見えないものを観る力の大切さ、松下幸之助氏と稲盛和夫氏 | 生命(いのち)を輝かせる言葉の森

見えないものを観る力の大切さ、松下幸之助氏と稲盛和夫氏

昭和の名経営者の筆頭に名前が挙がる松下幸之助氏。
著作も多いので、経営者のみならず、多くの日本人が彼の影響を受けています。
現代の経営者の中で、突出している経営者のお一人であり、実際に松下氏ともご縁のあったのが稲盛和夫氏です。
それを、思い出したのは、私の中である文章を思い出す日経新聞の記事が出たためです。

(すみません、ある日の日経新聞のコラム、ニュース一言からですが、日付を忘れました。手元のメモからの転載ですので、若干間違っているかもしれません)

(引用ここから)

日航 稲盛名誉会長

多くの日本企業が低迷している。
技術や資金は不足していない。
優秀で勤勉な社員もそろっている。
残念なことにリーダーが企業の力を引き出せていない。

日本航空再建を果たした稲盛名誉会長は日本企業の経営陣は、「財務指標や事業戦略など目に見えるものに気を取られすぎ」と警鐘を鳴らす。
大事なのは見えない社員の意識や企業文化の改革。社員がやる気になる工夫と配慮が必要と説く。

(引用ここまで)

実は、このことを松下幸之助はこのような表現で記されています。

(引用ここから)

経営をすすめるときには、目に見える要因と、目に見えない要因を、共に考えなければいけない。
たとえば製品、技術、工場、手法なども大事にするが、同時に哲学、理念、考え方、心構え、態度なども大事にしなければならないということだ。(松翁論語186)

(引用ここまで)

いかがでしょうか。
見えないものを観る力。
それは、社員一人ひとりが創意工夫することを経営者がどのように引き出すかです。

一番重要な工夫は、松下さんが実行されていたように社員に聞くことです。
社員がアイデアを思い付いた時、大抵はやっていいのか迷うものです。
それをきちんと聞いてやって、社業に役立つなら、褒めてやらせてみることで自立した社員がやる気をもって仕事に取り組んでくれます。
それを松下さんは、衆知経営と呼ばれていました。
経営者が愚人ではいけないが、賢人でもいけないともおっしゃっていました。
それは、トップダウンでは、社員のやる気のような目に見えない会社の財産をすり減らしてしまうことに気づいておられたからです。

JALの再建に取り組まれた稲盛さんも、同様に社員の中に入り、自らの哲学を語り、社員の方の意見に耳を傾けられました。
もちろん、JALについては、これからが経営として本物になったかどうかが問われます。
しかし、お二人の名経営者が見ようとされていたものが、時代を越えて共通していたということは間違いありません。

ではまた。