最近の話なんだけど、たまに小説が書きたくなって、書いてみたものがあるわけなんですよ。
でもまだまだ完結しそうにないような長編になってしまいそうな予感がするwww
でもさわりだけでもいいからここに投下していこうと思いますので、興味がある方がいましたら、コメントでも残していってくださいな!!アドバイスなどあれば、宜しくお願い致します。
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「サーブ&ボレー!!」
慧「今日はなんだかすっきり起きられたな」
いつも朝起きには自信がない俺は、部屋のカーテンを開けながら独り言をつぶやいた。
背伸びをして、机の上にある目覚し時計に眼をやると時計の針は長針が3を、短針は8を指していた。
慧「あれ?なんかやばくないか?」
今日は鷹来東高校の入学式だ。たしか時間は9時からで、登校時間は8時45分だったはずだ。
家から登校するのに自転車で全力を出しても10分。いまから着替えたり、朝ごはんを食べたり、用意するのにどんなに頑張っても30分はかかってしまう。
慧「初日から遅刻ってのも結構いいものなのかもな。なんたって目立つことができるし」
とりあえず時間が間違ってるんじゃないかともう一度確認したが、針が戻っていることはなく、逆に進んでいるありさまだったので、2階の自分の部屋から1階のリビングに移動した。
家族はすでに仕事に向かったらしく、朝ごはんがラップにかかって準備してあった。
慧「起こしてくれてもいいのにな」
美「起こしても起きないからあきらめたんでしょ」
恒「おまえは朝起こしても絶対起きないもんな」
鳴「慧君はドラキュラ型人間の典型的だもんね」
誰もいないはずのリビングに俺の問いの返答がきて、しかも俺のことをバカにしてる声まで聞こえる。
まだ夢でも見てるのかと思いながら、声のしたほうに振り向いてみると、そこには幼馴染の3人が真新しい制服をきてソファーに座っていた。
慧「皆さん御揃いのようで。何で誰もいないはずのこの家によってたかってみなさんが集まっていらっしゃるのかな?」
美「どうせ慧は朝起きれないと思ったから迎えに来てあげたのよ」
恒「どうせお前は朝起きれないと思ったから迎えに来てやったんだよ」
鳴「どうせ慧君は朝起きれないと思ったから迎えに来てあげたんだよ」
同じタイミングで言われてしまった。
どうやら俺は幼馴染に愛されてるらしい。
慧「でもお前らもこの時間に俺の家にいたら遅刻しちまうから、もういったほうがいいんじゃね?」
おれはもっともらしいことを3人に向かって言った。
鳴「大丈夫だよ。だって間に合うようにこの作者は書いてくれるはずだもん。」
慧「作者って…。なんの話だよ。」
鳴「気にしなくていいよ。こっちの話だから。」
スタイル抜群の女の子はそんなことを言った。
恒「つうか、そろそろ準備しないと本当にやばいんじゃないか?」
3人の中の男のほうが俺に向かってそんなことを言った。
時計を見ると、長い針は5を指していた。
鳴「ここまで来ると、作者の力を持ってしても、間に合わせることは難しそうね」
慧「またそんなこと言って、何とかするのが俺たちだろ」
美「いいから早く準備しなさい!!」
スタイルのいい女の子にまたわけのわからないことを言われ、見た目はかわいいが性格がややツンデレのところがある女の子に怒られてしまったので、準備することにした。
朝ごはんを食べ、洗面所で顔を洗い、自分の部屋で着替えようと思い階段を上がった時にふと気付いた。
慧「ん??そういえば…」
慧「俺の両親は共働きじゃないぞ?」
俺の部屋の机の時計は8時45分を指していたのであった。
鳴「作者…、卑劣ね」
慧「朝から現実的な夢を見たな」
いつも朝起きには自信がない俺は、部屋のカーテンを開けながら独り言をつぶやいた。
背伸びをして、机の上にある目覚し時計に眼をやると時計の針は長針が6を、短針は7を指していた。さっきとは違い、ゆっくり準備しても余裕で間に合う時間である。
陽「おにぃ、今日は入学式だから早く起きろってお母さんが…」
