2015.11.16
17回目のハーセプチン投与の日だ。
血液検査の結果は、腫瘍マーカーの1ctpがわずかに高値を示したがその他は異常なかった。
僕を執刀してくれた主治医は退職してしまったので、主治医は新しい先生に交代になった。

ハーセプチンも残り1回となり、この病院での治療生活も終わりに近づいてきたので、今日の診察で思いきって気になる胸腺のことを聞いてみた。(※ この頃単身赴任することになったので、転院を相談していた。)

先生は僕の話を聞くと、術前に撮影されたCT画像をPCに呼び出し、前主治医が書いた所見を読んだ。

 

横からチラ見をすると、「胸腺腫の疑いあり」という文字が目に入ってドキッとする。

先生はマウスのホイールをカタカタと動かしながら、僕の胸の輪切りになった画像を次々と進めていく。
「これが胸にあった癌だねえー…」と、僕の左胸にかつてあった陥没乳首とともに、腫瘍らしきものが映った部分を指す。
今更だがこういう画像を今まで見たことがなく、ホントに僕の体内に癌があったことに軽いショックを受ける。

更に画像を進めると、
「えーっと、確かにここになにかもやっとしたものがありますねぇ」
と、見てみると左右の胸の中央になんとなく歪な形をした何かがある。
そして次にケモ後に撮影した胸のCTをPCに呼び出す。
と、先生…
「あれ、消えてるなあ」
二つの画面を並べて比較すると、確かにもやっとしたものが無くなっている。

先生の見解では、術前から胸骨傍リンパ節に転移があり、術後の抗がん剤で消失した可能性があるとのことだが、確かなことは分からないと言う。
ま、何にせよ今は消失しているということなのでほっとしてもよいのだろう。
(※ 後日そんな簡単なものではなかったことが判明する。)

次回はいよいよ最後のハーセプチンで、単身赴任先の病院に提供するデータも含め、胸と上腹部のCTを撮るという。
その時にもう一度胸骨のあたりを確認するとのことだった。

もしこれが本当に癌の転移だったとすれば、TNM分類で言うとⅢAからⅢCに昇格することになり、更に5年生存率が下がることになるのだが、いまさら数パーセント下がったところで僕に動揺はない。

ポートへの穿刺が終わってベッドから体を起こすと、先生が「胸骨傍リンパ節の腫れが消失…」と、パソコンに向かって電カルに打ち込んでいるのが目に入った。
※ 胸腺腫と胸骨傍リンパ節の腫れは全く別ものであるが、主治医は話の途中から胸腺腫よりも胸骨傍リンパ節の腫れを疑っていたようで、胸腺腫の話がほとんどなかったことを追記しておく。