春が来て、町のあちこちに花が咲きにおう季節になると、
広尾の商店街のハナミズキが見たくなる。
まだ肌寒い東京の街をガシガシ歩きたくなる。

東京在住じゃないけれど、去年まで広尾にセカンドハウスが
あって、GWと夏は必ず家族で数日間プチ東京ライフを
楽しんでいた。
訳あって去年の夏、その部屋は譲らなくてはならなくなって
しまったのだけれど。
家もないし、ETC割引で道は混むしで、ちょっと
今年のGWの東京行きは怪しい。
ちょっと東京が遠くなった・・・。

車が神泉の交差点を右折して旧山手通りに入ると、
車の中の温度が3度くらい上がるような気がする。
代官山テラス、駒沢通り、恵比寿を通って、マンションに到着する。
玄関の鍵を回すと、前に出た時と変わらない部屋が待っている。
このちっちゃなスペースで、私たちは日ごろ背中にいっぱい
背負っている重たい荷物をよいしょっと下ろして、
ふーっと大きな深呼吸をするのだ。

子供のいない時も来ていた。
子供が生まれても、首も座らないうちから抱っこして
来ていた。
この家部屋専用のベビーカーも買って、ベビーカーを押しながら
広尾商店街も、出来たての六本木ヒルズも、表参道もてくてく歩いた。
子供が歩き回るようになると、有栖川宮公園によく遊びに行った。
大きな池に亀が頭の覗かせていている。山道を登ると
カラフルな遊具があって、大きな砂場もあって
さまざまな国籍の子供たちが混ざり合って遊ぶことができる。

ベビーカー期はあっという間に終わりを告げ、
地下鉄で遠くに出かけていけるようになった。
歩く距離もどんどんくなって、いつでも私たちの前を
嬉々として歩いている。
恵比寿ガーデンプレイスにパンを買いに行った帰りに
トシ・ヨロイヅカでイートインする。
紙のお皿が風に飛ばされそうになるのを押さえながら
なのだけれど。

地方生活で、毎晩夕食は家で食べている。
夜外食するとしてもハンドルキーパーの私がいるので、
ほとんど車でのお出かけだ。
そんな我が家にとって、夕方や夜、暗くなってからも
お街を親子でそぞろ歩くということも、東京ならではの
スタイルなのだ。

明治屋の週末のコンサートで聞いたバッハのメヌエットのことを、
息子はしばらく「東京のちっちゃいおうちの歌」と言っていた。
そして去年のピアノの発表会で挑戦したのだ。
彼なりの東京への思いを曲に託しているような気がした。

青山のこどもの城の音楽遊び、クレヨンハウス、
六ヒルのロボロボ園、ツタヤの子供の本コーナー、
自由が丘、上野の国立科学博物館・・・。

これらは何度も何度も訪れているところ。
これからも、東京は親子で楽しめるかもしれない、けれど、
帰り道、マンションが近づくと、息子が鍵を私から奪って、
一目散に坂道を駆け上って、我が家のエントランスに駆け込んでいく、
これはもうないなあ、と思うときゅーっと胸が痛くなる・・・。

ちょっと東京シックになっているこの頃なのだ。


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もう、ずいぶん前のこと。
仕事の夫を残して、1週間ほど滞在したロサンゼルスから
ひと足早く日本に帰ることになった。
早朝、まだ暗いうちにホテルを出発しなくてはならない。
現地在住の方が予約してくれたピックアップサービスの
ミニバンがホテルに迎えに来てくれた。

このピックアップサービス、ホテルだけじゃなくて
一般家庭の玄関先にも迎えに行ってくれるのだ。
まだ眠くてぼんやりとしていたのに、
思いがけないロサンゼルスの住宅訪問ツアーに
すっかり頭が冴えて楽しくなってきてしまった。

前テラスのある典型的なアメリカの住宅から、
重そうにトランクを転がしてゆっくりゆっくり車に
乗り込んできた、老夫婦。
アメリカの遠くに住んでいる子供さんの家にでも
行くのかな?それとも旅行?
バスの窓から大勢が見ている眼の前で
奥さんから熱烈な hug & kissの見送りをされて
乗り込んできた若いビジネスマン。
学生らしいグループは、朝から結構ハイテンションだ。
いろいろな事情でLAX空港に向かう十数名が、
1時間弱、狭いミニバンの中で同じ時間を過ごす。

そのうち空がじらじらと明るくなり、朝焼けを
背景にパームツリーのシルエットが浮かび上がる。
わあ、ロサンゼルスだ、と思った。

てくてく歩いて、初めて街を体感できるタイプの私にとって、
車で移動することがメインのロサンゼルスという街は、
大きすぎていまいち把握しきれない。
高速道路とその間に広がる点在するまっ平らな街、
そして。椰子の木よりひょろっと背の高いパームツリーの並木。
フリーウエイの高い位置からは、街の明かりが
地上に星を散りばめたようにパノラミックに広がる。

ちょうどアカデミー賞の発表の直前だった。
テレビでは、有力候補の受賞予想の報道が
ニュースのトップになったりする。
俳優達のドレスの噂も過熱する。
今は授賞式はコダックシアターだが、
当時はシュラインオーディトリアムだった。
会場のデコレーションや報道陣の場所取り・・・、
なんだか街中がソワソワ、ウキウキしていた。
映画が、街の中心にドーンとある、そんな印象だった。

ハイトーンが若々しかったビリージョエルの「さよならハリウッド」、
癖になりそうなイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」、
テーマソングのギターのテケテケが耳から離れなくなる
クエンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」
ラッセル・クロウやケヴィン・スペイシーがイケてた
「LAコンフィデンシャル」、
若さはちけれんばかりのサラ・J・パーカーが出てた
「LAストーリー」、
これが高校生?と純粋に驚いたTVドラマの「ビバリーヒルズ青春白書」。
ロサンゼルスをイメージできるものは、本当に多様で無数にある。
でもまだ自分のなかで何かまとめることが出来ない。

