桜を観てきました。

 

桜散る季節に僕ら繋いだ手を離した

桜よ 離れていく花びらをどんな想いで見送るの?

 

2002年の4月6日から翌年3月29日まで、放送されていたあるアニメは今だに心の中に深く強く残っている。

当時小学4年生だった僕は、音楽の授業が大嫌いだった。

母親はパートタイムに働き始め、家庭環境も変わっていったこの時期。

今思えば、この時が一番最初に様々な音楽に触れていた瞬間であったかもしれない。

 

「満月をさがして」という種村有菜先生が描いていた漫画が原作のアニメ。

歌手を目指す主人公は女の子で、その子を取り巻く恋愛や音楽活動面でのライバル、若干ファンタジーな人間模様。

このアニメの主題歌、Changin' My Life/My selfがどうも当時の僕の心を貫いた。

それまでにも、両親が音楽好きということもあり、幼い頃から楽曲を耳にしながら育って来た。

だけど、この曲は初めて自分で見つけて好きになった曲、かもしれない。

 

家では、母がよくMDをかけていた。

父と出かける時には、TOKYO FM かNACK5を聴いていた。

 

小学生の頃の自分は、大勢の前に出ることが大の苦手だった。

注目されるなどもってのほか。

だから、音楽の授業が大嫌いだった。

クラスメイトの前でリコーダーを吹き、鍵盤ハーモニカを弾き、1人ずつ歌を歌わされる授業。

本当に地獄でしかなかった。

嫌な気持ちに諦めがかかるのは、2年もかかった。

 

 

昨日の3月6日、朝の10時に待ち合わせをして、秋葉原を散策してきた。

というか、元々は光輔が東京マルイのMP7を買うのに付き添うだけだった。

前日までは「朝の10時に待ち合わせをするから、昼過ぎには帰宅するんだろうか」なんてぼんやり考えていた。

 

 

秋葉原、という文字やワードだけで少し興奮を覚える。

初めて秋葉原に行った日を僕は覚えていない。

中学生くらいの歳の頃、初めて行く場所ばかりで、目紛しい混乱と目ざましい刺激。

今ではどこも誰でも行ったことのあるような場所ばかり。

 

秋葉原、といっても、淡路町や末広町の方まで行ってしまえば、誰もが思い浮かべる電気街の雰囲気とは異なる世界。

 

 

神田明神こそラブライブ!で一躍有名な場所になったが、遷都1300年を超える歴史ある場所。

電気街のはじの方にあるたい焼き屋、神田達磨本店も設立10年ほどではあるが有名かつ美味しい店。

 

 

音楽ほどではないが、アニメや漫画などの二次元作品も好きだ。

好きだった。

好きだった、のかもしれない。

思い出が深い、ガンダム作品こそ世代的には新しいものであるが、

遊戯王や封神演義、最遊記、RAVE、少年アシベ、セーラームーン、

3丁目のタマ、ヤマトタケル、オーフェン、GEAR戦士電童、スクライド、

物心ついた時から、アニメが大好きじゃないか。

特撮よりも、そういう作品の方が好きなのかもしれないし、

 

幼さに目で手で触れることのできる、少しアンニュイで懐古的で時代のシンボルもある、

この秋葉原が好きなのかもしれない。

 

二次元の景色と、広義的ビジネスマンの景色と、趣ある景色と、様々な表情を持ちながら、

傷を抱えた人たちが集まり、主張のない、それぞれの時間が流れる街。

エスカレーターが登っていくときには、無意識に言い聞かせているような気がした。

まだ、あの部屋は落ち着かない。

信じられないほどではないが、それでも、嘘のように感じてしまう。

 

もう、あの空間では過ごせない。

 

ずいぶんと経った。

過去に執われ、そしてすがり、生きてきた人間が、2度も全てを捨てた。

そして3度目の今、捨てることはなく、そして過去も吸収した。

これ以上、何があるというのだろうか。

蓄積されていく日々の中で、何も考えず、実感もないまま、

自分はどこへ向かっているのか。

 

