
「やったよ」ってウソをついても専門家が見ればすぐにばれちゃうだろう。

初めて自分一人で巻く包帯は、やり始めてから2時間かかった。
なかなかうまく巻くことができず、イライラがピークに達して「もういやだっ!」とやけくそにもなった。
でも、次の日、そして翌々日と続けるうちに段々上手に巻けるようになってきて、3日目になると自分でも合格点を出せるほどになった。

でもやっぱり包帯を巻いたまま会社にいくことはできないので、夜、お風呂に入った後に巻き、次の日の朝には外すというのが日課になった。
先生にこんなゆるゆるでもいいのかメールで相談しようかなって思ったが、次の予約がすぐなのでそれまで待つことにした。

先生には怒られるかもしれないが、今の自分にはこれが精一杯だ。