陽「おにぃがもう起きてるだって!?信じられない!!今日は雨だよ!!桜が全部散っちゃうよ~!!」
そんなことを叫びながら、俺の部屋を後にする中学3年生の妹。名前は赤井 陽菜。
これといって仲が悪いわけでもなく、近所の人たちから仲のいい兄妹と思われているらしい。
身長は低めの153cm。身長に似合うほどのスタイルであり、世間からみたら美少女に認定されるであろう俺の自慢の妹である。
そんな誰に聞かれるわけでもない説明をしながら、1階のリビングに降りていくと母親と妹が朝食を取っていた。
母「雨じゃなくて、雪が降るかもね」
陽「せっかくの始業式なのにそれは困るよ~」
慧「そんなに朝時間通りに起きることは奇跡なんですか?」
母「奇跡以外の何物でもないわ」
陽「ほんとだよ!!今日という神聖な日に早起きなんてしないで欲しかったな!!」
どうやら俺は家族に愛されてないらしい。
母と陽菜に小言を言われながらも、俺は朝食を取り、洗面所で顔を洗い、自分の部屋で着替えようと思い階段を上がった時に玄関のチャイムが鳴った。
俺はそれを無視して、自分の部屋で真新しい制服に着替えた。紺のブレザーに同じ色のスラックス。ネクタイは自由で今日は赤のネクタイにした。
慧「ネクタイが自由って社会人かよ」
独り言をつぶやき、またリビングに戻った。
美「もう起きてるなんて、一体今日は何が起こるんだろうね」
恒「雨が降るんじゃない?」
鳴「雨だけなんて甘いよ、下手したらヒョウとか雪とかが降るんじゃないの??」
陽「可能性は否定できないよね~」
慧「おまえらうるせぇよ」
どうやら俺は幼馴染にも愛されていなかったらしい。
幼馴染の3人がリビングのソファーで陽菜共々俺の悪口を言っていた。
美「なんか言った??」
慧「なんでもねぇよ」
母「もう準備できたなら早めに向かいなさいよー。お母さんは後から向かうからねー」
慧「わかったよ。じゃあ行ってきます!!」
俺たち5人は玄関の扉を開けて、学校に向かった。
雲ひとつない青空である。
リビングにある時計は長針が3を、短針が8を指していた。
鷹来東高校。管内では進学校に分類されるが、県内で考えれば進学校と言ってしまっては恥ずかしすぎる高校であり、だからと言って部活動が強いわけでもなく、地域の人たちからは「中途半端高校」とまで言われている、ごく普通の高校である。創立してから20年とまだまだ、新しい学校に分類される高校だ。
そこに頭も運動も中途半端な俺が入学試験を見事に突破してこの4月から生徒となったわけである。ちなみに場所も中途半端なところにあり、駅と駅の中間の田んぼのど真ん中に高校は立地している。主な通学手段は自転車である。バイク通学は以前在籍していた生徒が通学中に事故にあったため禁止になっている。遠くから来る生徒で、電車が通ってないような場所に住んでいる場合は、その地域で貸し切りのバスなどで通学している。
こんなどうでもいい高校の紹介をするのは理由がある。それはなぜかというと、いまがその鷹来東高校入学式の真っ最中であり、校長先生のありがたいであろうお話が永遠と続いているからである。時間にして10分。興味がある話ならそれは短く感じるであろう話であっても、興味のない話となればそれは本当の意味で永遠に感じるのである。
美「それにしても高校でも同じクラスになれるとは思わなかったわね」
朝家にいた幼馴染3人のうちの一人、須永美里である。身長は163cmとやや長身で肩ぐらいまでの髪をポニーテールにしている。胸が小さい(俺が見るにBカップ)のが悩みらしいが、俺はCぐらいがちょうどいいと考えるので、それほど悩むことではないと言っている。美里とは幼馴染も幼馴染で生まれた時からの付き合い(親曰く)で、幼稚園、小学校、中学校、そしてここ高校に至るまで同じであり、俺が思うに悪意のないストーカーなのではないかと考えてしまうくらいなんでも一緒だ。
慧「これで、13年連続同じクラス…。ストーカー街道まっしぐらですな。」
美「変なこと言わないでよね!!これも神の思し召しだよ!!」
などとたまに変なことを言うが、それなりにいい付き合いをしているわけだ。
美「恒は鳴子と同じクラスになったのね」
