目が覚めると、私はマサキとなっていた。
鈍い痛みを訴える頭を抱えて起き上がる。
思い瞼を無理やり開ける。
けぶるようなと表現される白銀の髪が零れ落ちる。
素肌に触れる部屋の空気が、かろうじて、朝と表現していい時間なのだと、教えてくれる。
「やっと、お目覚めかな、お姫様」
「うぅ。。。」
うめく私に傍らから差し出されるカップ。
「ありがとう」
受け取り、咽喉へと流し込む。
「今日は親父殿が帰ってくる日だよ。ご馳走のために、狩りにいくって言ってなかったかな?」
男が腕を組みながら、私を見下ろしている。
あいかわらずの、綺麗な顔にしばし見惚れていた。
綺麗な顔は、眉をしかめていてもやっぱり綺麗だ。
「マサキ、聞いてる?」
「うん、聞いてる聞いてる。」
そう答えると、空になったカップを男に渡して、ベッドから降りた。
「もう少し、目に優しい格好をして欲しいな。」
「今更でしょ。見飽きるくらい見てるでしょ。私の裸なんてさぁ。」
「そういう問題じゃないと思うよ。見飽きることもないしね。」
そう言うと、男は、椅子にかけてあったシャツを着せ掛けてくれた。
「子供たちは?」
「何時だと思ってるのさ。とっくに出かけたよ。」
私の問いかけに、男が軽くため息をつきながら答えてくれた。
「あら、そう」
「ごはん、食べるかい?ランチになるけどね。」
「うぅ、さり気に嫌味いわないでようぅ。。。」
上目づかいに、男を見ると、またしても、軽くため息をつかれた。
ダイニングにいくと、テーブルの上には、出来立てのおいそうなランチが置かれていた。
男が椅子をひいてくれたんで、素直にその上に座る。
「で、狩りはどうする?」
男も椅子に座ると、そう問いかけてきた。
「うん、狩りはもういってきた。肉はOKかなぁ。」
「昨夜、遅かったのはそれ?」
「うん。」
「そう。一緒に行く約束だったと思ったけど?」
今度は男に上目づかいに見やられた。
「うにゃん。だって、昨日の連合の仕事先が絶好の狩場だったんだものぉ。」
再び、男がため息をついた。
「でも、魚がまだなの。釣りは苦手」
「わかった。じゃあ、そっちは俺ね。」
「うん!食べ終わったら、一緒に行こうね。」
にっこりと微笑んだ私に、男の顔に苦笑が浮かぶ。
きっと、しょうがない奴とか思ってるんだろうなぁ。
「じゃあ、早く食べてしまおう。親父殿の帰還に間に合わなくなるからね。」
そういって、綺麗な顔に浮かべられた微笑みに、私は、また、見惚れてしまった。
穏やかなある日の出来事。
