19世紀イギリスを代表する 歴史家マコーリー(1800~59年)の多芸多才ぶりを示す作品の中から文化史家G.M.ヤングが精選して編んだアンソロジーが、本書です。精選して編んだアンソロジーといっても、ハードカバーで864ページもある重厚な大冊です。

 本書に収録されているのは、次のとおりです。

 ①ヤングによる序文

 ②マコーリーの略歴

 ③マコーリーの『イギリス史』からの11章にわたる抜粋。

→モンマス侯爵の蜂起、七主教事件、ボイン川の会戦、ロンドンデリー包囲戦、グレンコーの 殺戮、貨幣改鋳問題、ダリエン植民計画など、マコーリーの記述の巧みが冴える 部分が、『イギリス史』最終 校訂版から、230ページにわたって選ばれています。

 ④マコーリーの 評論から選んだ9編

→『マキァウェリ論』・『チャタム伯論』・『 クライ ブ論』・『ヘスティングス論』・『ピット伝』・『バイロン論』・『ジョンソン伝』・『効利主義批判 』・『政教分離論』が400ページを 費やして収録されています。

 ⑤マコーリーの演説から第一次選挙法改正案を支持した演説が二つ、インド統治の改革を求めたもの、著作権法改正案を支持したもの二つ、10時間労働法案を支持したもの、アイルランドのカトリック教徒への支援を訴えたもの、公教育の推進を求めたものの合わせて8本の庶民院での議会演説と『インド教育についての覚書』に100ページを割いています。

 ⑥マコーリーの『日録』からの抜き書き→活字化されるのが21世紀に繰り延べられてしまうことになるマコーリーの日録から1840年6月10 日と11日の記事、

枢密院での女王夫妻への襲撃犯への審理 についての記事です。

 ⑦マコーリーの詩集『古代ローマ物語詩』からの抜粋、2編            

 ⑧マコーリーの生前未刊行の詩5編

 詩人としても有名であったマコーリーの手腕を60ページほどに圧縮して示しています。


 このアンソロジーは、歴史家であり、批評家であり、与党ホィッグ党の有力な政治家でもあったマコーリーの才能のほどを良く伝えるために、行 き届いた選択がなされたものと 思えます。  このアンソロジーから 受ける印象は、マコーリーは中道自由主義者の典型的な文人であったというものです。


 

 一応、アマゾンのリストには、載っているのですが、入手は難しいかもしれません?