慧「あそこを見るかぎりそうみたいだな」
惜しくも10年連続俺と同じクラスを逃した幼馴染3人のうちの1人涌谷恒。小学校からの付き合いなわけだが、こいつは親友である。やはり同性同士気兼ねなくバカをやったり話せたりするものである。身長は167cmで、世間一般がいうイケメンである。ただ言ったように若干背が低いことがコンプレックスらしく、美里にヒールを履くなと常日頃から言っている。
その隣りにいるのが櫻田鳴子である。こいつも幼馴染3人衆の最後の一人。小学5年生で家の近くに引っ越してきてからの付き合いがある。ちょっと不思議ちゃん気質がある。身長は157cmでスタイル(ボディライン)がよく、かわいい系の顔立ち、髪はロングである。これはお世辞抜きで新入生の中では1番の女子である。確実にこの高校の男子が争奪戦を繰り広げるであろうが全員が撃沈するであろう。
美「恒と鳴子が同じクラスなんて、神様も粋な計らいをしてくれるわね」
慧「恒が早く鳴子に告っちまわねぇと、血が流れるまさに生死をかけた戦いが起きそうだからな。平和に高校生活を送りたい俺にとってみればそれだけは避けたいところだ。」
そうである。なぜ皆が撃沈するのかというと、恒は鳴子のことが、鳴子は恒のことが好きだからである。これは同じ中学出身者であれば周知の事実なわけであるが、お互いにその気持ちを隠して接しているため、正式に付き合っているわけではないのだが、周りにはばればれなわけで、早く何とかしてほしいと美里共々思っているわけである。
こんなにも長く幼馴染の説明をしたのにもかかわらず、壇上にいる校長先生はいまだにしゃべり続けている。
永遠にも感じられるような校長先生のお話がようやっと終わり、あとは来賓のお話だとか高校入学にあたっての校則だとか心構えだとか新入生の抱負だとか色々あり、式は無事に終了して、これから1年間学ぶ教室1年2組に帰ってこられた。当然のごとく出席番号は1番であり、窓際1番前の席で外も見られるし、先生の死角になりそうなこの席なので授業中は楽に過ごせそうである。
SHRが終わり、放課になったところで美里が俺の席にやってきた。
美「そういえば慧はどの部活に入るの??やっぱり中学と同じ??」
慧「正直部活なんてやりたくないし、高校まで続ける気はなかったけど、部活動強制なら適当に将棋部とかに入ろうと思ってたよ」
美「それはもったいないよ!!高校生活での部活は青春そのものだよ!!ね、ね!?見学だけでいいから行こうよ!!ソフトテニス!!」
慧「恒も誘って見学だけ行ってみるか。どうせ入るわけでもないし、見学だけなら迷惑にもならないだろうし。」
美「そうだよ!!見学だけだから!!じゃあ恒を呼んでくるから待っててね!!絶対帰んないでよ!!」
慧「わかったよ。できるだけ早くな。俺の気が変わらないうちに。」
美里は首を縦に大きく振ってから教室を出て行った。
慧「ソフトテニスかぁ…。」
俺は中学時代ソフトテニス部に所属していた。一応形だけだけど部長なんかもやっていた。でも実力は全然で、上から3番目ぐらいの番手で団体戦もかろうじて出場できてる程度だった。中学の管内の地区総体では早々に敗退して、県大会にも出場できないし、みんなの応援をしてるぐらいだった。
そんな俺がまたソフトテニスなんかするのは無いと思ってたんだけど、美里は言い出すと止まらないし、これから予定も当然のごとく入ってないので、付き合うことにしたわけだ。ちなみに恒も中学時代はソフトテニス部だった。番手は俺より上。ってか1番うまかったわけだから当然高校でも続けると思う。
というか、俺たち4人は全員ソフトテニス部所属だったわけで、美里と鳴子は女テニの1番手ペア。美里は部長も務めていた。ソフトテニス部部長同士でなぜかさとさとコンビなんて言われていたもんだった。俺は4人の中で一番下手なわけで、少なからずも劣等感は感じていたのだった。
恒「いやぁ、慧も高校でも続けてくれるなんて俺はうれしいよ」
幼馴染3人衆が教室に入ってきた。
慧「まだやるって決まったわけじゃねぇだろ」
鳴「でも見学に行ったら、慧は絶対またやりたくなると思うよ。あの頃のこと思い出さないわけがないし」
