人間関係を良くするための処方箋 | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

人間関係を良くするための処方箋

人間の悩み事の9割は人間関係。

 

この比率が正しいかどうかはわかりませんが、私にとっても長い間、人間関係は感情エネルギーを沢山使うことでしたし、今も昔ほどではないものの、それなりに気を使っています(笑)

 

中でも、自分のことが正当に評価されていないと感じる時に、抱く怒りは、結果的に自分のパフォーマンスを下げ、不当な評価を正しかったことにしてしまう危険性があります。

 

これは、親と子、上司と部下のように一方が他方を評価する関係のときに強く出てきます。一人の人間同士として出会うのではなく、役割として出会う場合で、かつ、人生の生殺与奪権が一方にある場合です。極端な例で言えば、奴隷所有者と奴隷。ここまで行くと、おそらく、奴隷所有者は奴隷を人間とは思っていないでしょう。奴隷所有者が否定しても、奴隷はそう感じてしまうはずです。

 

人間の観察力は、基本、危険を避けるために発達してきました。文明に守られていない時代は野獣の影や臭いに敏感に反応し逃げることが大切でした。

 

現代でも、マネージャーが組織の目標達成のために、部下を手段として使ってしまうと、部下は同じように危険を察知します。ああ、この上司は私を人間として扱っていないと感じてしまい、身を守る方向で自分の行動を正当化しようとします。

 

結果的に、仕事に身の入らない部下、言い訳をし、出来ないことを正当化ばかりする部下となるために、今度は上司が自分を正当化する循環となってしまいます。そのような組織では、本来仕事に使われたはずのエネルギーは、自己防衛にかなりの部分を使われてしまい、業績は期待はずれに終わるはずです。

 

怠け者で勉強嫌いの子供を持つ親が、珍しくこたつで教科書を開いているわが子を見つけて、ほめることを忘れて、いつもは勉強しないのに今日はどうしたのとか、ちゃんと机で勉強しなさいと言ったら、子供は教科書を閉じてしまうでしょう。

 

過去の行いを基準にして、現在の行いに対して正当な評価をしないことはそれくらい悪い影響をもつわけです。

 

このような、悪循環を断ち切る唯一の方法は、上司部下、親子、それぞれが人間として改めて出会い、将来に向けてどうするかをイメージすることです。

 

(米ギャラップの調査で、高業績で社員の定着率の高い企業にある2つの特徴が判明しています。それは、①社員が人として扱われていること、②社員が成長している実感があること、です)

 

相手を一人の人間として発見する、そのうえで相手の成長にどう貢献できるかを考える。これこそが人生のゴールデンルールであると思います。

 

世の中の多くの英知は、同じことを指し示しています。アドラー、中村天風、松下幸之助、土光敏夫、ドラッカー、稲盛和夫、、、

 

ただ、感情というものは、手なずけるのが大変なじゃじゃ馬です。おそらく生きている間、怒り、悩み、悲しみから完全に抜け出すことは多くの人間には難しいことでしょう。

 

できることは、立場や役割にかかわらず、目の前の人に人間として出会う訓練を繰り返し行い、感情を手なずけることを習慣化することだと思います。

 

私もこれまで数多くのセミナーや講演、さらには、先哲の教えに接してきましたが、この習慣化という実践手法にまでこだわったものはさほど多くありませんでした。現在まで使い続けている教えは、中村天風氏による天風哲学と、平野秀典氏による表現力の養成の二つです。

 

平野氏によれば、表現力は誰もが元々持っているもので、子供の頃は皆、存分に発揮していたもの。大人になるとともに、周りの目を気にして表現することを遠慮し、ついには忘れがちになっているそうです。

人の喜び、感動を自分自身の喜び、感動にするために、役者が舞台で演じるように、出会った人を共演者ととらえ、相手が笑い、成長できるように自分自身を演じるために表現力を改めて使うと人間関係は大きく改善する。

 

これを私なりに解釈すると、子供の頃は、役割に縛られていないため、どんな人に出会っても人と人との出会いであった。大人になると役割を背負う中で、期待される表現を自分で決めてしまい、それによって評価されることに安住してきた。結果として、名刺が人格化した世界を生きてしまう。

 

平野メソッドを使って、人に出会う(出会い直す)と、お互いがどんな人間だったかが見えてきます。なぜなら、共演者として相手の表現(演技)の中にある話を聞く力(観察力)が高まるからです。時にはその観察力で相手の人生経験まで感じとることができます。面白いことに、相手の人間性や人生経験が見えてくると相手の心に響く表現がそれまでより簡単に出来るようになります。相手も信頼してくれるので、それまで以上に笑顔が増え、人間関係も改善するというわけです。

 

NLPのような確立された手法で分析的にアプローチする方法も素晴らしいですが、実践的で勉強したことをすぐに使えるという意味でおすすめのメソッドです。

 

(ここからは平野氏のセミナー告知です)

 

ご本人のメルマガ等での配信や、私のような過去参加者の口コミだけで11年続いている平野秀典氏の一泊二日の合宿セミナーのご案内です(年間2回しか開催されませんが、若干名お席があるそうです、今年度は今回が最後、次回は来年4月となります)

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