精神科を受診した。いつもと同じく、特に何か有難いことを言ってくれるでもない医者。しかし気に障るような人でもないので、良しとしている。カウンセラーでもないからなのか、特別話を聞くのが上手いとも思えないが、やることがないので、適当に話して薬を貰う。薬が効いているのかどうかは分からない。
穏やかにあろうと思う。
今日待合室で順番を待っていたら、俯き気味に女の子とその母親が入って来た。このクリニックは受付と待合室の椅子が向かい合っているので、受付係との会話が筒抜けだし、顔を上げれば患者の後ろ姿が丸見えだ。
母親が「初めてなんですけど…」と切り出すと受付は「予約制なので…」とさも断りたげに言う。断りたい訳ではなくても、藁をも縋る思いでここへやって来た母娘には冷たい一言に聞こえたに違いない。事実私は悲しくなった。受付係には分からないのか?この母親がどんな気持ちで、力なく俯き気味にしているこの女の子を連れて来たのか、この女の子がどんなに勇気を振り絞って精神科に来たのかが。
聞くでもなく聞こえて来たのは「17歳です…待ちます」の言葉だった。