美「そうだよ!!絶対やりたくなるはず!!だってソフトテニス好きはこの中で1番だもん」恒「実は熱い心を持ってるしな」
鳴「慧にはそこは負けるわよ。実力では負けないけどねw」
慧「うるせぇよ。それじゃあまぁ、この高校の実力はいかほどのものか見学に行きましょうか」
俺たちはかばんをもって教室を後にし、テニスコートのある外へと向かった。
鷹来東高校の部活動は運動部11、文化部8つ合わせて19の部活があり、それぞれ活動していたりしてなかったりする。前にも言った通りそれほど強いわけではなく、全国大会にいくわけでもない。上を目指してやりこむ人、ただ楽しむためにする人、強制参加だから仕方なく所属している人、幽霊部員など様々いるようだ。
美「じゃあ私と鳴子は女子のほうを見に行くから、またあとでね」
慧「あいよ。じゃあ恒行くか」
恒「おうよ!!じゃあまた後でな!鳴子、美里。」
鳴「じゃあね。」
ここからは2人ずつにわかれて行動だ。
恒「なあ慧。本当に高校で続ける気はないのか?お前なら結構いいとこまでいけると思うんだけど」
慧「よせよ。お前に言われると嫌味にしか感じないから。お前は高校でも上を目指せよ。俺は草場の陰から見守ってるからな。」
恒「お前生きてるだろ。つうか俺と一緒に上を目指そうぜ」
慧「今からいく見学で何か起これば入ってやるよ。こんな高校に俺を突き動かせる何かなんてないと思うけどな。」
恒「そういうのは実力があるやつが言うもんだぞ、慧」
慧「うるせぇよ。ところで、鳴子にはいつ告るんだ??うかうかしてると他の奴に取られちまうぞ??俺は平和に高校生活を送りたいから、なるべく早くしてくれ。頼んだぞ。」
恒「なっ!?なんだよっ!?俺だってちょっと焦ってはいるんだけど、鳴子全くそんなところ見せないし、まだ時期じゃないかなって思ってるんだから、気にするなよ!?」
恒はこの話をふると、挙動不審になり、耳が赤くなるのだ。
慧「まぁ、応援してるから早く決着をつけてくれよ」
恒「気長に待ってくれよ。もう少ししたらだから。な??」
そんなたわいもなく恒をいじっていたら、ラケットがボールを打ち返す乾いた音の響く男子ソフトテニス部が練習するコートについた。
鳴「美里はすぐにでもレギュラーになれそうだよね。だってあのカットサーブは味方にしてみれば武器だけど、相手にとってはエグイもん。ほんと、美里がペアでよかったなって心から思えるものだよあれは。」
美「鳴子って結構ひどいこと平気で言うよね。でも鳴子だって余裕でレギュラー取れるでしょ。私よりセンスあるし。決めるところはきちんと決めれるしね。」
鳴「ありがと。またペア組めたらいいね!!」
美「…うん。そういえば恒とのことはまだ決めてなかったよね??決めるところは決める鳴子なのにさ。このままじゃ恒は他の誰かのところに行ってしまうかもよ??」
鳴「えっ!?恒くん!?う~ん、でも恒くんは私のことただの幼馴染ってしか見てないみたいだし…、でも私は好きだし…、私よりかわいい子たくさんいたから恒くん取られちゃう可能性もあるし…、でも私はそれは認めたくないし…、でも恒くんが笑っていられるならそれでいいような気もするし…」
美「ほんと、恒のことになるとウジウジするよね、鳴子はさ。」
鳴「だってぇ…」
美「勇気出してもっと全面的にアタックしてみなさい!!それでうまくいくから。」
鳴「わかった。何とか頑張ってみるね。」
本当に鳴子は恒のことになると、ウジウジして、顔が真っ赤になるのよね。
そうこうしてるうちに、女子が練習するコートに到着したのだった。
慧「そんなに見学してるやついないんだな。」
恒「まぁそんなにここは強くないし、遊び半分でやってるやつも多いだろうからな。でも部員は結構多いんだぜ??練習に出席してないのが半数ぐらいいるがな。」
慧「俺も所属はするが幽霊部員にでもなろうかな。」
恒「それは俺が許さないから安心しな。恒は俺と一緒に上を目指すんだよ。」
慧「わかったわかった。」
鷹来東高校男子ソフトテニス部。高校創立時からある部活動。まぁ20年と浅い伝統ではあるが、10年前ぐらいにインターハイ個人に出場したことがあるらしいが、それ以降は全くの無名校。地区でも中間くらいの実力らしい。
