ビルマ南部を襲った巨大サイクロンによって、

軍政の国営放送は、死者が2万2464名、行方不明者が4万1千人を超えたと報じました。


「津波」のあと、災害警報システムの連携が国際社会ではかられたはずなのに、

もしも、政府が住民にきちんと警報を出さなかったとすればたいへんな事態です。

出ていたとしても、貧困地域では情報にアクセスできる人々が限られていたり、

避難手段がなかったり、もともと十分な社会資本が整えられていないなど、

人為的な要因から、被害が何十倍も深刻化しているのではないかと想像せざるを得ません。


弱い状況にいる人びとが、ますます生死をせまられる深刻な危機のなかにおかれてしまう・・・

◆ビルマ情報ネットワーク:http://www.burmainfo.org/


ロイター

安全な水、食料、医療品などの国際社会やNGOによる救援体制がこれまで以上に必要なのは

もちろんですが、次から次へと被害地域や規模が拡大していく様子をみると、一方で、

どうしたら、このような自然災害を少しでも減らせるのだろうと同時に考え込んでしまいます。


そもそも、巨大サイクロンの発生が温暖化による気候変動のせいだとするならば、

ほんとうに本気で、一つ一つの国、一つ一つの工場がCO2を減らすにはどうしたらいいのだろう―。

日本社会に、国際社会に、どんなしくみがあればいいのだろう―。


AP

そんなとき、末吉竹二郎さん(国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問)の短い論考を読みました。