元気で、スーパーポジティブで、クレイジーで、そして怪しい。
自由、タフさ、ダイナミズム、野心、成功、アメリカの大きさ、
犯罪、人種の壁・・・。

NYのように、狭いところにそれらが混在してぎゅっと詰まって、
都市として過熟しているのとは違う。
何だろう。
それぞれのエリアから、あちこちの方向に放熱しているような感じなのだ。 

3月のこの時期、レッドカーペットのセレブ達のインタビューや
アカデミー賞の授賞式の模様が、日本にも伝えられる。
受賞者の感極まったスピーチと、勝負ドレスと入念なメイク、
その時はじめてステージにあがる裏方のスタッフ達。
司会者の芸達者な喋りと、趣向を凝らしたショー、
「成功した」オーラを放って、その会場に座っている招待客達。

日本にいながらにして、ロサンゼルスとの距離がグーンと近づく日。
そして、アメリカ熱なのか、ロサンゼルス熱なのか、ハリウッド熱なのか、
ちょっとハイテンションになってくる。
すると、私はあの朝焼けのパームツリーのシルエットが浮かんで
ちょっとムズムズしてくるのだ。

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パリに旅行しても、私にとってパリジェンヌは
とっても遠い存在だった。
滞在中見かけるのは、通りに面したカフェの席で
煙草を吸いながら、エスプレッソを飲んでいる大人の女性。
レストランで、オーダーまでに1時間、アペリティフに1時間
食事を始めて3時間、とにかくテーブルで喋り続ける女性達。

それが、子供と一緒にパリに行くようになって、
なんだかぐっとその距離が近づいたような気がする。
と、勝手に思っているのだけれど。

サンジェルマン教会とサンシュルピス教会の間、
リュー・ド・フールにとても可愛い子供靴の専門店がある。
エントランスのちっちゃなタイルのカラフルなモザイクが目印だ。
スプリングコートのスニーカーなど、子供に履かせたい
定番の靴や、女の子向けの可愛らしいサンダルなど
が置いてある。
中に入ると、パリでも定番となっているマクラーレンの
ベビーカーが3台、それぞれに両親がついて、もうお店は
満員状態。
ベビーカーに座りっぱなしの子供に、次々と靴を履かせては
脱がせ、同時に子供にはお騙しのスナックをどんどん
あげている。
わかる、わかる。
ママ達はもう夢中だ。
その傍らパパ達は腕組みをしながら、じっと待っている。

誰かが、他の女の子の着ている洋服を褒めた。
「これ可愛いわね、どこで買ったの?」
すると褒められたママが、購入したお店の場所を一生懸命教える。
「えーっと、なんて説明したらいいかしら?」
夫に助け舟を求めると、暇だったご主人が、ここぞとばかり丁寧に
説明し始める。
するとやっぱり暇だった質問者のご主人が、話し相手ができたことが
さも嬉しそうにまたまた丁寧に受け答えて、
それはそれで盛り上がっているのだ。

ボンマルシェでの出来事。
地下の子供服売り場は、なかなか充実していて楽しい。
おもちゃも秀逸だ。
ちょうどソルドの最中だったので、息子にちょっと大きいサイズの
靴を買っていこうと思った。
ヨーロッパサイズが分からないので、日本サイズ(つまり足のセンチメートル)を
伝えたのに、店員が要領を得ない。
するとすかさず子供を連れたママが、きれいな英語で助けてくれた。
「定規を持ってくればいいのよ。19センチメートルなら、
これで靴に当てて調べれば確実よ!」
「子供を連れてくれば一番楽チンだけと、おもちゃ売り場が近くだと
そうもいかないのよね!パパとそちらに行っているのでしょ」と
ウインクして言った。
そう、その通りなの!

パリを歩いているママ達。
夏だったら、子供と手をつないで歩いていても、膝上のワンピースに
レースアップのエスパドリーユを焼けたきれいな足に結んで、
金色の髪をキュッとまとめて、颯爽と歩いている。
冬も、子供の学校の送り迎えの日常の姿なのだろうけれど、
ロングブーツでカツカツと背筋を伸ばして歩き、
コート上からふわっと巻きつけたカシミアのショールや
マフラーが、とてもエレガントだったりする。
パリジェンヌは、ママになっても本当に綺麗なままなのだ。

冬は子供たちもお洒落度が高い。
男の子はマロン色のダウンにコーデュロイのパンツ。
女の子は、コートの下にモーヴ色の花柄のワンピースに
ヴァイオレットのカーディガン。
フランスの子供に多い栗色の髪にとても合うコーディネートだ。
シリリュスのカタログそのもののファッション。
フランスやイタリアでは、小さな子供のファッションは
とてもコンサバティブだ。
でも印象として、イギリスはもっと男の子に黒を着せているし、
NYでは女の子ファッションはもっとカラフルでバービー人形風かな。

サンシュルピス周辺には、ボンポアンやベビー服、
子供の部屋の小物のお店など、幼子を持つママ達が
熱狂するようなショップが軒を連ねている。
「ああ、妊娠中に来たかったなあ・・・。」などと呟いて、
夫を呆れさせた。
とりあえず、5歳を過ぎてからの男の子の洋服に
情熱をかけることの空しさ日々実感している私は、
従妹に生まれた女の子のお祝いに、ボンポアンの
めっちゃ可愛いワンピースとブラウスを買って
欲望を満たしたのだ。



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