第2話:防腐剤の入っていない目薬が欲しいお兄さん
第2話:防腐剤の入っていない目薬が欲しいお兄さんお店に入ってきて、じっと目薬コーナーを見ているお兄さん。ちょっと大人しそうな雰囲気。しばらく見られているので、声をかけさせてもらった。すると「防腐剤の入っていない目薬はありませんか?」探してお渡しする。すると、「コレが欲しかったんだ」という雰囲気で目薬コーナーを離れられる。ただ、なんというか一途な感じの話し方をされるので、よほどこだわりがあるんだなと思ったいた。何ヶ月かして、またそのお兄さんが来た。また「防腐剤の入っていない目薬はありませんか?」と言う。このひとは「防腐剤が入っていない」と言うことにこだわりがあるんだと思った。もしかしたら、今まで何か「防腐剤」であったのかも知れない。ただ、その話しぶりや立ち居振る舞いにこだわりを感じたので、ちょっと近寄りがたい気がした。またしばらくして「防腐剤の入っていない目薬はありませんか?」とお店に来た。何か分らないけど、立ち入ったことは聞けないけれど、ちょっと潔癖症のような類のこだわりかもと思った。人間クセのない人はいないし、どこか度を超えたこだわりがあったり病的な部分を持っていないとも言えないと思っている。そこが表に出るか出ないか、人に迷惑をかけるかかけないかだと思うので、ある意味人間らしいというか、人間だなと思った。最近になって、よくお店に来るようになった。「防腐剤の入っていない目薬」はあまり買うところを見かけないようになったけれど、レジに持ってくるのはドリンクとおにぎり4つ。それも全部同じ味。自分の事は棚に上げておいて、こだわりが強いと生きるのが大変じゃないのかなと思う。ただ「目薬」だけじゃなくて、他の物も買ってくれるようになったのは、少し視野が広がったのかなと、お兄さんの変化を勝手に感じている私であった。お兄さん、よかったね。