つりの先生


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《つり、おしえます》
と、書かれたかんばんを見つけた男が、頼み込みました。



「弟子にしていただけますか?」


「それはかまわんが、その前に、みどころのあるなしを調べねばならん。

このつりざおを持って、二階へあがって糸をおろしなさい」


 男が言われた通りにすると、先生はおりてきた糸の先を、ちょっと引っ張りました。

「これは何のひきか、おわかりかな?」
「わかるとも、ハゼだ」


「残念じゃが、キスにござる。では、これはどうじゃな?」
「セイゴ(→スズキの子)かな」


「いや、クロダイの子のチンチンでござる。では、これならおわかりじゃろ」
「えーと、アイナメのようだが」


「またもはずれ。カレイにござるよ。あなたはよくよく感がにぶい。

今度こそ当てなさいよ。子どもにもわかる答えじゃから」


 先生は言うがはやいか、つり糸の先を力いっぱい、ぐいーっとひっぱりました。



 男はふいをくらって、二階からまっさかさまです。



「あたたたたたっ!」
 ひたいのこぶをおさえながら、男は泣きっ面で聞きました。



「今のはかなりの大物でしたが、ブリですか? カツオですか?」


「残念ですが、あなたには見込みがありませんね。

カッパのひきもわからんようでは、とうてい無理でござる。つりはあきらめなさい」


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美女と野獣



 むかしむかし、あるところに、商人が三人の娘とくらしていました。

 三人のうちでも末娘のベルは、とても美しく、心がやさしいのでひょうばんです。


 ある時、お父さんが仕事で近くの町ヘ出かけることになると、一番上の姉さんがいいました。
「お月さまの色をした服を買ってきて」


 すると、二番目の姉さんも、「お日さまの色をした服を買ってきて」
と、ねだりました。


 でも、ベルは何もいわないので、かわいそうに思ったお父さんが何度も聞くと、
「・・・バラの花が、一本ほしいわ」
と、答えました。


 仕事を終えたお父さんは、姉さんたちの服を買いました。


 でも、バラの花はどこにもありません。


 おまけに帰るとちゅう、道にまよってしまったのです。 こまっていると、遠くにあかりが見えました。
 近づいてみると、とてもりっぱなお城です。


 けれど、いくらよんでも、お城からはだれも出てきません。
 ふと見ると、庭にきれいなバラの花が咲いています。
「みごとなバラだ。これをベルのおみやげにしよう」


 お父さんはベルのために、赤いバラをひとえだおりました。
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「なにをする!」 そのとたん、目のまえにおそろしい野獣(やじゅう)の顔をした男があらわれました。


「だいじなバラをぬすんだな、ゆるさんぞ! いいか、おまえの娘を一人ここへつれてこい。さもないと、いのちはないと思え!」
と、いって、野獣の男はパッとすがたをけしました。



 お父さんはふるえながら道をさがして、やっとのことで家にたどりつきました。

 お父さんがまっさおな顔で野獣の話をすると、ベルはいいました。



「お父さん、ごめんなさい。わたしがバラをねだったせいです。野獣のところへはわたしがまいります」
「しかし・・・」
「いいえ、わたしがまいります」



 ベルがいいはるので、お父さんはなくなく、ベルをお城へつれていきました。


 するとたちまち、野獣が出てきて、「この娘はあずかっておく。おまえは帰れ!」
と、お父さんをおい返しました。



 ベルはこわくてこわくて、ブルブルとふるえていました。


 でも、野獣はやさしい声で、ベルにいいました。
「こわがらなくてもいいよ。この城はあなたの城。食べ物も着る物も、ほしいものはみんな一人でに出てくる。どうぞ、楽しくおくらしなさい」


 野獣は、時どき食事をしにくるだけでした。


 でも見かけとちがって、いつもやさしい野獣に、ベルはうれしくなりました。

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 ある日、野獣は遠くの物を見ることが出来る、ふしぎな鏡をベルにくれました。
 ベルがその鏡で自分の家のようすを見てみますと、

なんと、病気でねているお父さんのすがたがうつっていたのです。


 お父さんはベルのことがしんぱいで、病気になってしまったのでした。

「おねがい、お父さんのおみまいにいかせてください」
「いいよ。・・・でも、かならず帰ってきておくれ」



 ベルが家に帰ると、お父さんは大よろこびで、すぐに病気がなおってしまいました。
 けれど姉さんたちにひきとめられて、ベルはなかなかお城へもどれません。



 そんなある晩、今にも死にそうな野獣のゆめをみました。
「たいヘんだわ。はやく帰らなければ」
 むちゅうで道を走り、やっとお城ヘついた時、野獣はグッタリして、もう口もきけません。



「ごめんなさい、ごめんなさい。わたしが帰らなかったせいなのね。ほんとうにごめんなさい」



 ベルは涙を、ポロポロとこぼしました。


 そして、その涙が野獣のかおにおちたとたん、野獣は、りっぱな王子さまにかわったのです。



「ありがとう、ベル。おかげで魔法がとけました。

やさしい人が、ぼくのためにないてくれなければ、魔法はとけなかったのです。


・・・ベル、どうかぼくと結婚してください」


「はい」


 やがて二人は結婚して、幸せにくらしました。


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