百火繚乱 -20ページ目

百火繚乱

特撮大好きです。変身する前も後も、変身した中の人も、声の人も好きです。
ゴーカイジャー、シンケンジャー、仮面ライダー中心かな。
シンケンジャーの小説、殿様で恋愛小説も書いてます。

丈瑠は栞のそばを離れず、夜になっても出てこない。
茉子が栞の部屋に入った。
「丈瑠、交代する。昨夜も眠ってないし。丈瑠も戦ったんだから休まないと」
丈瑠は返事をしない。
「昨日はごめん。栞ちゃんがこうなったのは、私のせいでもあったのに。薄皮太夫は私を捜してた」
「いや、茉子の言う通りだ。・・・・俺のせいなんだ」
「丈瑠?」
「・・・栞は、俺より先に死ぬ事を望んだんだ」
苦しそうに言う丈瑠に、茉子が首を振る。
「そんな事ない。栞ちゃん笑ってた。丈瑠が必ず守ってくれるからって、信じてた。必ず目を覚ますから。・・・だから」
俯く丈瑠の肩に手を置く。
「疲れてるからそんな事考えるのよ。ちゃんと休んで。栞ちゃんが目が覚めた時そばにいられる様に」
丈瑠が首を振る。
「いいんだ。ここで呼んでやらないと、栞は戻ってこない。もともと生きる事に執着がなかった。俺にはお前達がいて、自分の代わりはいくらでもいると思っていた。分かっていたのに・・・俺が更に追いつめた」
片手で顔を覆う丈瑠が辛そうで、茉子の目に涙が浮かぶ。
「丈瑠・・・大丈夫だよ。栞ちゃんは必ず目を覚ます。丈瑠の声は絶対聞こえてるから」
また黙ってしまった丈瑠を置いて、茉子は静かに部屋を出た。


その後、三日経っても栞は目を覚まさない。
栞の気力の問題で、医師も手の施しようがない。
皆は、二日目の朝、ほとんど彦間に追い出される様に、それぞれの生活に戻っていった。
それでも茉子と源太は毎日屋敷に通ってきて、千明も、学校帰り顔を見せる。ことはと流ノ介からは、毎日電話がかかってきていた。
丈瑠はずっと付いていて、彦間の言葉にも耳を貸さない。


丈瑠が、眠ったままの栞の頬にそっと指を滑らせた。
「どうして目を覚まさない。俺の声が聞こえないか?それとも、もう、愛想が尽きたか?」
栞の寝顔はとても穏やかで、もしかしたら、このまま眠らせてやった方が栞は幸せなのかもしれないとも思ってしまう。
それでも、それでも・・・
「俺を、一人にするな」
結局そう呼びかける。


源太と茉子が、部屋へ入ってきた。
「丈瑠、薄皮太夫のことで、思い出したことがあった」
茉子の言葉に丈瑠が顔を上げる。
「太夫、言ったの。自分の手にかかって、三途の川を彷徨うがいい。って。だから、もし太夫が切る時、そう念じたとしたら」
丈瑠が栞の寝顔を見た。
「戻れないのか?」
「分からない。戻らないのは栞ちゃんの意志かもしれない。でも、太夫の念も作用しているとしたら、三途の川で迷ってるのかもしれない」
「俺も茉子ちゃんに聞いてさ、もしそうなら、いくらこうやって待ってても、栞ちゃんは目を覚まさねえ」
丈瑠が拳を握りしめた。
「丈瑠、また一人で何とかしようと思ってるでしょ」
茉子が何かを決意した様な丈瑠の横顔に、呆れて息を付く。
「栞ちゃん迎えに行くなら、一緒に行くぜ」
源太が鼻を擦る。
「簡単に言うな」
丈瑠が小さく笑う。
「まあ、そうなんだよな。三途の川って、外道と変わらないだろ。どうやって行けばいいんだ?」
「でも、栞ちゃんがいるところへなら」
茉子が確信を持つように言い、丈瑠が頷く。
「何だぁ?」
源太が一人、理解できない様な顔をした。
「前に源太の夢の中に入った。あれ使えるんじゃない?」
わざわざ茉子が源太に説明してやり、源太が大きく頷く。
「でも、迎えに行くの丈瑠だよね。誰が道を開く?」
夢の入り口を作れる程のモヂカラは、まだ丈瑠しか使えない。源太が頭を掻いた。
「流ノ介達呼ぶか。五人でやれば、何とか丈ちゃん一人くらい・・・」
「私がやろう」
後ろから声がして、三人が振り向くと、薫が立っていた。
「お姫様」
「栞の様子を見に来たのだ。そういうことなら力を貸そう。栞が自ら戻らぬのか、戻れぬのかは分からぬが、どちらにしても、強情だからな。迎えに行かなければ戻らぬかもしれぬ。栞には、目覚めてもらわなければ私も困る」
丈瑠が頭を下げる。
「何があるか分からないから、お前達も共に行け。三人くらいなら送り込める。ただし場所が場所だ。長くいると戻れぬかもしれぬ。時限のモヂカラを重ねて使う」
「時限のモヂカラ?」
源太の問いに薫が頷く。
「一時間でよいか?」
三人が顔を見合わせて、頷いた。
「なら一時間だ。それを過ぎれば、強制的にこちらの世界へ戻る」
薫が丈瑠を見据える。
「よいな。一時間で、必ず栞を連れて戻れ」
丈瑠がしっかり頷いた。






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