◆『CO2 本位制』の時代へ 

http://daily-ondanka.com/thoughts/sueyoshi_01.html


「金本位制」ならぬ「CO2 本位制」。

金本位制の時代には金保有高が貨幣の通算発行量を決め、その総体が、結果的に経済活動や

社会活動の大きさを規定してきたけれど、いま、CO2がさまざまなものを規定するようになりつつ

あるとして、EUやアメリカの例や数字を紹介しながら、未来像を提言しています。


2013年以降、EUでは「入札制」を通じて排出枠の獲得を競わせる方針であるとか、

アメリカの大手金融機関が、CO2は「債務」であるという認識で貸出審査を行うと公言したなど、

興味深い。


いま、現場でたくさんの生命が失われている非常事態に、それどころじゃない!と思いつつも、

緊急救援金や物資を届けるだけではもうこと足りない次元まで、影響は及んでいると思うのです。


日本が昨日表明した緊急救援は、たったの2800万円。

5日にアメリカが発表した25万ドルにならったのでしょう。

(ワシントン6日、アメリカは325万ドル=約3億3000万円を緊急支援すると追加発表)。


気候変動の影響を最も受けやすい貧困地域の人びとのかけがえのない生命と、

空気をお金に代えて新しい市場づくりをする金融やビジネス界の巨大な動きと、

わたしたちの日常の行動は、すべてつながっています。

つながりの結果がまとまって「見える」のが、非常時です。


災害の起きた後、一市民として、被災地の緊急救援に協力するのと同じくらい、

異常気象による災害が起こる前に、ふだんから、一消費者として、一預金者として、考え行動する。

もし、あなたが、小さな規模でも一投資家なら、なおさら。


そうすれば、『CO2 本位制』がうむ新しい社会の決まりや価値は、

先進国や企業の単なる生き残りのためではなく、

すべての人が、きれいな空気、きれいな水、安全な食べものを手に入れられるものへと

機能していくのだと思うし、そうさせねばと思います。






きょう、61年めの「憲法記念日」がやってきました。


東洋の世界では、60年という歳月がひとつのサイクルと言われますが、

そう考えると、きょうは新しい60年がスタートする日。



とはいえ、もう古いとか、作ったのは誰とか、非現実的とか、嫌いとか、

さすがに60年経つといろんな意見が出ていますね。

この憲法が理想的でいっさい変えないほうがいいとは私も思いません。


地球環境と暮らしや健康について憲法で方針を決めたほうがいいし、

第41条に「国会は国権の最高機関」と書いてあるのに、どうしても国会より行政のほうが

強いという実態はどうしたものか・・・。福田首相も、どうやら役人に逆らえない様子です。


でも、第9条は、もっと深く広く生かすべきいい憲法だと私は思っています。

世界の実状に触れると、その理念が現実的に求められるのは、むしろこれからかもしれない。


例えば、こんなふうに。

1) 非アメリカ型のモデルとして

    アメリカのような軍産複合体の経済モデルではなく、平和的な努力と産業による経済モデルの

    さらなる必要性

2) 軍事力による「平和」は難しい

    イラクやアフガンで、それは証明済み。「世界最強の軍隊でさえ、バグダッドの治安維持が

    できない」と語る、EUの安全保障担当官。

3) 地球環境や気候変動、貧富の格差をなくす方法として

    巨大な軍事費を削減して、それらの対策費や人々への生活保障費、教育や医療へまわす。

    そもそもCO2をいちばん出すのは戦争。 


いよいよ明日から、幕張メッセにて「9条世界会議」が始まります。

http://whynot9.jp/


具体的な着想から2年。日本で“グローバルに9条”なんてまさかっ!と思いながら

走り始めたチャレンジが、ピースボートの仲間たちはじめ実行委員会の面々の地道な積み上げ

を経て、市民社会パワーとなって始まる・・・あと1日。


初日に参加するミュージシャンのFUNKISTは、

「正直、9条世界会議っていう名前!なんじゃそりゃー、何をする場所なんだ、というショーゲキが

あったよね」「サミットみたいに各国の首相が集まるのか!?とかって思った」 らしいのです。

FUNKISTのメッセージ http://jp.youtube.com/watch?v=ieCCz5crGLk


たしかに名前は、どう見てもシャレてない。。。でも、すごい想像力。

いずれ、サミットみたいに各国の首相が集って、

「世界と日本国憲法第9条」をテーマに喧々諤々と議論する日が来たら・・・、すごい。


そんな未来の方向をめざす選択もあり、

と、ゆたかに発想できることが今とても重要。そう考える今年の憲法記念日です。







明日までニューヨークの国連で開かれている第7回先住民族フォーラムのオープニングで、

先週21日、ボリビア初の先住民族出身の大統領・エボ・モラレス氏が提起した10つのこと。




「もし、わたしたちが地球を守りたいのなら、生命を守りたいのなら、人間を守りたいのなら、

 わたしたちは資本主義のシステムを終わらせなければならない」

http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7359880.stm


いきなりオッと過激な発言に聞こえるかもしれませんが、

気候変動がもたらす被害から地球を救うにはどうしたらいいか、

気候変動が先住民の人々の生活にどんな影響を与えるかという主題に対して、彼はそう答え、

絶滅の危機にさらされてきた先住民族として、新しい経済モデルへの転換を訴えました。


『地球をすくう10の掟』
 1 巨大な資本主義モデルに終わりをつげること

 2 戦争をやめ、放棄すること

 3 帝国主義や植民地主義のない世界であること

 4 「水」は人権であり、すべての生物の権利である

 5 クリーンエネルギーの開発をすすめること

 6 母なる地球を敬うこと 
 7 水、電気、教育、保険医療、通信、交通は、公共サービスでなければならない

 8 必要な分だけの地産地消をめざし、貧富の格差をなくすこと

 9 文化と経済の多様性をまもり広めること 

10 すべての人が「よい生活」を送れる共同体的な社会を

(ポイントのみ抜粋)


まもなく7月、北海道で「洞爺湖サミット」が開かれますが、

「低炭素社会ニッポン」をアピールしたい日本は、どんな新しいビジョンを提唱するのでしょうか?


それに、先住民族といえば、日本は、

昨年の国連総会の採択で『先住民族の権利に関する国連宣言』に賛成したにもかかわらず、

アイヌを先住民族としてすら認めていません!


