【第2位】
40年間生きてきて初めて点滴というものを体験したのが、造影剤を注入するときだった。
放射線室の予約票を見ながら、
(造影剤のない単純撮影だったらいいな。)
という僕の期待はあっさりと裏切られ、撮影の直前に放射線室で注射をされたのが最初になる。
実際はCTの前のMRIが僕にとって最初の点滴となったが、終わってみればこれはそれほどビビるほどのものではなかった。

先輩方の情報では、CTの造影剤は勢い良く注入され、さーっと温かい液体が全身をかけ巡り、下半身に至ってはお漏らしをしたかと思わせるものだったと聞く。

まず、ベテラン看護師による穿刺。
お決まりのチクッとした感覚‥だけでは終わらず、針先がそこからぐぐっと伸びて、血管をグリグリと探る。
(あ・・・この感覚は嫌だ。あ、痛い。ホントに嫌だ)
と、たちまち泣き顔になったのが自分でもわかった。
僕の苦悶に歪む表情を見た看護師さんが、
「ごめんねえ、特殊な針だから痛いねー」
と、声をかけてくれた。

これが僕にとって二番目に痛かった注射だ。

僕の右鎖骨下にはポートが埋まっているが、ポートを埋めようと決心した理由の一つがこの時の体験があったからだ。
ポートから造影剤を注入してもらえれば、あんなに痛くて嫌な思いをしなくて済む。
しかし主治医の先生は、ポートから造影剤を入れることには反対らしい。
メーカーは大丈夫だと言ってるが、CTの造影剤は勢い良く注入するのでポートが壊れてしまうことを心配しているようだ。
採血ならできるけどね…と申し訳なさそうにおっしゃる。

それでも、
(次にまた造影剤を入れる機会がある時はポートから入れてほしいなあ。)
と、まだ諦めきれない自分がいる。

ちなみに採血は、今も昔もポートからではなく正中静脈から取ってもらっている。