大河ドラマの昨夜の放送では、太宰府に向かう途中で、瀕死の母に逢うために、 都に戻った藤原伊周に
藤原公任が情け を掛けた姿 が哀れを誘う姿で、描かれていました。その公任が編集したと伝わる『和漢朗詠集』には、伊周の作品が一首収められています。
『和漢朗詠集』は、 公任が漢詩文の名句と和歌の秀作を集めてセットにしたアンソロジーで、10世紀の初めには成立していたものとされていて、自筆本は伝わらない ものの、
公任と 同時代の藤原行成が書いたとされる写本が遺されています。紫式部や清少納言とも同時代の人たちに依る文化の姿を 伝える作品として見事なものと思えます。清少納言の父や祖父が詠んだ漢詩が、白楽天らの漢詩とともに収められていることからは、当時の文化 で評価されていたもののレベルがうかがわれるように思えます。このアンソロジーは、様々な形 で出版されて きたのですが、 私が読んだのは、三木雅博氏による訳と解説が付いた角川ソフィア文庫本です。800編近い作品を600ページ 弱の文庫本に納めたこの一冊は、今読んでおきたい一冊と思えます。
さて、藤原伊周が読んだ漢詩は、この文庫本の332ページの662番に
帥の作品として、収められています。大河ドラマのネタハレにもなりそうですが、観てから読むと
重いようにも思います。公任は、どんな思いでこの歌を選び、行成はどんな思いで写したのかと思うと、考えさせられます。
このテキストで読みました!
1940年に出たテキストの電子版です!
公任の伝記です!
長らくこちらが定番でした!