　雑誌LASTのバックナンバーを眺めながら、ジョンストン＆マーフィーのLE83って結構ロングノーズだったんだなーなどと考えていたときに、ふと、トンガリ靴の話を思い出しました。

　どこで見聞きしたのか忘れましたが、私は革靴好きを自覚するよりも前に、トンガリ靴はダサいという話があることを知りました。たしか「トンガリ靴を履いているとまるでホストのように気取って見えてしまい、ダサいから、そういう靴は履かないほうがいい」というような話だったと記憶しています。

　あれから数年。私はトンガリ靴と無縁に生きてきたつもりではあるのですが、そのせいもあってか、私にとって例の話は都市伝説のようなものに思えてきました。

　まず、トンガリ靴を履いたホストというものを、私は見たことがありません。そもそもホストを見る機会がほぼないから当然なのですが、私にとって「トンガリ靴ホスト」はUMAのような存在です。だから「トンガリ靴を履くとホストのように見える」という見方が適切なのかどうか、あんまりしっくりこなくてモヤモヤします。ホストの方々は自分をカッコよく見せることにかけてはプロなんですから、ダサいと定評のある靴なら避けるようにも思うんですよね…。

　それから、「トンガリ靴ビジネスマン」も見たことがありません。これは私が他人の靴をよく見ていないせいかも知れませんが。世の男性諸氏に向かって「トンガリ靴に気をつけろ」と警鐘を鳴らす記事は容易く発見できるのですが、その罠（？）に陥っている人がどれだけいるのか謎な気も…。

　そんなモヤモヤもあって、このほど改めてネットで記事を漁ってみたのですが、そもそもトンガリ靴とは何かという定義があやふやな気がしてきました。

　ある記事は、トンガリ靴とはロングノーズすぎる靴のことだと説明しています。ところが、別の記事ではポインテッドトゥの靴のことだと説明されていました。

　私の理解によればロングノーズであることとポインテッドトゥであることとは別の話です。ロングノーズのスクエアトゥの靴や、ショートノーズのポインテッドトゥの靴も存在すると思うのです。それらは果たして「トンガリ靴」でしょうか？ううむ…。

　結局、見る人が「つま先が尖っている」と感じればトンガリ靴だし、そうでなければトンガリ靴じゃない、という主観的な呼称なのでしょうね。

　さて、ひるがえって、雑誌LASTに掲載されていたLE83。この靴はトンガリ靴でしょうか。

　私は、違うような気がするんですが。なんとなく。

トンガリ靴の伝説