邪魔とソバをなんとか先に部屋に戻して
ナンチャッテもみじ狩りを終えた羊さんに付き添ってエレベーターに。
廊下をゆっくり歩き、部屋に到着。
あら、珍しくスライドドアが全開やん?
と思いながら部屋に入る。
私のベッド横のトイレのドアも全開。
床がビッシャビシャ。
ドユコト?
プラムさんが慌てて出てくる。
言いにくそうにしながら、
「トイレ、水が溢れたらしいねん。連絡したからもうすぐ来てくれるはずなんやけど……」
そこへガー子がベッドから降りてくる。
「お通じ無くて下剤もらったからトイレでがんばったら、紙を沢山使いすぎたみたいでなかなけ流れないから、何回も流し直してたら、溢れたんやわぁ。ごめんなぁ」
ガー子が初めてまともに喋ったのがコレ。
普通の患者は来んのか!?
ようやく掃除のおばちゃんが雑巾持ってやってきた。
え?雑巾一枚?足りるんか?
案の定、状況みて慌てて出て行った掃除のおばちゃん。
悪いけど、付き合いきれん。
羊さんはリハビリに出るというので私もとりあえず部屋を出てウロウロすることに。
けど、ソバージュやジャマトの部屋の方には行かない!
そーっと反対方向に歩き始めた。
至る所にトラップが散りばめられている………
私の辞書に平穏という文字はないのか。
歩き始めて10秒。
廊下を歩くネガティに捕まる。
そうして、ネガティの大部屋にアリ地獄的に連れ込まれる。
サニーさんが退院した後の大部屋。
サニー時代からのメンバーはネガティ61歳と美容番長51歳。
美容番長は、バリバリのトラック野郎。容姿ばっちり。
性格はオトコ前。
その部屋に連れ込まれ、番長のベッド横に丸椅子を並べて、2人でネガティの話を聞かされる。
●先週末に外泊許可を取り自宅に帰ったネガティ。外泊用の睡眠導入剤他数種類の薬をナースステーションに受取りに行き忘れて帰宅。途中で気がつき引き返し、無事に薬を受け取ったが、行きたかった焼肉屋さんが満席で入れなかった。引き返さずに行っていれば入れたはずなのに……ナースはワザと薬を渡してくれへんかったんちゃうか?
なんでやねん
●無事に退院したサニーさんが以前入院中のベッドで腕吊りしていた器具が、自分と別のタイプだった。だから、私の治りが遅いのではないか?と思い、ナースに聞いてみたところ、主治医のDr.ピエトロに話が上がり、翌朝早速別タイプの吊り器具が取り付けられた。嬉しそうに装着したところ、思いの外痛いし辛い。痛いってわかっててワザと取り付けたんちゃうか?ピエトロ先生の指示が出てないのにつけたんちゃうか?
アホか
●リハビリ担当のタルタルーガ先生のリハビリって私に合ってないんじゃないか?サニーさんのリハビリ担当のケンタウロス先生やったら、サニーさんみたいに早く治るんちゃうやろか?
言葉もないわ
そんな話を聞かされている途中で、ネガティの旦那さんが部屋にやってきた。
ネガティ、そそくさと自分のベッドに戻りカーテン閉じて個室モードに。
番長が眉毛ハの字にしてこちらを見る。
声を出さずに、手話?で部屋を出ることに。
西棟の端っこにある通称漫画部屋。
退院していく患者さんたちが、読み終えた本を置いて帰るので、いつの間にか漫画とノベルズでいっぱいになった電話室。
そこに場所を移して、番長と愚痴りあう。
ジャマトやソバージュの話に負けないくらい、ネガティや新しく入ったイラ子も強烈な珍獣ぶり。
●ネガティ、自分では全く気づいてないらしいが超強烈なイビキリストらしい。そして、歴代の同室患者さんたちは「ワザとじゃないし、お互い様やもんね」と黙認?ガマンしていた。1人退院、2人退院して、番長と2人が残ったタイミングで、新しい患者イラ子が移ってきた。
初日の夜、ネガティの強烈なイビキの洗礼を受けたイラ子。
朝7時の、ナースの点呼周りの時に、大きな声で
「2人のイビキがうるさくて全然眠れませんでした。」
と泣きついたらしい。
番長、飛び上がるほどびっくりして、
「私、イビキなんかかいてません!ていうか、寝てないし!」
と即時抗議したら、ネガティまでが
「私もイビキなんかかいてません!」
と言い出したらしい。
番長、こけそうになりながら
「いや、ネガティさんは確かにものすごいイビキなんやで。」
と、イラ子とナースに聞こえるようにずばっと本人に伝えたそう。
ネガティ、不本意な様子だったが、ネガティのイビキはナースも知ってるので、ネガティ即負け。
ナース、イラ子に9時の消灯時に睡眠導入剤服用を提案。
イラ子、あまり気がすすまない様子で、どうしても眠れなかった時の保険に、飲まずに持っておきたいと要望。
しかし、睡眠導入剤は、ナースが服用を確認せねばならないため、却下。
結局、23時の見回りの際に眠れてなかったら服用、眠っていたら起こさないってことで落ち着いた。
その夜、ネガティは20時くらいからイビキ全開。
23時の見回りで、イラ子が睡眠導入剤を服用。ナースとのやりとりでネガティが目を覚ました。
服用後、今度はイラ子がイビキ全開で眠りについた。
!!!!!
朝の点呼で今度はネガティが眠れなかったと申告。
「嫌がらせみたいに23時の見回りで飲まんでも21時の消灯の時に飲んでくれたらいいのに」
と、イラ子に聞こえるように言うたんやと。
その日の夜から、2人のイビキリストが奏でるオーケストラ演奏で、全く眠れなくなったと番長が嘆く。
小学生カヨ!
世の中ってこんなに珍獣率高かったの?