タクシードライバーの心遣い、河合薫氏の日経ビジネスオンライン記事より | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

タクシードライバーの心遣い、河合薫氏の日経ビジネスオンライン記事より

「新・リーダー術」として連載されている河合薫さんの記事です。
今回は最近話題になったJAL機内の赤ちゃんの泣き声に関するクレーム騒動を元に違った角度から分析をされた内容で、ご本人の元CAという経験が活かされている気づきの多い内容です。その部分は是非、本文を見てください。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20121125/239988/?P=4

わたしが関心を持ったのは、次の一節です。

(引用ここから)

 つい先日も、マンション横の一方通行の道で、大きな荷物を持った年配の女性がタクシーを止めた。私の車の前を走っていたタクシーが止められたのだ。そこは多くの車が抜け道として使う道。見る見るうちに私の後ろに車が止まり、ちょっとした渋滞となった。

 ところが、タクシーの運転手さんはおばあさんが乗りやすい、歩道のブロックのないところでドアが開くように車をゆっくりと動かすだけで、車から降りることもなく、歩くおばあさんを待つばかり。

 それに私の乗った車の後ろに続く車のドライバーたちもイラついているのがバックミラー越しに見えていたし、私自身も、「まったくも~。何で運転手さん降りてきて、おばあさんの荷物を持ってあげないんだろう。何なら私が行くか!」と、動かない運転手に少しばかりイラついてしまったのだ。

 すると後ろに並んだ車の中に同じタクシー会社の方がいたようで、その方が突然走って出てきて私たちに向かって深々と頭を下げた。かなり年配の方だった。そして、おばあさんの荷物を持ち上げて手を取り、サポートを始めたのだ。

 それに気がついたのだろう。止まっていたタクシーから運転手さんが慌てて下りてきて、おばあさんの手を取り、やさしくドアを開けておばあさんを乗せた。

 20代後半と思しきかなり若め運転手さん。そして、サポートに入ったベテランの運手さんに促されるように、私たちの方に頭を下げて、車を出したのである。

事態を救ったベテラン運転手の対応
 恐らく後方からベテラン運転手が出てこなければ、クラクションを激しく鳴らす人たちが出てきたことに違いない。きっとそれを聞いたおばあさんは悲しい気持ちになっただろうし、クラクションを鳴らす運転手に怒りを覚える人もいたはずである。

 でも、辛うじてそういった事態にはならなかった。すべては、サポートに入った運転手さんが、真っ先に私たちに向かって深々と頭を下げたから。そして少しでもスムーズにおばあさんが乗れるようと動いたからだ。

 現場力とは、すなわち人間力なんじゃないかと思ったりもする。その場の状況やその場の空気を即座に読み取り、「今、何をすべきか?」の順序づけを判断でき、行動に移せる力。スキルやテクニックではどうすることもできない心を和ませる心の動き。

 時にそれは、「この人に任せておけばいい」という安心であったり、「自分のことをないがしろにしていないな」といった満足感だったりもする。

 もちろん若かろうと何だろうと、人間力の高い人はいるし、逆に年を取っていても人間力の低い人だっている。

 だが、経験からしか人は学ぶことができない側面もあり、不測の事態であればあるほど、経験を積んだベテラン社員でしかさばけない状況ってあるのではないだろうか。

(引用ここまで)

この気づき、現場力とはつまりは人間力という見方は非常に参考になります。
私の経験でも、そういう心配りができる人が多い職場にはいつもお互いをたたえ合い、励まし合う風土がありました。
そして、大抵、みなさんの実績が上がっていました。

心のあり場所がどのように仕事に影響するかを、リーダーの立場に立つ人間は考えるべきです。
そして、自分がリーダーの立場になくても、実際には、やれることは率先してできるかどうかが一人ひとりの人間力として試されているわけですね。

ではまた。