百火繚乱 -26ページ目

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

-丈瑠様
樹海でナナシを倒していた丈瑠が一瞬止まる。
今確かに栞の声が聞こえた。聞こえるはずなどないのに。
とてつもなく嫌な予感を感じたが、考える余裕もないほどナナシが湧いてくる。
丈瑠はそれを吹っ切る様に、またナナシに向かった。
日食もあと僅かだ。


その頃、富士山頂で、結界のモヂカラを張り続けていた薫も止まる。
「姫、どうされました」
丹波がすぐに気が付いた。
「栞のモヂカラが、消えた」
しばらく前から栞は結界を張るのを止めていた。多分ナナシが出たのだろう。薫もそれは気付いていた。でも、ずっと感じられていた栞のモヂカラが、今、完全に消えた。
薫が動揺する。栞に何かあったのは間違いない。
「すぐに使いを」
丹波が合図して、控えていた黒子の一人が駆け出す。
「姫、日食もあと僅か。ここで結界を張るのをやめる訳には」
「分かっている」
薫がまたショドウフォンを構え直した。
何とか結界を張る事に集中する。丈瑠同様、薫も不吉な予感を感じていた。


そしてまた樹海。
「太夫っ」
戦う茉子の前に、薄皮太夫が現れた。
「シンケンピンク、ここにいたか。探したではないか」
「太夫、何故」
「わちきも未練よのう。でも、ようやくその未練も断ち切れた。これで思い残す事はない。さあ、わちきを切れ」
薄皮太夫が的になる様に両手を広げる。
「太夫」
茉子がシンケンマルを構える。
「新座を奪ったあの憎い女を殺してやった。誰が新座のところへなど行かせてやるものか。わちきの手にかかって、三途の川を彷徨うがいい」
満足そうな太夫の声。
「太夫、何を言っているの?誰を切ったというの?」
茉子が眉をひそめる。
太夫の言っているその女が存在しているはずがない。その女は何百年も前に死んでいる。
「さあ早く。お前に切られるためにここまで来てやった」
「答えて。誰を切ったの?」
茉子は問い続ける。
「あの女だ。お前達の力に誘われ、這い出た志葉の屋敷にいた」
茉子の手が震える。太夫の言葉を信じたくない。屋敷にそんな女がいるはずはない。いるのは栞だけだ。
「さあ、切らぬのか?」
辺りはいつもの光を取り戻している。日食ももうすぐ終わる。ここで太夫を切らなければ、また三途の川で生き続ける事になる。
茉子には、確かめる術もなく、請われるまま、太夫を切り倒した。
太夫に手応えはなく、あっけなく消え、そして日食は終わった。
何事もなかったかの様に隙間は閉じて、ナナシ達も消えてしまった。


「丈瑠」
茉子が息を切らして、丈瑠の元へ駆け戻る。
皆もそれぞれ集まってきた。さすがに息を切らしているが、皆大して傷も負っていない。
ほっとした様に見回す丈瑠に、茉子が太夫の言葉を伝えようとした。
その時、丈瑠のショドウフォンが鳴る。
「俺だ」
「殿、栞殿がっ」
離れて立つ茉子の耳まで、彦間の声が聞こえる。
やはり太夫の言った事は本当だったのだ。
電話を持つ丈瑠が、青ざめていくのが分かった。








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