純くんは流行りの話題が得意ではなかった。
テレビだったり、音楽だったり、ファッションだったり。
そういうことに疎かった。
私はミーハーなところがあるのでそういう話題は大好きだった。
それはA美、B子、Cくんも同じで
そういう話題で盛り上がることがあっても純くんは、うんうんとニコニコと頷きながら聞いてくれる。
純くんは野球が好きだ。
放課後は毎日野球部の練習をしていた。
私は純くんのそういうところを密かに尊敬していた。
なぜならば、学校という場所は狭くて閉鎖的。
多数派でいないと立場が悪くなることもしばしばある。
私だってミーハーだけれど、
時には興味のない音楽を聴くことだってあるし
興味のないドラマを観ることもあった。
それは多数派でいたかったから。
そんな弱く普通の人間なのだった。
純くんは好きなことに一生懸命に力と時間をありったけ使っていた。
流行りのことなんて知らなくともへっちゃらな人。
本気で好きなことがあるって強い。
もちろん、一応「少数派」になる純くんだったがそれで学校生活がうまくいかないなんてことはなかった。
それは彼の人柄だろう。
一度、放課後に友達を待っていて暇だったから野球部の練習をなんとなく眺めていたことがあった。
少し遠くから。
その時の純くんの顔は初めて見る顔だった。
クラスでは見たことない顔。
真剣で、迫力があり、そしてキラキラしていた。
こんな顔をするんだ…と。
ちょっと、カッコイイじゃん…と。
なんて思ったけど、すぐに純くんの大切な領域を勝手に覗き見をしてしまった気分になりほんの少し罪悪感をおぼえた。
帰り道、
自分はつまらない人間だなと思った。