福田さんは、国会答弁で、

「この宣言には先住民族を定義づける記述はなく、アイヌの人々が同宣言にいう先住民族であるか

については、結論を下せる状況にはございません」と。(10月3日衆院本会議)。

国連で先住民族と認めているアイヌを政府は認めていないことを、諸外国にどう説明するのでしょう。


いったい日本政府は、いつまでこんな対応をし続けるつもりなのか、

福田さん、洞爺湖サミットまでに、アイヌの人々と直接対話の機会をもってはいかがでしょうか。

そして、自然とともに生きるアイヌの知恵を加えた新しいビジョンを発表してはいかがでしょうか。



■先住民族の権利に関する国連宣言:

世界の先住民3億7000万人の自由と平等、固有の文化、伝統、言語を維持する権利などを確認したうえで、差別や人権侵害を禁じたもの。また、先住民の自決権や自治権、伝統的に占有してきた土地・資源の所有権などを認め、強制移住や土地の収用、強制的な同化などを防ぐための法的措置を含む必要な手段で、これらの権利を保護しなければならないと明記。昨年九月の国連総会で採択。賛成は日本はじめ143カ国、反対は米国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの4か国、棄権11。












きょうの聖火リレー出発と同じ時間、朝8時15分より、

長野市の善光寺では、チベット自治区などで犠牲になった人々への追悼法要が行われました。


「同じ仏教徒として、チベットの宗教者に対する弾圧を憂慮している」として、

リレー出発地点の辞退を決め、国際社会へ尊厳あるメッセージをつたえた善光寺。


法要は、犠牲者ひとりひとりの冥福を祈るなど、約20分行われ、

「心が救われました」と涙を浮かべるチベットの人々や、

「世界平和を考える機会に」と語る僧侶らの姿に、心をうたれました。


日本で暮らす中国人の人たち十数名も参加していて、

「これは、漢民族とチベット民族の戦いではなく、自由と(一党)独裁の戦いなんです」

「中国そのものが、自由で民主的な社会になることを僕たちは願っています」

そう語っていたのが印象的でした。


オム・マニ・ペメ・フム

(ダライ・ラマ法王日本代表部HP http://www.tibethouse.jp/culture/omph.html


チョモランマにほんとうの平和の炎が灯る日を願ってやみません。

合掌。





ニューヨーク(22日)でWTI原油の先物価格が、1バレル=119.90ドルに!


***

「先へ先へと進もうとして苦悶することが人間の常態であり、

互いに踏みにじり、ぶつかり合い、押しのけ、足を踏みつけあうことが

人類の最も望ましい天性であると考える人たちの提唱する生活の理想というものに、魅力を感じない。

資本と人口の定常状態が、人類の進歩や向上の停止を意味するものでないことは言うまでもない。」 


「もし、富と人口の無制限な増加のために、地球のもつ楽しさの大部分を失ってしまうのだとすれば、

しかもその目的が、より多くの人口を養うためだけ(しかしながら、より幸福な状態にない人口)だと

すれば、必要に迫られる前に、自ら進んで(富と人口の無制限な増加の)停止状態に入るよう、

後世の人々へ切望する」 


ジョン・S・ミル『経済学原理』(1848)

