(
①の続きです)
(覚え書きなのでゆるりとお付き合いください)
午後の診療開始15分前、薄暗い待合室には既に妊婦さんが5~6人待っていた。
(きっとここの産院、人気あるんだな)
自宅と職場のちょうど中間にあるからっていう単純な理由でここを選んだ私にとっては新鮮な驚き。同時に、長いお付き合いになりますように、ってバカなことを考えたりもした。
ふっと私の横をひとりの妊婦さんが通り過ぎる。驚いたのは、見慣れたエンジ色のコート。その妊婦さんは、再来月に出産予定の同じ職場の友だちだった!その子とは同期で、ついこのあいだも食事会をしたばかり。この産院だと知っていたけど、まさかここで出会えるとは思ってもいなかった。
受付票を書き終えてこちらを振り返った彼女に、思わず○○ちゃーんと呼び止めてしまった。彼女は驚きながらも笑顔で私の隣に座った。
「えっ!ちょっと、おめでたなのー!?」
つい二週間ほど前の食事会の時は自分が妊娠していることなどつゆ知らず、今年こそ!と意気込んでいた私が産院にいるのだから、驚くのは無理はない。コソコソ声の会話が続く。実は…と打ち明けると彼女は肩を叩いて喜んでくれた。ただ、この時は今まさに自分に起きている不安要素は言わずに、ただ妊娠したんだよとだけ伝えた。心配かけさせたくなかったし、言葉にすると私自身がだめになりそうで言えなかった。(けど今思えば制服のままこんな時間にここにいること自体が妙だったかも…*)
聞けば今日は妊娠後期の妊婦さん対象のマタニティクラスが午後イチであるらしく、それに彼女も参加するそうだ。なるほどそれでお腹の大きな妊婦さんばかりたくさん待っているのかと納得。受付時間より早めに助産師さんが現れて彼女と他の参加者を引き連れていくのを見送ると、私だけ待合室にひとり残される。
彼女から元気をもらってほっとしたのも束の間、ぐっと現実に引き戻される。私も順調にお腹の子を育てていけるだろうか。マタニティクラスとか、臨月とか、無事に迎えられるのかな。今度彼女に会うとき笑顔でいられますように!精一杯祈って診察室に呼ばれるのを待った。
(まだつづく)
(まだ診察室にたどり着かず…!)