乳がん患者の約1%が男性だ。しかし女性患者に比べ、男性の乳がんは、進行した段階で診断される割合が高く、治療開始が遅いために予後不良になるケースが多いという。 (日経メディカル 2008/7/10)

僕ががんと出会った正確な時は覚えていないのだが、気が付くと左胸乳輪下にしこりができていた。
僕の乳首は両胸ともに生まれつきのいわゆる「陥没乳首」というやつだった。
それが40歳を過ぎた頃からなぜかものすごく気になりだし、お風呂上りなど機会があれば指で乳首をほじくりだしたり、へそのゴマのようにたまる垢をお手入れしていた。
この陥没乳首を何とか根本的に治すことができないか・・・と思っていたときに、楽天でこんなものを見つけた。
 
その名も「乳首吸引器ピペトップ」! 
改めて見るとものすごくちゃっちく見えるのだが、こう見えても形成外科医の李節先生が開発したもので、体験談も「効果あり!」というようなレビューがたくさんあった。
運命の出会いを感じた僕はこれを早速注文した。
2013年12月23日のことだった。

商品が手元に届き、早速これで乳首を吸引しようと左胸に強く押し当てたこの時、すでに左胸乳輪下に「しこり」があったことを覚えている。
しかしこのしこりが「がん」だとは夢にも思わず、冗談で嫁や職場の同僚に「乳がんみたいなしこりができたー」と言って触らせたりしていたのだ。

こうして胸をいじるようになってから、時折乳首を中心に左胸が猛烈に痛むことがあった。
それは夜眠れないほどの痛みだったが、僕は触っていたことでばい菌が乳首から乳管へ侵入し、それが炎症を起こしていたのだと思いこみ、市販の消毒液を塗っていた。

妻にこの話をすると呆れながら「病院で早く見てもらえ」と言われたが、男が乳首が痛いからと言ってなかなか病院へ行くこともできず、痛み自体は1~2日で消失~発現を繰り返していたような状況で、そのまま放置していた。

「がんに痛みはない」と聞くが、この時の痛みが「がん」から発する痛みだったのか、それとも炎症を起こしていたのか、今では知る由もない。

この時、僕は不思議な体験をしている。
このしこりをこりこりと触っているとどう表現したらいいのか・・・しこりが散った?分裂した?ような手触りになったことがあった。
一つの大きな山(しこり)だったのが、触っているうちに「にょろっ」と2~3の小さな山に分裂したようなことがあって、「あれあれ」と思っていると、1~2日後にはまた集まって元の大きな山となったのだ。
しかも心なしか以前より硬くなった気がした。

「がんは移動する・・・」
最近、右鎖骨から右首筋にかけて、またしてもこの「にょろっ」とした感覚があった。
現在のところ触れるようなしこりはないのだが、術前にこんな体験をしていた僕は、また新たな腫瘍ができて脳へ移動したのではないかと嫌な気がしている。