たまにくる太ったおばさんがいてこの人も小銭で払うのだが1ユーロ2ユーロコインなので全然苦じゃない。 むしろ足りなくなりがちな1ユーロ、2ユーロなのでありがたいくらい。ただ風貌とか服装とか、爪もいつも垢で汚れていたりなのであまり裕福でないのは分かる。
今日も70ユーロ近い買い物をしてコインと5ユーロ札を出され数えたらまだ13ユーロ足りない。

足りないお金を払おうとバッグを弄っていると、おばさんの次に並んでいた10代か20代前半くらいの若い男性が、「13ユーロは僕が払う」と言う。 おばさんはお礼を言って立ち去った。

これだけの出来事だが、こういう施しの精神が結構浸透しているのはフランスの良いところだなあと思っている。

13ユーロは大金ではないけれど、赤の他人にヒョイとあげられるような金額でもない。

この人に限らず、ホームレスと一緒に店に入ってきて買い物代を払ってあげている人もいたし、別のホームレスがレジで「ドルしかないんだけれど使える?」とくしゃくしゃで真っ黒の10ドル札を広げて聞いてきた時、(もちろん使えない)そばにいた女性が「お酒以外なら私が払うから好きな食品を選んで」と言ってサンドイッチと飲み物を買ってくれたりと、また先日のフードバンクもだが、弱者を助ける精神が浸透しているようで、ここはフランスの良いところの一つだと思っている。


数年前日本のテレビで見た人を思い出してしまった。 会社の社長で年商数億だか数十億だかで高層高級マンションに住んでいる独身男性が、ふるさと納税でもらった数々の品物を得意そうに見せていた。冷蔵庫の中にはこれまたふるさと納税で貰った高級食材がぎっしり詰まっていて、何だか淺ましいなぁって思った記憶がある。


13ユーロ払った青年の行為ははこのふるさと納税社長と対極なところにあるような気がする。