そして迎えた7月3日、EC療法の第1クールの投与日だ。
まだ右鎖骨下に血管痛のような不快な痛みが残っていたが、11:00ごろにシャワーを浴びるとなぜかものすごく楽になった。

13:35、強力な吐き気止めであるイメンドを服用してしばらくすると、主治医が穿刺にやってきた。
昨日入れたばかりのCVポートの部分を入念に消毒する。
ビビりの僕が顔をそむけるとそれがまるで合図だったかのように、
「ちょっとチクッとするよー、ごめんなさいねぇ。」
と言って穿刺する。

血管に穿刺するわけではないので、ほんの少しチクッとするだけで痛みはほとんど感じない。
プラスチック製のシリンジで逆血を確認して生食フラッシュをすると、針先をテープで念入りに固定する。
点滴中は肩から上に腕を上げること以外は自由に動かせる。
穿刺を失敗されることもなく、確かに先輩方の言うとおり非常に楽だ。

唯一誤算だったのは、手術・・・というか局麻があんなに痛いとは思わなかったことだ。
ちなみに先生に点滴以外にポートが使えるか聞いたところ、採血はOKだが、CTやMRIの造影剤をポートから注入することは反対だそうだ。
メーカーは大丈夫だと言ってるが、造影剤は結構な勢いで注入するのでポートが壊れる可能性があることを心配されているようだ。
今のところ、採血もポートからではなく、普通に肘正中皮静脈から採ってもらっている。

余談だが、後日ハーセプチンの初回投与で入院した時のこと、その日がたまたま外科部長の回診があった日で、外科部長が主治医に、
「あれ?ポートいれたの?なんで?血管細いの?」
と聞くと、主治医が少し慌て気味に、
「いえ、そういうわけではないのですが、これからハーセプチンを1年間打つので・・・(もごもご)」
という感じだった。
なんだか主治医が責められているような感じがしたので、
「僕が希望したんです!」
と言おうと思ったが、機会を失ってしまった。

病院にCVポートを入れるような基準があって、僕はそれに該当しなかったのだろうか。
CVポートのことを先生に相談した時にあまりいい顔しなかったのはそのせいだったのだろうか。