恒「あの人、すげぇいい球打ってる。球筋もいいし、回転がしっかりしてるからかな。」
慧「ホントだ。つうかあの人だけ別次元じゃん。あれでも手を抜いてやってるぜ。相手のほうなんか返すので精一杯になってるじゃん。乱打なのに。」
恒「でも、あの球を普通に返すようなことができるようになったら、確実にうまくなるぞ。俺でも返すのにやっとだろうし。」
慧「俺は返すこともできないだろうし、なによりラケットにあたるかも微妙だぞ」
恒「でも慧は反射神経だけはいいから、追いつけるだろ??」
慧「追いつけることと、返すことは全く別の話だよ。」
そんな話をしていたら、どうやら乱打の時間は終わったみたいだった。
慧「あの別次元の人がどうやら部長みたいだな。やっぱり部長は強くないといけないからな。俺みたいなへたくそなやつは本来部長なんかになっちゃいけないんだよ。」
恒「そんな自虐的になるなよ。慧は慧でちゃんと部をまとめてたんだから。」
慧「お気づかいありがとう。」
部員はこのコートにいる人数を見るかぎり、12人。さっき恒が言ってた通りこのコートにいない部員も考えれば大体20人ぐらいはいるんでないかと思う。で、ここに見学に来てるのは俺と恒を含め12人。俺らを除くと見た事あるやつは2人ぐらいいた。あとは違う地区から来たのか、高校からソフトテニスを始めたいやつなのかわからない。
先輩たちの練習を見ていて思ったことは、上を目指して練習しているようなんだけどそれよりもソフトテニスが本当に好きで、心から楽しんでいるように感じた。
そのまま何んとなく先輩たちの練習を見ていたら、どうやら休憩時間になったらしく、コートの中に入っていいとお声がかかった。
恒はようやくかというような表情をし、コートの中に軽い足取りで入って行ったが、俺はなんだか躊躇してしまった。
恒「慧どうした??部長らしき人が入っていいって言ってるぜ??早く行こうぜ!!」
慧「いや、なんだかコートに入ってしまったら後戻りできない様な気がしてな…」
恒「後戻りできないって、ソフトテニス部に入るんだから別にそんなこと気にする必要ないじゃん??なにか不安要素があるのか??」
慧「そういうわけではないんだが…。本当に高校でもソフトテニスやっていいのかなって思ってさ。」
恒「何があったか知らないけど、高校でもソフトテニス続けることは別に駄目なことじゃないじゃないか!?早く行こうぜ!!」
慧「わかったよ。」
俺の気が進まないのは、なんとなくであり、別にこれといって理由はないが、またソフトテニス漬けの毎日が始まると考えると、もっと高校生活で楽しめることがあるんじゃないかとか、高校生になったんだから遊びまくったほうがいいんじゃないかとかなんとなく考えてしまったためだったからだ。
俺がコートに入ることを少しためらっていたため、俺と恒は見学に来ていた中で一番最後にコートに入ることになってしまった。
大「これで全部かな??じゃあ一応この鷹来東高校男子ソフトテニス部の紹介をするね。」
部長らしき人がそんなことを言った。
大「男子ソフトテニス部は3年生12人、2年生7人の19人で活動しています。みんないい人たちが集まって、明るく楽しく元気よくをモットーにして日々活動しています。えーっと、めんどくさくなったので、とりあえずみんなこの部活に入ってうちらと一緒に楽しみましょう!!」
新入生側からちらほらと先輩側から大きな拍手が起こった。そう考えると、この部活の人たちはノリがいいように感じられた。対して新入生のほうはノリが悪いなと思った。
大「ところで新入生の諸君、質問とかあるかな??」
恒「はい!!」
大「はいそこの君!!質問をどうぞ!!」
恒「1年5組の涌谷恒と言いますが、先輩の名前ってなんでしょう??」
大「あっ!自己紹介するのをすっかり忘れてたね。ごめんごめん。鷹来東高校男子ソフトテニス部部長の3年3組大崎誠だよ。ポジションは後衛で右利き。好きな食べ物は甘いものなら何でも。ちなみに彼女はいるよ。」
