2016.7.5
1か月に一度のポートフラッシュの日がやってきた。
今日の待ち時間は2時間30分・・・某歌舞伎俳優の奥さんが影響しているのかどうかは分からないが、狭い待合室で全くもう待ち疲れてしまった。
そして待ちに待っておとずれた診察時間はおよそ10分間。
長時間待たせてしまったことをものすごく恐縮していた先生だったが、先生に文句を言ってみてもしかたがない。
先生だって飲まず食わずのはず。

僕は現在寛解状態ではあるが、ポートフラッシュとホルモン療法のために1か月に1度は病院に行く必要がある。
逆に言えばそれだけのためにわざわざ大きな病院を選ぶ必要はなかったので、混雑を避けるために町医者を選んだつもりだったがどうもそれが裏目に出たようだ。
大きな病院だと予約システムが充実しているからそれほど待ち時間はないのだろうか。
いや例え待ち時間があったとしても、院内のタリーズコーヒーでアイスコーヒーを飲みながら、手元の呼出機が鳴るのを本でも読みながら優雅に待っていられるのだろうか。

さて肝心の診察だが、いつものようにポートからヘパリン加生理食塩水をいれてもらった。
「フラッシュの後、熱が出たりポート部から血が滲むようなことはありませんか?」
「注射した感覚では詰まっているようなことはなさそうですよ」
と、僕に気を遣ってか先生も一応診察らしいことを話しかけてくれた。

終わった後、服を整えながら先生に、
「そろそろ検査の時期ですかね?」
と尋ねると電カルをささーっと見て、
「特に2年目検診はやってなかったね?んじゃ、次回はマーカーと乳エコー、そして胸部X-Pを撮りましょう。男だからマンモグラフィーはやらなくていいよね?」
とのことだった。

本音を言えば、一度はケモの効果で消失した縦隔リンパ節が再発していないかどうか不安に思っていたので、CTで胸骨裏を見てほしかったのだが言い出せなかった。
このクリニックにはCTの設備がないので、検査するとなると大きな病院へ回されることも億劫に感じていたというのもある。
あと、腫瘍マーカーも前の病院では1か月に一度、CEAとCA15-3と1CTPの3種類を検査してくれていたが、このクリニックでは半年に一度CEAとCA15-3しか検査してくれない。
僕が高リスク患者だということはさておいても、普通術後1年検査や2年検査ってもっと大々的に全身スキャンをするんじゃないの?って疑問に思うが、術後の定期検査もガイドラインで定められているとセカオピの先生が言っていたのを思い出し、乳癌学会のHPを調べてみた。

「手術後の定期的なマンモグラフィは,乳房温存手術後の温存乳房内再発や反対側の乳がんの早期発見に役立ちます。しかし,血液検査(腫瘍マーカーを含む)やいろいろな画像検査を,症状がないときに定期的に行うことは,乳がんの治癒率向上や生存期間の延長にあまり役に立ちません。担当医の診察のもと,必要に応じて受けることをお勧めします。」

とあり、これまで「念のため」や「患者の不安を軽減するため」というお題目のもと過剰な検査が行われてきたことを反省し、体調の変化に応じた検査を受けることを推奨しているようだ。

とすると、我が先生の判断は間違ってはいないのか。
こうなると1か月に1度検査してくれていた前の病院が、無知からくる過剰検査を行っていたのでは?と、疑惑の目が180度転回する。

乳癌学会のHPを読んでみると、「ああ、なるほどねー」って納得することができたし、そういう判断をした我が先生を「やっぱり専門医というだけのことはある」と、単純にまた一つ先生に対する信頼感が増した。
結局のところ、患者が考えるいい先生というのは、患者が自分の先生を信じられるか信じられないかというところで決まるのかもしれない。