アブラキサンが9クールで終了し、ハーセプチンは単独投与となり、予定投与数18回のうちの8クール目を迎えた。
病院に到着したらいつものように自動受付機に診察券を入れ、プリントアウトされた伝票を受け取ったあと中央処置室へ向かう。
中央処置室の看護師さんに伝票を渡すと、すぐに黒いバックに入った採血用のスピッツを渡されるので、それを持ってケモ室へ向かう。
前回の診察時に、主治医から新しい治療(ホルモン療法)が始まるので、一度腫瘍マーカーを検査しておきましょうと言われている。
そのためなのかか、今日はスピッツがいつもより2本ほど多く入っているような気がした。
ケモ患者は中央処置室ではなくケモ室で採血をしてくれるので、採血を待つたくさんの人達の順番に並ぶ必要はない。
今日はいつものがん化学療法認定看護師さんに採血された後、問診、体重や血圧などを測定された。
問診では、
○ 爪床剥離は両手の中、薬、小指に顕著
○ 夕方から激しい倦怠感と酷い痺れで手掌が痛む時がある
○ ヒゲがぽやっと生えてきた
○ 手のしびれは相変わらず
というようなことを伝えると、看護師はそれを電子カルテに入力していった。
その後、血液検査の結果が出るまでの約1時間、外科外来の待合室で待つ。
待ち時間は、たいてい雑誌や新聞を読んで時間をつぶしている。
腫瘍マーカーは、術後初めて検査する。
腋窩リンパ節に高度の転移がある僕は、再発は必然だと普段から覚悟しているつもりだがやっぱり検査の結果が気になる。
泣きそうになるほどに不安だ。
そうこうするうちに、外科外来の看護師さんが僕を呼んだ。
ノックして中に入ると主治医の先生がパソコンから目を離し、僕の目をまっすぐ見ながら、
「たいちさん、変わりないですか?」
と声をかけてくれる。
患者の目を見ないで話す医者も多いと聞くが、この病院ではあまりそういうことはない。
そしていよいよ、血液検査の結果発表だ。
先生がプリントアウトしてくれた検査結果に素早く目を通す。
検査項目の一番最初に腫瘍マーカーの数値がのっている。
CEAは2.9で今回は正常範囲内に収まっているようだ。
残りのCA15-3と1CTPの結果は外部検査になるため、今日は結果が出ず、次回の診察時に説明するとのことだった。
腫瘍マーカーは正確なものではないようなので、将来再発することを疑わない僕は決してこれで安心してはいない。
むしろ前にも書いたように、右鎖骨から首筋にかけて微妙な違和感があるので、もしかして…と思っている。
先生に言わないのは、まだ「気のせい」程度の違和感だからだ。
そして診察の結果、今日のハーセプチン投与が決定した。