稲盛和夫氏の宇宙観(京セラフィロソフィー、サンマーク出版) | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

稲盛和夫氏の宇宙観(京セラフィロソフィー、サンマーク出版)

稲盛和夫氏(京セラフィロソフィー、サンマーク出版)いわく

 

 世の中の現象を見ると、宇宙における物質の生成、生命の誕生、そしてその進化の過程は偶然の産物ではなく、そこには必然性があると考えざるを得ません。
この世には、すべてのものを進化発展させていく流れがあります。これは「宇宙の意志」というべきものです。
(中略)
宇宙に流れている意志とは、すべてのものを慈しみ、すべてのものを愛し、すべてのものを良くしてあげたい、という思いであり、自分だけが良くなろうという意志の対極にあるものです。
(中略)
経営者の心が愛に満ちていれば「宇宙の意志」と同調し、経営は順調なものになるわけです。
(中略)
自分のことは考えずに、みんなが良くなるようにするだけで、果たして自分の会社がうまくいくのかと思われるかもしれません。もちろん、何もただ他人に尽くすことだけやっていればいいということではないのです。

無生物も含めて、宇宙に存在する森羅万象あらゆるものは、一瞬たりともとどまらずに進化発展を続けていると言いました。無生物である素粒子さえ、またどんな小さな生物や植物であっても、生々流転を繰り返し、必死で生きているわけです。同様に、経営者も、自分の会社を立派にするという一点で、誰にも負けない努力を続けなければなりません。
(以下略)

 

実に深い洞察だと思います。

こちらの視点は、稲盛氏が学ばれた松下幸之助氏の哲学にも通じると同時に、さらに遡れば幸之助氏が学ばれた中村天風氏の哲学にもつながっていると感じました。


すべてのものが進化向上し続けている以上、同じところに止まるころはそのまま進化向上から取り残されることになる。組織の衰退は、まさに今までうまくいったことを進化もせずに守ろうとしたときに始まっているのはそのためだったかと肚落ちさせていただきました。たとえ、独占的な地位で競争相手が見当たらないような場合でも、向上し続けることがいかに重要か、稲盛氏の言葉を味わいたいと思います。