生涯現役という生き方の根底にあるもの、102歳俳人 金原まさ子さん  | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

生涯現役という生き方の根底にあるもの、102歳俳人 金原まさ子さん 


生き甲斐のあることをやっていると、身体の声が違って聞こえてくる。
確かに自分の好きなことをやっていると時間の立つことも忘れ、疲れも感じないという経験をすることは誰しもあると思います。
それを逆説的におっしゃっているのが、100歳を越えてなお現役の金原まさ子さんです。
引用元は例によって、致知のメルマガからです。

(引用ここから)

┌───────今日の注目ワード───────┐

  「疲れているようでは
       本当の一所懸命ではない」
   金原まさ子(102歳の俳家)
     ※『致知』2013年12月号
           連載「生涯現役」より

└──────────────────────┘


――何か、よい俳句をつくる秘訣などが
  あれば教えてください。


それは、すべてのことに一所懸命になるっていう、
そのことに当てはまるのではないでしょうか。


私は俳句を始めてから時間の許す限り、
昔から現代までの高名な俳人の句や評伝を読み、
俳句総合誌も月に5、6冊は読んでいました。
一心でした。


生きることでも、人を愛することでも、
仕事をすることでも、自分の命を続けていくことでも、
そのために一所懸命になる、ということ。


で、そうなったなら疲れませんのよ。
一所懸命にしているのに疲れる。
それは本当の一所懸命じゃないですよねぇ。


――そういう生き方の姿勢が、
  俳句にも表れてくるのですね。


そう思います。
そのくせ、私は「頑張れ」なんて無闇には言えません。
ましてや、若くして重い病気になったりした人に。


末期がんの患者さんが入る病院がありますが、
私、あそこへ行った時に、
何が言えるのだろうかと思っています。


(中略)


「頑張ろう」って励まされて喜ぶ方もいますよ。
だけどその反対に「一緒に苦しもうよ。泣こうよ」って言われて、
安らぐ人もあると思います。


私ね、人間と人間との間で、
思いやり以上に大切なものが他にあるだろうかって思うのです。
相手の気持ちが分かるということ。
それが最高のことじゃないかなぁって。


――いつ、そのように思われたのですか。


私が五十歳くらいの時、主人に、
他の女性のところへ5年ほど
行かれてしまったことがあるんですけど、
私、相手の女の人を恨みませんでした。


主人は自分の意思で
その人のところへ行ったのであって、
「奪われ」るなどということはあり得ないのです。
恨むなら主人だけ(笑)。
そう思うことで平らかな気持ちになれました。


(中略)


私、本を読んで、いいなと思う言葉や文章に出合うと
ノートに書き写すことをしているんですが、
その中に、フランシス・ベーコン
という哲学者のこんな言葉があるんです。


「神を拒む者は人間としての高潔さを失う。
 なぜなら人間は疑いなく
 その肉体によって野獣と同族である。
 そしてもし人間が精神によって
 神に似ていないとしたら、
 卑しく下劣な生き物になる」


私、本当にそう思います。
人間も他の動物たちと同じく、
起きて、食べて、生殖して、死ぬ。


ただ人間の脳は非常に発達しているから、
これをでき得る限りよいことのために
使わなくちゃいけないと。


サミュエル・ウルマンは

「青春とは
 人生のある期間をいうのではなく、
 心の様相をいう」

と詩に綴っていますが、
本当にそのとおりですね。


だから私はいまも、これからも、
ずっとずっと青春を生きていきたい
と思っています。

(引用ここまで)

志高く、尊く生きる。
それを実践するということは、何事にも疲れを感じない一所懸命さが必要なのでしょう。
必要などという言葉を使った瞬間に金原さんからは、わかっていないと指摘されてしまうかもしれませんが(笑)

ベーコンの言葉も沁みます。
この肉体をより良き事の実現のために使う。
最初は決意から始まる人もいれば、
誰かの感謝から始まる人もいて、
入口は沢山あることも知っておくといいですね。

ではまた。