風の中で何かを探し見上げたときに、「自分は今どこにいるんだろう」と感傷に耽ることがあった。

もう、名前も思い出せない。

少しずつ、少しずつ、じょじょに薄れていく。

いつからか、雑でぶっきらぼうで向こう見ずな言葉を使うようになり、

いつからか、なにも見えなくなって、きこえなくなって。

そして何もなくなった。

 

今は、まだない。

 

自分も知らぬ、恐れている、何かが燻っている。

芯を。そして観念を捨て。

 

毎日、というよりかは、1日を生きている。

毎日と言えるほど、先のことまで考えれていない。

スケジューリング、記憶、集中力、注意力、散漫になりすり減っていく。

それを、なんとか繋ぎ止めたい。

 

楽しいことは更新されていく。

幸せな事も更新されていく。

 

悲しい事も、苦しい事も、みな今を生きている。

それでも、忘れられないこと。もの。記憶。

大切であっても、そうではなくても、忘れられないそれたち。

 

時間を景色で塗り替えていく。

 

取り返せないもの。

取り返せるもの。

 

壁が成長していく。

そして邪魔をする。

環境も。

 

周りは加速している。

白線の光と影は変わらぬまま。

空は広く、雲は移ろう。

なにもなかった。

 

なんにも。

 

音が水滴のように耳の奥に落ちていく。

一滴、一音、連なる音がだんだんと分解されていき、やがてひとつになる。

 

一つからひとつへ。

ひとつは1つへ。

 

その1は、0にも2にもならない人生だった。

そう させなかった。

今この手で、頭で、瞳で、何ができるのだろう。

 

暖かいご飯を作り。

つるを弾き。

シャッターを降ろす。

刻むように、忘れないように、なくさないように、すぐに思い出せるように、

打つ、文字を、言葉を、数字を、

笑顔、を。

 

 

彼は煙草に火を付けると、一口吸い上げ空を見上げるように煙をゆっくりと吐く。
でもその心の中では、自分や周りの人間を卑下悲観し、感傷に舌を這わせる。

その煙草を吸い終わる頃には、電子タバコを準備している。
いわゆるチェーンスモーカーだ。
見なくなったなぁ、なんて思いながらも、思わず見入ってしまうなにかがある。
旨そうに煙草を嗜む姿に。

その道理で気持ちが満たされて、酒が進み食べ物は喉を通らないわけだ。

一方で、女子達は七輪を囲い煙に囲まれている。
ハサミで肉を切り、焼き、食べる。
その間ずっと喋っている。

別々に信愛を寄せ、認め合い長く付き合っている友人達。
そして久しぶりに再会をした元仕事仲間。
こんな自分自身を中心に、13人も集まったその場は、なんとも言えない状況と光景だった。

それぞれに仲良くなりだす人達。
人見知りは数時間で根絶し、まるで古くから皆んなが知り合いだったかのような状況。

自分が憧れ続けていた人はもうその影は無かった。
それでも引かれているその点と線の先には羨望と敬愛、僅かな背徳と後悔。

終わった後も、まるで親に上手く躾けられた子供のように想いを吐露し合う。
そして記憶に包まれ、淋しさに苛まれ、優しさとその暖かさに想いを寄せ、
また集いだす。

耳に残るZARDの曲と歌声。
寒さは冷えを感じさせ、その代わりに温もりをより増幅させる。
避けれないし、避けるべきではないのかもしれない。
きっとそうなんだろう。

冷たく刺すような空気が鼻を通り抜け身体を冷やしてく。
ツーンとする感覚と、吐く息が揺れて消える景色の先に、もうあの頃はない。
あの頃は、なんて言いたくはなかったのにな。
なんて言葉も、浮かぶとは思ってもいなかった。

この手は、指は、愛情を知った。
視線は奪われ、心は掴まれた。

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かけ離れていく、人間。
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沈んでいく毎日。

