前回まで新病院の内覧会の模様をアップしてきたが、これは僕がある病院の開院支援プロジェクトの仕事をしていた時のことだった。
地元のニュースでも取り上げられたのだが、2つある老朽化した病院を一つに統合し、最先端の医学を提供することができる病床数700床超の大規模病院を無事に開院させるというお手伝いをさせていただいたのだ。
僕は数ヶ月前からこのプロジェクトに携わっていたのだが、内覧会が終わればいよいよ2つの古い病院に入院している患者、約150名が移送されてくる。
病院の移送計画を見ると、入院患者はその病態により予め5つのクラスに分けられていた。
1 重症患者(高規格救急車でサイレンを鳴らして緊急自動車扱いで移送し、ドクターとナースが最後まで付き添う。)
2 担送(ベッド)での移送患者
3 車いすでの移送患者
4 車いすが必要だが、マイクロバスで移動が可能な患者
5 独歩移動が可能な患者
重症患者はERから直接病院に入ったのでその様子を見ることはできなかったのだが、それ以外にも老若男女、いろんな患者が次から次へと移送される様子を観察していた。
保育器とともに看護婦に抱っこされた新生児が入ってくると思えば、ぴくりとも動かない老人がベッドに横たわったまま点滴を受けながら運ばれてくる。
小学生くらいの女の子は子供用の高い柵がついた檻のようなベッドに、お母さんと思しき人と一緒に手を握りながら運ばれていった。
そしてバタバタと看護師が黄色い不織布のマスクとエプロンを着用すると、感染症の患者が運ばれる。
今日は雨風が激しくてひどい天気だったが、それでも予定通り、午前中に全ての患者の移送が無事に終わった。
どんな病気や怪我で入院されている患者さんなのか僕は知る立場にないが、患者さんもさぞお疲れだったであろう。
僕もちょうど1年前、手術後に病棟で過ごした時のことを思い出し、運ばれてくる一人一人の患者さんを見ながら、心の中で「がんばれー」と、半ばうるうるしながらエールを送った。
来週からは外来患者の受入れが始まり、病院はいよいよ本格的に稼働を始める。
このプロジェクトもあと少しで終わる。