ビルマ南部を襲った巨大サイクロンによって、
軍政の国営放送は、死者が2万2464名、行方不明者が4万1千人を超えたと報じました。
「津波」のあと、災害警報システムの連携が国際社会ではかられたはずなのに、
もしも、政府が住民にきちんと警報を出さなかったとすればたいへんな事態です。
出ていたとしても、貧困地域では情報にアクセスできる人々が限られていたり、
避難手段がなかったり、もともと十分な社会資本が整えられていないなど、
人為的な要因から、被害が何十倍も深刻化しているのではないかと想像せざるを得ません。
弱い状況にいる人びとが、ますます生死をせまられる深刻な危機のなかにおかれてしまう・・・
◆ビルマ情報ネットワーク:http://www.burmainfo.org/
ロイター
安全な水、食料、医療品などの国際社会やNGOによる救援体制がこれまで以上に必要なのは
もちろんですが、次から次へと被害地域や規模が拡大していく様子をみると、一方で、
どうしたら、このような自然災害を少しでも減らせるのだろうと同時に考え込んでしまいます。
そもそも、巨大サイクロンの発生が温暖化による気候変動のせいだとするならば、
ほんとうに本気で、一つ一つの国、一つ一つの工場がCO2を減らすにはどうしたらいいのだろう―。
日本社会に、国際社会に、どんなしくみがあればいいのだろう―。
AP
そんなとき、末吉竹二郎さん(国連環境計画 金融イニシアチブ特別顧問)の短い論考を読みました。
◆『CO2 本位制』の時代へ
http://daily-ondanka.com/thoughts/sueyoshi_01.html
「金本位制」ならぬ「CO2 本位制」。
金本位制の時代には金保有高が貨幣の通算発行量を決め、その総体が、結果的に経済活動や
社会活動の大きさを規定してきたけれど、いま、CO2がさまざまなものを規定するようになりつつ
あるとして、EUやアメリカの例や数字を紹介しながら、未来像を提言しています。
2013年以降、EUでは「入札制」を通じて排出枠の獲得を競わせる方針であるとか、
アメリカの大手金融機関が、CO2は「債務」であるという認識で貸出審査を行うと公言したなど、
興味深い。
いま、現場でたくさんの生命が失われている非常事態に、それどころじゃない!と思いつつも、
緊急救援金や物資を届けるだけではもうこと足りない次元まで、影響は及んでいると思うのです。
日本が昨日表明した緊急救援は、たったの2800万円。
5日にアメリカが発表した25万ドルにならったのでしょう。
(ワシントン6日、アメリカは325万ドル=約3億3000万円を緊急支援すると追加発表)。
気候変動の影響を最も受けやすい貧困地域の人びとのかけがえのない生命と、
空気をお金に代えて新しい市場づくりをする金融やビジネス界の巨大な動きと、
わたしたちの日常の行動は、すべてつながっています。
つながりの結果がまとまって「見える」のが、非常時です。
災害の起きた後、一市民として、被災地の緊急救援に協力するのと同じくらい、
異常気象による災害が起こる前に、ふだんから、一消費者として、一預金者として、考え行動する。
もし、あなたが、小さな規模でも一投資家なら、なおさら。
そうすれば、『CO2 本位制』がうむ新しい社会の決まりや価値は、
先進国や企業の単なる生き残りのためではなく、
すべての人が、きれいな空気、きれいな水、安全な食べものを手に入れられるものへと
機能していくのだと思うし、そうさせねばと思います。