百火繚乱 -22ページ目

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

誰も一睡もせず、押し黙ったまま、時間だけが止まったかの様にゆっくりと過ぎていく。
そして、ようやく長い夜が明けた。
栞は血の気のないまま微動だにしない。生きているのかも分からなくて、丈瑠は怖くて確かめる事さえできない。
薫が医師と入ってきた。
脈を診る医師が、ほっとした顔をした。
「危機的状況は脱しました。後は意識が戻れば」
意識が戻るまでは、まだ予断を許さない。
それでも丈瑠が安堵のため息を吐き、待ちきれず、襖の外で聞いていた茉子とことはが、声を出さずに抱き合った。
他の者も皆安堵する。
「殿」
彦間が丈瑠の後ろに座った。
言いたい事は分かっていた。これ以上、自分の屋敷を空けて置く訳にいかない。
栞の無事が確認されれば、帰るしかなかった。
「・・・連れて帰る」
丈瑠が、栞を見つめたまま呟く。
「丈瑠」
薫が声を上げた。
「殿、今動かすのは危険です」
彦間が言い、医師も首を振る。
「それでも、連れて帰る」
丈瑠は栞の手を離さない。
「御当主、栞殿はこちらで丁重に預かります故」
丹波にも首を振る。
薫が大きくため息を吐いた。
「動かさぬ様運べばよいのだな」
医師に尋ねる。
言うほど簡単なことではない。医師が渋る。
「そのくらい何とかしろ」
丹波が言われて反論する。
「しかし姫」
「屋敷の黒子を全て使って構わない。他に必要なら何でも使え。何としても栞を無事に丈瑠の屋敷へ届けるのだ」
「姫」
丹波がいくら反対しても無駄だった。
「栞が目を覚ました時、丈瑠がいないと悲しむ。栞のことだ。丈瑠がいないと、目を覚まさぬかもしれぬ」
薫が優しく微笑み、丈瑠が頭を下げた。
それから、黒子を数十人使って、眠ったままの栞を丈瑠の屋敷へ運ぶ。
何とか無事、栞の部屋へ運び終え、栞の世話をするために、薫用の女性の黒子数人と、医師を残して、残りの黒子達は帰っていった。





←前へ                       次へ→