***


1848年といえば、ちょうど160年前。

日本は江戸時代の末期、中国は清の時代、韓国は李氏朝鮮。

その頃すでにイギリスの経済学者が記した、古くて新しい言葉として、ズシンと響きます。


世界じゅうが「成長・拡大」へまっしぐらに突き進んでいく夜明けのような19世紀の時代に

すでに、J・S・ミルは、モノや人の「豊かさ」の本質を見通していたかのよう。


これを読んだときに、『質実国家』という言葉を思い出しました。

15年前、日本の新しい政党として誕生した「新党さきがけ」が挙げた理念のひとつ。


「環境と調和した質の高い簡素な生活」をめざして、

省エネ、資源循環型の社会や国づくりを謳っていて、とっても新鮮だったのを覚えています。

気がついたら、私は、赤坂の党本部にいて、

のちの経企庁長官・田中秀征氏が主催する「さきがけ塾・専修科」の面接を受けていました^^。

学生やNGO、銀行・証券マン、地方議員などが集う、斬新な政治フォーラムでした。


環境重視を挙げて、まさに、「さきがけ」だったんですね。

地球の有限な環境と人類が調和して生きていく新しい経済社会をつくっていくこと、

そのために行財政改革を徹底していくこと、

「民権政治」であること、

非軍事貢献をしていくこと等。

***


いま、持続可能性がキーワードですが、

戦争をやめ、CO2を減らして資源の大量消費や経済活動の「量」がそこそこ(定常化)に

なったとしても、やっぱり、人間の衣食住や生活の「質」なくしては持続的じゃなくなってしまう。


いまある富を、どう公正に、「分配」していくのか。

アフリカやアジアの飢餓から、日本のワーキングプアや高齢者の医療まで、

貧富の格差を縮めたり、生活の質を保障する「分配」のあり方こそ急務な議論なのだと思います。


地球環境と社会保障のつながり=平和な社会

一国レベルを越えて、そういう段階に入っているのではないでしょうか。


税金を議論する先に、こういう未来があってほしいと思います。







ピースボートのオフィシャル本が、

インターネット新聞『JANJAN』の書評で紹介されています。

http://www.book.janjan.jp/0804/0804070403/1.php


「こんなに素敵なピースボート!」

1600円/発行・出版:ユビキタ・スタジオ


NGOピースボートは、今年で、活動を始めて25年め。

本を出している時間がないほど、これまでみんな、走り続けてきましたが、

ようやく全貌をわかりやすくまとめた一冊に仕上がっています!


乗船してみようかな、と思っている人

応援したいな、と思う人

それからピースボートの正体がまだよくわからない人、

ぜひ、手に取ってみてくださいネ。


***


オビの紹介文より:

   地球周回50回以上

   平和と環境のための船の25年。

 

   『船』で地球が救えるか!?

   ユニークな挑戦を続ける

   日本NGO界の奇跡・ピースボートの全貌がこれでわかる!

   どえりゃ~やつらの、信じられないほどの地球孝行!


目次より:

  1 「舞台は地球!」

    勇ましくも無鉄砲、楽しくも度肝を抜き、

    そして結局はハッピーに今日も続くピースボート・ヒストリー

    ―吉岡達也・談

  

  2 働くことと生きること、そしてやり甲斐!3つが一致する幸せ。

    ピースボートではそれができる?

    ―【鼎談】 辻信一、マエキタミヤコ、櫛渕万里 


  3 夢と新しい経験がぎっしり。70歳を迎えて乗船した私も、世界の人々と友情を温めたぞ!

    ―佐江衆一(作家)


  4 乗船者、そしてスタッフってどんな人たち?そりゃ、いろんな顔をしていますよ

    ~なぜ「地球一周」?

    ~どんな想いで乗って、どんなことを考えたの?


  5 「ところで毎日なにやっているの?」ピースボート大解剖!

    各部署のお仕事


  [水先案内人のメッセージ]

   香山リカ(精神科医)

   手塚眞(映画監督)

   前田哲男(ジャーナリスト)


***


お買い求め&お問合せは、

全国書店かAmazon、あるいは下記のピースボート事務局へどうぞ。


◎ピースボート事務局(担当:チョウ)

TEL:03-3363-7561/FAX:03-3363-7562

Email:tokyo@peaceboat.gr.jp






『パレスチナ1948――NAKBA』 http://nakba.jp/


ひとりでも多くの人に、絶対に、見てほしい作品です。
イラク、アフガン、チベット、チェチェン、アイヌ、すべてにつながるものが描かれている・・・

監督・広河隆一さん

広河さんと初めて出会って、もう15年以上。
ちっとも変わらない、いや、そのジャーナリスト魂は、
9.11事件以降、さらに熱く強くなるばかりの偉大なパワーを、この大作に見ました。

パレスチナの「生」。
60年ものあいだ消されていた、
永遠に世界から消されようとしていた事実のひとつひとつが、
広河さんの40年撮り続けた記録から「歴史」の一部として浮かび上がってきます。

複雑な中東問題の核心が、「ひと」と「村々」を通してあぶりだされた初めての作品。
どれほど、「消された村」や「消された名前」があるのだろう――。
エンディングロールに映る、たくさんの家族の写真を見ながら、
私の眼は、涙でどんどんあふれていきました。

占領に対して抵抗があり、抵抗に対して弾圧がある、
そして、さらに占領がすすみ、さらに抵抗が広がり、さらに弾圧が強まる

むかし、エルサレムからゴラン高原へ初めて行ったとき、
「和平」などという言葉を口にできなかったリアルな感覚を今でも忘れません。
いっぽう、ガラリヤ湖の輝くような美しさや豊富な水も、圧倒的な印象でした。