おぉーっとなぜか知らないが歓声が上がった。別に高校生にもなって彼女がいても問題はないと思うのだが。
大「一応今いる部員も紹介したほうがいいのかな??でもまだ入るって決まってるわけではないし、入部が正式に決まったら改めてミーティングでも開いて自己紹介させるね。」
恒「ありがとうございました。」
大「他に質問ある人-??」
恒「なぁ慧。この部活の先輩たち結構ノリがいいし、雰囲気もいいから好感触だな。」
俺は、首を縦に振って肯定した。なぜしゃべらなかったのかというと、他の新入生が部長に質問していたからだ。
その後の質問は部活を始めるにあたって必要なものは何かとか、大会ではどんな成績残してるのとか、休日はどれぐらい練習してるのだとか、部長の彼女さんはどんな感じなのかとかさほど気にするようなものでもなかったので聞き流していた。
大「じゃあ休憩時間も終わるし、今日の見学はこれぐらいにしようと思うんだけどいいかな??また明日にでも興味ある人は来てくださいね!!あぁそうそう、経験者と未経験者もいるだろうから言っておくんだけど、経験者でもう入部決めたって人は明日からこのコートで練習に参加してもいいからね。さすがに未経験者の人は道具とか揃えなきゃならないだろうから参加はできないけど、軽く打たせることはできると思うから、ジャージとか運動できる格好に着替えてから来てね。」
そんな感じで、部長の笑顔に見送られ俺たち新入生はコートを後にした。
恒「慧、明日から俺は練習に参加するけどどうする??」
慧「とりあえず、今日の夜にでも考えてみるさ。部内の雰囲気はよさそうだし、なによりここならソフトテニスが楽しめそうな気がするからさ。」
恒「ok!!わかったよ!!じゃあ決まったら連絡くれよな」
慧「あまりいい返事を期待するなよ。本気で悩んでるんだからな。」
恒「わかってるよ。」
美里たちとの集合場所に到着したが、美里たちはまだ来ていないようで、まだ女テニの見学中なのだろうと思い、食堂の近くにある自販機にいって飲み物を買うことにした。
太「本台二中の涌谷だよな。」
自販機の横でミルクティーを飲んでいたらいきなり見知らぬやつに恒が声をかけられた。制服の新しい感じが見受けられるのでどうやら同学年らしい。
恒「そうだけど?えーっとその顔は、西中1番手の太白君だっけ??」
太「あぁ、西中1番手前衛の太白稜だ。大会では良く当たってたよな、涌谷とは。」
恒「そうそう、ポジションが良くて結構打ちづらかったのを覚えてるよ。まぁ負けなかったけど。」
太「涌谷の球は打ち方が特殊だからどこに飛んでくるかわかりづらくて苦労したよ。つうか同じ高校になったんだな。これからよろしく頼むよ。もちろん2人は明日から練習に参加するんだろ??一緒にできることを楽しみにしてるよ。じゃあ用事があるから。」
恒と話すだけ話して太白は行ってしまった。
慧「なんか見た事あるような顔だと思ってたけど、西中のソフトテニス部のやつだったか。つうか俺の名前出てきてないじゃん。俺も一応本台二中のソフトテニス部部長だったのに。」
恒「さすがに顔はみた事あるけど、プレースタイルとかは覚えてないんじゃないか??慧はすぐ負けてたし。」
慧「それはちょっとショックだな。やっぱり入るのやめたほうがいいのかな。」
恒「これから同じ部活に入ればいやでも覚えてくれるだろ?だから慧は安心してソフトテニス部に入ればいいんだよ。」
恒に軽く流されたが、俺は中学時代は本当に弱かった。真剣に部活には取り組んでたのに全然勝てなかった。中学管内の大会で1回戦は勝てるけどその次が勝てなかった。一種の呪いなんじゃないかってみんなに言われたものだ。だから管内の上位陣に位置している者たちにとっては全然覚えてもらってないだろうし、何よりうちの中学には恒という大きな存在がいたわけだから、本台二中と言えば涌谷ってのもうなずけるのである。
…続く。
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こんな感じなんで、投下してみたら結構長くてびっくりwww
とりあえず読んでみた感想などありましたら、宜しくお願い致しますm(_ _)m