就活時代のエントリーシートで「鍵」をテーマに自由記述をしたものです。いま読み返してみると、よくこれで提出したなぁと。もちろん次の面接には進めませんでした。自由作文を自由に書くのは良くないですね。
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『鍵』
「家には入れない。」12月の暗い寒空の下、私はつぶやいた。深夜2時、自宅の前で立ち尽くしている。ズボンの右ポケットに入れてあるはずの家の「鍵」がないのである。いつも同じ場所にしまい続けているせいか、尻には鍵の形の痣ができている。それでも毎日そこにしまっている。「鍵はなくしやすいから絶対に同じ場所にしまいなさい。」私が子供の頃から唯一守り続ける、母からの教えである。3年前に母がこの世を去ってからというもの、右ポケットに鍵をしまうことが日課になった。鍵をしまうたびに母のことを思い出す。そんなことを考えていたら、自然と涙がこぼれてきた。「すまねぇかあちゃん。俺鍵なくしちゃったよ。」涙を拭こうと左ポケットからハンカチを出そうとすると、何か硬いものに手が触れた。「あ、いっけね、今日は左に鍵しまったんだった。」遠くで猫が鳴いている。
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