映像はとことんパレスチナにこだわり、執念ともいえるほど時空を越えた事実にくい込んでいきます。
しかし、深さと同時に、私には、エンドロールに登場する家族たちの顔が、
これまで出会った人々の顔へと、だんだん重なっていきました。

シリアとの「国境」をはさんで拡声器を用いて会話をする家族、
ヨハネスブルクのソエトで出稼ぎに行った息子をずっと待つ家族、
中国の丹東で満州時代のことを語っていた朝鮮族の家族、
フィリピンのクラーク米軍基地跡の汚染した地に暮らす家族、
アイヌの文化を刺繍と音で綴りながら生活を守る家族、
グアテマラの美しい山々に囲まれて暮らすマヤの家族・・・

「消された歴史」「消した歴史」。

家に帰るとニュースで、沖縄の「集団自決」の歴史記述をめぐる論争を取り上げていました。
最近、「靖国」のドキュメンタリー映画上映に注目が集まっています。

「記録を残すこと、それこそが「共存」と「共生」の基盤であると思う」
広河さんは語ります。

東京の上映は4月25日まで。上映時間:10:20/13:00/15:40/18:20
渋谷のユーロスペースで上映されています。急げ!

■広河隆一・フォトジャーナリスト
http://www.hiropress.net/profile/index.html
1943年生まれ。報道写真月刊誌「DAYS JAPAN」の編集長・広河隆一は、数々の世界の戦場を取材し続けたベテラン・フォトジャーナリストである。写真の力を信じ、報道写真に命を賭けてきた広河は、1982年、レバノンのパレスチナ人難民キャンプで大虐殺を目撃する。一台の8ミリフィルムカメラによって撮影した映像は世界的なスクープとなり、イギリスBBC放送をはじめ、各国に配信された。40年間パレスチナを追い続け、問題の根源を深く追求する広河の仕事は、“戦場カメラマン”という言葉からイメージされるヒロイズムとは一線を画している。そして9.11以降、人々の間で広がるメディア不信に深刻な危機意識を持った広河は、2004年に月刊誌「DAYS JAPAN」を発刊、自ら編集長を務めることになる。












一昨日、ダライ・ラマ14世が、日本に立ち寄りました。


チベット仏教の経典

(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所HPより)