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それでも時と世界は進んでいく。
僕は立ち止まったまま。

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魚にも、鳥にも、虫にも、なににも憧れなかった。

羨むほどのものがなかった。

すべてを消し去りたかった。

冬が口笛を吹く。
僕は季節に嫉妬する。
頭の中が心をノックする。

使い慣れた嗅ぎ慣れないシャンプーの香り。
跡。
時間に追われ、世界を追う。
辿り着けない明日。
それでも存在している。

中秋の名月。芋の名月。十五夜。

寒いなあと頭のなかで言葉を補完し、雰囲気を夢見て見上げる10月4日の夜空は、

あの頃と同じ空をしていた。

 

うろこ雲と、澄んだ空。

鈍色というとそれは失礼で、紺色と喩えが効くような空の表情。

 

26歳を迎えようとしている今の自分では、もう開けられなくなってくる引き出し。

でも、当時の自分の中では、本当に衝撃的だった。

9月から1ヶ月間、丸々記憶がない。

3年前、2014年の8月。

開店準備に追われ、試験に追われ、真っ暗いコンビニの店内で夜通し作業。

34時間作業をし、その後自分の店での接客。

開店初日の活動時間は42時間。

 

ぼんやりと、感情と思考の半分は故意的に、

乗った8:44分発の電車を降りれずに、公園のベンチでタバコに火をつける。

携帯の電源も切らずに。まるでなにかを待っているように。

 

思考を働かせ、思い出すことは、やはり大切だ。

なまっていってしまっては、なんとなく、気が落ち着かない。

というか、貧乏性なのだろう。もったいない。

 

そこまで思ったところで、「満月じゃないけど綺麗」

隣で歩く愛を捧げているその彼女。お互いの悪い癖で、ミリ足らずの知ったかぶりを

してしまう。

満月だから中秋の名月。15日目だから十五夜。

雲間に欠けて見えるような月を見上げ、自信のない知識で反論した。

「満月だよ」中秋の、を言いかけたところで、

「あ、そっか」とつぶやき納得する彼女。

この人は、主語なしでも確実に伝え合って理解し合える唯一の素晴らしい人だ。

(たまに外れるけどでもなんとかなる)

 

駅の下にある元立ち食い蕎麦屋で、空腹で冷えた体を温める。

彼女と食べるものはなんでも美味しい、とはいかないが、

彼女と過ごす時間はとても美しい。何をしていても。

その後、駅ナカの本屋で2冊の漫画をお互い折半で買い、彼女に渡した。

大きさなど気にならない。楽しみだなぁと思える期待と、

幸せだなぁと思える瞬間が絶えない。

 

「給食でお団子とか出たよね〜」

なんて他愛のない会話に、少し時代のギャップを感じながらも、

それでも、常日頃あまり差を感じない。

 

本当に素敵な人だ。

自分を変えなければいけないのかもしれない。

こころからピシッと小さな音。

 

簡単な、その場を取り繕う言葉は昔から大嫌いだ。

小さな嘘も、大きな嘘も。

似通った言葉で正を通すのも大嫌いだ。

濁すのも嫌いだ。

はぐらかされるのも嫌いだ。

 

よりかかりすぎてしまっていた。

言葉も、過去も、もう必要ないのかもしれない。

取り戻すべきなのかもしれない。

忘れてしまおう。一度全てを。忘れられるものならば。

言葉は放つと消し去れない。いつかのように噤んでしまおう。

一度だけ。もう一度だけ。

そして何度も紡がれて。

http://www.uta-net.com/song/170346/

死んでもいないのに、無くなった。

亡くなっていないのに、心の中で弔う。

生きているはず。そう信じるしかできない。

 

君はあの時、僕に怒鳴りつけた。

長く問いて、短かく聞こえた。

 

僕は今本を読んでいる。

でも、あの頃みたいに言葉が入らない。

多分必要としていない。時間ばかりを追うようになってしまった。

もし、心で愛されていないとしたら。

もし、その心が偽りだろうとしたら。

人の心なんて、誰にもわからない。

自分にさえも。

 

僕は弱い。生きている。

未でも思う。この世界がすうっと優しく消えてくれたら。

状況に呑まれている。
ダメだ。弱い。弱すぎる。

どうしてこうなってしまったのだろう。
そんな言葉で振り返るほど。

もっと生きなきゃ。ごめんなさい。