「知りすぎていた男」
1956年
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームス・スチュアート
   ドリス・デイ
話しのおもしろさ:◎
センス:○
配役:◎
問題提起度:△

テンポの良いヒッチコックらしいサスペンス。旅行中の家族が暗殺事件に巻き込まれる話。
夫婦愛と子供への愛情が事件を解決することになる。

ドリス・デイは歌声を披露。終盤に熱唱するケ・セラ・セラは我が子を救うほか今の時代の音楽が耳についてまわる私たちにとっては新鮮に聴こえる名曲。
そしてジェームス・スチュアート演技。この映画の主役は彼にしか務まらない。ヒッチコック映画に彼と同じ本数出演しているケーリー・グラントでは妻と子供への愛情を上手く表現できなかったと思う。また劇中にレストランで脚を組み替える演技は長身のジェームス・スチュアートならではのもの。ヒッチコックの配役のセンスを痛感しました。

ヒッチコックは数多くの映画を撮っていますが、彼の観た方がよい10本の映画の中に入ります。
彼がハリウッドへ進出するまえに製作した「暗殺者の家」のリメイク。

それでは。
「悲愁」
1954年
監督:ヘンリー・キング
出演:デボラ・カー、グレゴリー・ペック

話しのおもしろさ:○
センス:○
配役:◎
問題提起度:△

コラムニストと昔売れた作家の恋物語。
辛口のコラムニストにデボラ・カー、作家役にグレゴリー・ペック。
作家の酒癖の悪さに霹靂するデボラ・カー、だけど気持ちを断ち切れない。

恋愛でこのように女性が泣かされる役がデボラ・カーは多い。「めぐり逢い」「お茶と同情」「悲愁」と男に?恋愛に?泣かされた。
しかし美人だ。「めぐり逢い」のケーリー・グラントよりも「悲愁」のグレゴリー・ペックの方が彼女を引き立てている。

監督のヘンリー・キングは「慕情」の監督でもある。こてこての恋愛映画です。

以上

「まあだだよ」
1993年
監督:黒澤明

話しのおもしろさ:△
センス:○
配役:◎
問題提起度:◎

黒澤明の遺作

教師を引退して執筆で飯を食っていこうとする先生とかつての教え子との深い信頼関係の話し。微塵の悪もない映画、「尊敬」「信頼」といった人間関係の大切な部分を教えてくれる。
夏目漱石「こころ」の私と先生の関係とまた違った深みと色がある。

私は管理職というポストにいて、部下も20人ほどいるが、この映画の先生のように人を育てられているかと言ったら、全くできていない。
「尊敬」はされなくとも人として「信頼」はされたい。

以上