真なる自治権と人権。


チベットの人々が50年以上にわたって求めている自由と平和とは、

一言でいえば、

「自分たちのことは自分たちで決めること」。


「民族の自決権」というと難しく聞こえるけれど、

それぞれの運命を自分たちで決定したり、自分の国や政治組織をつくったり、

自らの帰属を選ぶことができること。他国や他民族は干渉してはいけない。


また、ひとりひとりの身近な日常や生き方で大切なのは

「自己決定権」があるかないか。


なにを信じるのか、

どんな教育を受けるのか、

どこに住むのか、

どんな仕事に就くのか、

どうやって水や食べ物にアクセスするのか、

どこの病院にいってどんな治療や薬を使うのか、

産むのか産まないのか、

どう生きて、どう死ぬのか・・・


チベットの場合は、加えて、

チベット仏教の価値観にもとづいた社会で生きること、

独自の文化や言葉を継承して暮らすこと、

民族や宗教のアイデンティティーが守られること、

平和かつ安全に暮らせること、

「Free Tibet (チベットに自由を!)」。


カーラチャクラ曼荼羅


北京オリンピックを成功させたい中国人のナショナリズムを煽って、

単なる民族問題や独立問題としてとらえるかのような一部の報道や行動がとても心配です。


ダライ・ラマ14世が言ってきたように、

チベット問題は、独立(分離)問題ではなく、

漢民族 vs チベット民族でも、ありません。

漢民族のなかにもチベットの真の自治を支持する人たちがいます。


問題なのは、チベットで50年も前から、中国政府の暴力的な統治と人権弾圧が続いていること、

中国全体に民主的な政治の自由がないことです。

「真の自治」の姿として、ダライ・ラマ14世が『中道のアプローチ』を提唱しています。

中道のアプローチ:http://www.tibethouse.jp/cta/middleway.html


最大の特徴は、

非暴力、相互利益、民族統一、社会的安定をはかり平和を実現すること。


1 チベットの独立を求めず、旧来のチベット三地域をチベットとする政治的独立体の構築を。

2 その政治的独立体には、真の国家地方自治の資格があること。

3 自治は、民主的なプロセスのもと一般投票で選ばれた議会や行政で統治されること。

  独立した司法制度を有すること。

4 1~3が中国政府と合意され次第、チベットは中華人民共和国の枠組みのなかに留まる。

5 チベットが平和と非暴力の地域に変わるまで、中国政府は限定的な軍隊をおける。

6 中国はチベットの外交および防衛の責任をもつが、宗教・文化、教育、経済、健康、

  生態・環境保護など、その他すべての問題はチベット人が責任管理する。

7 中国政府はチベットでの人権侵害的な政策や中国人のチベット流入政策を中止すること。

8 チベット問題の解決にむけて中国政府と交渉・和解する主な責任は、ダライ・ラマ法王にある。

(※ポイントのみ簡略化し掲載していますので、詳細文言は上記URLをご利用ください)


