2023年 NHK
出演:森山未來・佐藤隆太・渡部篤郎・溝端淳平・玉置玲央・前田旺志郎
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夏の日差しが強く差し込む室内で検事総長の布施健(森山未來)が真剣な顔付きで
デスクに座っている。
熱い最中にしっかりと長袖の背広とネクタイに時代が感じられる。
ノックと共に部下が部屋に入り、前総理が地検に入った事が伝えられると、布施は目を瞑り深い溜め息を吐く。
1976年7月27日
テレビでは田中角栄前首相が任意同行で検察庁に入る様子が映されている。
ロッキード裁判の幕開けである。
前代未聞の巨額賄賂で元総理大臣の逮捕に踏み切ったのがこの布施健(ふせたけし)
で、ゾルゲ事件でも活躍した検事総長である。
金の流れは確かにある確信の下の逮捕だが、独立国家の検察として本当に独自の判断を下しているか?
その疑問は27年間続いている。。。
27年前
1949年(昭和24年)7月6日午前6時
日本国有鉄道初代総裁・下山定則(堀内充治)の轢断死体が常盤線五反野付近の
線路上で発見された。
現場検証の監察医によると他殺ではないと言うが、この事件の担当主任検事と
なった布施は遺体を司法解剖に回す。
東大法医学者教室の鑑定では【死後轢断】ーーーつまり殺人だ。
昭和24年はまだ日本はアメリカの占領下にあり、GHQは国鉄に10万人のリストラを求め、下山は事件2日前に35000人の解雇通告をしたばかりであった。
更に程なくして同じ国鉄で、三鷹事件(冤罪濃厚事件)と松山事件(冤罪確定)が相次いで起きたのだ。
※拷問による自白が数多くあった時代です。三鷹事件はアリバイがあったにも関わらずの死刑判決ですが、現在も国は冤罪を認めていません※
当時の吉田茂首相は共産主義者の扇動によるものと声明を出し、下山総裁の死も
共産主義者たちによる他殺の流れになったが、線路をふらふらと歩く下山の姿が多数目撃されてることから自殺の線も捨てられなかった。
深夜、事件現場で液体を噴霧する3人の男たち。
「出た!」と叫ぶ男。
その液体はルミノール液で、血液に反応する【ルミノール反応】が出たのだ。
男は矢田喜美雄(佐藤隆太)
早速地検の布施にこの証拠を持って行く。
矢田は朝日新聞の記者で法医学も学んでいる。
血液が線路まで点々と続くルミノール反応によって、下山は遺体を運ばれて線路に置かれた。
つまり他殺の線がイッキに浮上したのだ。
布施は化学的根拠の積み重ねが人権を守ると高揚する。
だが8月3日、事件からひと月も経たず、現場に何の説明もなく田中警視総監が突然
捜査方針を曖昧にする記者会見を開いたのだ。
更に田中はこの年の12月31日に捜査本部の解散を通告する。
捜査は着々と進んでいたのにも関わらず、事件から半年も経たずの不自然な解散であった。
※不名誉な名前の残り方ですね、田中警視総監・・・※
布施は上司の次席検事の馬場(渡部篤郎)に捜査続行を直訴する。
上からの強い力が働いてるのは間違いないが、何かあれば責任を取らされるのは馬場だ。
「上司とはその為にあるものだと思ってますが」
※ひゅ~♪※
こうして布施は部下3人との4人体制で地下捜査室を作ったが、通常業務の合間の捜査は激務だった。
こんな形で終わらせたくない執念と、上の力が何なのか?
その謎が布施を駆り立てた。
そんな中、布施に小倉刑務所の李中煥(リ・チュウカン/玉置玲央)から下山事件真相の告白文が届く。
それには首謀者はソ連のデレヴィヤンコ中将だと書かれている。
事件はイッキに国家レベルに!!
布施は直ぐに小倉に飛び、自称ソ連のスパイ・李と会う。
李は詐欺罪で収監されているが、大韓民国に強制送還されたらソ連によって消されることを恐れ、釈放と引き換えの司法取引を布施に持ち掛けた。
確約は出来ないが対処はするという布施の言葉に真相を語り始める李。
それを調書に取る布施の部下。
それによると、ソ連の共産党員が「人員整理のことで確認したいことがある」
と下山を三越本店に誘き寄せ、大山、木下、陳の3人が言葉巧みに下山を車に乗せて
そのままソ連大使館に連れて行き、そこで殺害した。
殺害方法は右腕の血管に刺した注射器に管を付けて血を抜いた。
遺体は血を抜いた腕が轢断されるよう線路に置いて、列車に轢かれるのを大山と有吉が確認したというものだった。
下山の遺体の内臓には殆ど血が無かった。
司法解剖の鑑定と照合の必要はあるが辻褄は合う。
帰路の東京駅に着くと、目の前でスリ騒動に遭遇する布施と部下。
部下が突き飛ばされて倒れた被害者を起こそうとカバンを地面に置いた途端、
カバンは盗まれ被害者も走り去った。
カバンには李の調書が入っていた。
調書を狙っての一芝居だったのだろうが一体誰が・・・?
検察庁に戻ると矢田が待ち構えていた。
怪訝になる布施。こいつか?
李中煥について教えろと言う。
「あそこに書いてある通りですよ」
カマをかけたが、矢田は本当に知らない様子でキョトンとしてる。
ひと気のない裏庭に誘導し、入手した情報は流さぬよう頼むが、
矢田はキッパリと断る
「権力者の情報隠蔽は危険だ!」
「戦時中のような、同じ轍は踏まない!」
※戦時中は情報操作で国民に真実は伝えられませんでしたからね※
矢田の言葉に一応の理解は示すが、それによって地下捜査室が潰される危険もある。
「お話できることはありません」
後日、朝日新聞に李中煥に関する矢田の記事が載っていたが調書の内容には触れていない。
調書は矢田に渡っていない。
調書はどこに行ったのか・・・
②に続く