ある日、一匹の子猫が生まれました。
小さな命の輝きを宿し、これから始まる未来に目を輝かせているかのように、真っ白な毛並みをしていました。
しかし、その子が生まれた場所は、あまりにも過酷で想像を絶するひどい環境だったのです。
子猫は、肌寒く薄暗い部屋の隅で、母猫のお腹に必死にしがみつきました。
子猫が甘える母猫の体は、骨が浮き出るほど痩せこけています。
乳を吸っても、十分なミルクは出てきません。満足に食べることもできない状態──それが日常でした。

部屋のなかは、鼻を刺すようなツンとした臭い。目を開ければ、そこは茶色く汚れた世界。
床には黒い塊のようなものが散らばり、足を踏み入れるたびに粘つくような感触がします。
それは、排泄物や古い食べ物の残骸、抜け落ちた毛がごちゃ混ぜになったものでした。
いくつか並べられたお皿には、何日も放置されて固まったエサ。何日も変えられていない水。
新鮮な水など、子猫は一度も口にしたことがありません。

周りには、たくさんの猫たちがいます。
どの子も痩せ細り、毛並みは汚れ、元気がないように見えました。
生まれたときは真っ白だったこの子の毛並みも、この劣悪な環境で次第に汚れ、今はくすんだ茶色に染まってしまっています。
一緒に生まれた兄弟の中には、たった数日で息を引き取ってしまった子猫もいます。
この子も、いつまで生きられるのか──。
「どうして、こんなことになってしまったんだろう…?」





