「飲む?」

 

いつも通り、
徳夫は私にビールを飲むか聞いてきた。

もちろん、
答えはNO。

 

亮太と徳夫は隣同士で座り、
おしぼりで何かを作って遊んでいる。

二人で笑いながら、
楽しそうに話していた。

その光景を見ながら、
 

私はただ静かに食事をしていた。

三人でお腹いっぱい食べ、
中華料理屋を出た。

 

そして、
私の提案で少しドライブしてから
帰ることにした。

 

亮太は幼稚園が終わってから、
昼寝をせずに来ている。

お腹もいっぱい。

きっと、
眠くなるはず。

 

車に乗り、
夜の道を走り出す。

しばらくして、
予想通り亮太は眠ってしまった。

寝息が聞こえる。

そのタイミングで、
私は口を開いた。

 

「お腹に赤ちゃんができた」

 

運転している徳夫に、
それだけを伝えた。

 

徳夫は、
特に驚いた様子もなく
いつも通り運転をしている。

 

なんて言うだろう。

返事はすぐにあったと思う。

 

でも、
私にとっては
とてつもなく長い時間に感じた。

静かな車の中で、
私はその言葉を待っていた。