ここに書いたように、リーガル製ジョンストン&マーフィーのLS46のパイピングが切れていたので、靴修理店に持ち込んでみました。
このカカトの上部の革が重なったところを、ドッグテールとかドッグイヤーとか呼ぶようですが、靴修理職人さん曰くこのドッグテールの先端部分というのはやはり壊れやすい箇所だそうです。
ドッグテールは革が2枚重なっていて剛性が高いけれど、隣接している箇所は革が1枚分の厚さしかないから、その境界部分に大きな力が作用してしまうので壊れやすい、ということだそうです。たしかに、いかにも応力集中が発生しそうな場所ですもんね。
ちなみに、靴べらを使わずに指で靴のカカトをグイッと引っ張って靴を履いていると、そのたびに強い力が作用するので、こういう破壊が起きやすいとのこと。さもありなん。
放っておくとこのままアッパーのカカトが縦に裂けていってしまうらしいので、修理をするつもりがあるのなら早めの対処をしておくのがやはり良さそうです。
職人さんはいくつかのプランを示してくれました。
方法①パイピングを補修する
切れてしまったパイピングをアッパーに縫い留めている糸を除去してパイピングの革を外し、代わりに新しい革で再度パイピングをつくる、という作戦です。
これが、最も元どおりの見た目に戻すことのできる選択肢です。YouTubeで見たことがありますが、この修理法のコツは、新しいパイピングを縫い留めるときに前回の針孔を再び刺すよう、一針一針狙って縫っていくことだそうですね。でないと、元々あいて針孔と、今回の針孔とが繋がって、点線が繋がるようにして革が切れちゃうから。
方法②パイピングの上に細い革を縫い付けて補強する
切れたパイピングは外さず、上から新しい革をかぶせて縫い付けることで、切れた箇所を隠すとともに強度を高める作戦です。
パイピングよりは少し幅広くらいの革を使うことで、見た目にもそこまで大きな影響は出ないようにでき、それでいて、方法①よりは強度が出るそうです。
方法③ドッグテールを覆うサイズの革で補強する
ちょうどドッグテールを覆うような形の革を縫い付ける、という作戦です。
今回提示された修理法の中で最も高い強度を実現できるプランですが、見た目も一番変わることになります。
さて、以上の方法①~③の中から、私がどれを選んだかというと、コレでした。
はい、方法③です。
さすがにリーガルの顔料コードバンと同じ素材は手に入りませんから、補強部分だけ質感の異なる革となってしまうのは仕方ありません。とはいえ、これが最強の補修方法だということで、こうしてもらいました。
そんなに違和感ない気がします。
結局、ライニングも一緒に補修してもらいました。
カカトの補強のために取り付けられた革を、さらに上から覆うようにライニングの補修用の革を貼ってもらいました。これによって、足を入れたときの違和感軽減が期待できるそうです(カカト補強用の革の端部の段差が隠せるので)。型番とかの情報が隠れてしまったのは少し残念でしたが、仕方ありません。
お値段は、カカトの補修が4,400円、ライニングの補修が3,300円で、合計7,700円でした。預けていた期間は3週間~1か月くらい。
この靴が中古で10,000円くらいで購入したものだったことを考えると、修理に費用をかけ過ぎている気がしないでもありませんが、まあ、よしとしましょう。
よーし、また履くぞー!