これによって、

チベットは、文化・宗教・国家としてのアイデンティティが守られ、

中国は、母国の安全と領土の保全が守られ、

近隣諸国は、国境の安全と平和が守られて国際関係が安定する、とされます。


いま、国際社会は、中国政府とダライ・ラマ14世との直接対話を強く求めています。

中国政府は、真の自治を要求するチベットの声を受け入れる歴史的な選択のときです。


チベットに対する暴力的統治は、これ以上許されません。


福田さん、日本の首相として、国際社会の一員として、

東アジアでいち早く民主主義や基本的人権をとり入れた国のトップの責任として、

チベットの文化・宗教と人権を尊重する力強いメッセージを出してください。




   「変わるって、すげー勇気いる。

   でも、変わるからこそ、新しい価値を手にすることができる」


キムタクが、17日からオンエアされる「カップヌードル」の新しいCMでつぶやくセリフ。

日清食品が50周年を機に、37年前の発売以来使用してきたプラスチック容器を、

環境に配慮して紙容器に一新するんだそうです。


日本の“偉大な”発明とされる「カップヌードル」が、じつは、

台湾生まれの呉百福さんによるものだったことは、前に書いた通りですが、

http://ameblo.jp/maldive66/entry-10022932808.html

今日書きたかったのは、「変わる」ということについて。


そう。変わるって、ものすごくいろんな努力や大きな熱いモノがいること。

変わる意識や変える気持ちをもつのは簡単だけど、

実行に移したり、実現するのはものすごくタイヘン。


でも、世の中は、ホンキで変わることを求めはじめている気がします。

ガソリンもそう。政治もそう。

4月に入ってガソリン値下げになったのも、じっさい、野党の戦略的な力で押し切ったものの、

「道路」より日常がどんどん切迫する人びとの存在や声がありました。全国の知事さんが

暫定税率廃止にあんなに反対しても、地域の人びとが賛成していた現象はおかしな風景でした。

メディアが書きたてた「4月パニック」も、市民のほうがより冷静だった1週間でもありました。

普段、市民の目線で、「税金」についてオープンに語られることがどれだけ少なかったのか、

その実態を思い知ることにも・・・。


だからって、結局、「ねじれ」て大切なことを決めない政治家ってひどいというイライラも、

いっぽうで、市民にとっては絶好のチャンスかもしれません。

日本の政治のあきれる実態を、こんなにつぶさに知る機会はこれまであったでしょうか。

誰がほんとうは主役なのか、置き去りにされてきた市民ひとりひとりの出番。


道路の財源をめぐる議論は、単に、高い安いの話ではなく、

日本の戦後高度成長を支えた社会の構造が、

21世紀の新しい社会の構造へと「変わる」ための第一歩のお話し。


持続可能性をキーワードにした新しい経済や環境産業、生態系、働くスタイル、

地方政府を中心とした福祉や教育や医療、NPOやNGOが活躍しやすい社会など、

たくさんの可能性を秘めた次の時代の扉を開くのが「道路」をめぐる話です。


すでに、若者を含めて自動車離れがすすんでいたり、原油高や低燃費の車の普及もあって、

2005年をピークにガソリン販売量は減っているんですね(経済産業省)。

福田さんは、ガソリン安で消費が増えて地球温暖化対策に逆行するとか言うけれど、

じっさい120円台では安くないし、ここ数年、ガソリン消費量は減少の一途です。


また、第一生命経済研究所によれば、ガソリン値下げで08年度のGDP0.2%↓だったとしても、

2010年度には公共投資が減る影響を他分野の経済効果が上回って、実質GDPがアップする

試算が出ています。


ブータン国王のいうGNH(国民総幸福量)で測ると、日本の数値はあまりに低すぎるけれど、

「道路」に依存する仕組みをやめることは、GNHアップをめざす未来を選ぶ道でもあります。

GNHとは:http://www.sloth.gr.jp/GNH.htm  (ナマケモノ倶楽部)
      http://www.gnh-movement.org/  (GNH第三回国際会議・英文)


新しい社会や新しい価値って、きっと、天から降ってくるものではないでしょう。

変わるって勇気いるけど、

34年も続いた「道路」行政だって変わる、変えられる。

もう復活させてはなりません。


それを決めるのは、

わたしたち、市民社会の声です。














以前、「朝まで生テレビ」に出たとき、

初めて女性だけを集めた場にチャレンジした司会の田原総一朗さんが言ったことを

わたしは今でもときどき思い出します。


少子化対策の話題になって、

『ワーク・ライフ・バランス』の話になったとき、

「でも、クシブチさんは仕事を楽しんでいるんでしょ!?」と田原さん。


いくら社会環境を整えたって、どうせ産まないんでしょ、と言わんばかりのイジワルな質問。

あまりに、男性目線でしかモノを考えていない。


「産みたくたって産めないですよ」

いずれ子どもを持ちたい私にとって、安心できる保育所、病院、地域コミュニティが

あるかどうかは切実な問題だし、仕事環境や条件が今まで通りのはずがない。


それに加えて、今日の日経新聞の夕刊にこんな記事が出ていました。


“高齢初産 ――産み場所探し 難航”

35歳以上の「高齢初産」の妊婦が、産科診療所で出産することを断られるケースが

増えているという記事です。


2006年に、35歳~44歳で第一子を出産した女性は61,439人。

晩婚化や不妊治療の普及を背景にして増える一方だといいます。


しかし、医療の効率をよくするため、リスクの高い出産は設備の整った大病院にまわされ、

ただでさえ、産科医が不足している状況が拍車をかけて、

“医師不足”のために、産むことをあきらめる人も出ている実態を伝えていました。


医師不足や、リスク回避の方法や、大病院と診療所の適切な分担は、

政策はじめ人材育成や制度改革でもっと知恵を集められるはずです。


しかし、「人の生命を産む」ことは、生身の人間である女性にしかできないこと。

医師を含めて社会全体がそのことを再認識して、「産む」環境をつくることを優先すべきです。


「いのち」を誕生させることに優しくない社会が

「いのち」を大切にする社会になるはずがありません。

保育施設、介護、薬害、非正規労働者の日常、すべての仕組みにつながる話です。


昨年の12月、「ワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針」が決定されています。

http://www8.cao.go.jp/shoushi/w-l-b/index.html


数値目標として、

第1子出産前後の女性の継続就業率を

現状の38%から、5年後には45%、10年後には55%にしていくこと。


男性の育児休業の取得率を、

現状の0.50%から、5年後に5%、10年後に10%へしていくこと。


フリーターを、

5年後の2012年までに、2003年のピーク時217万人から162.8万人以下に、

10年後の2017年までに、144.7万人以下にすること。


週の労働時間が60時間を越える雇用者の割合を

5年後には2割減、10年後には半減させること。

***


「育てる」「働く」ことと、

産みたい人が「産む」ことがつながる社会=いのちを尊重する社会

それが、持続可能な社会の基盤だと思うのです。