『らんまん』がとうとう最終週に入りましたね😄

 牧野富太郎さんの生涯をモデルに神木隆之介さんと池辺美波さんを主人公夫妻に見立てて一回あたり15分のドラマを130回積み重ねて描いてきた物語が、 いよいよ終わろうとしています。そして、この最終週は、松坂慶子さんと宮崎あおいさんが牧野富太郎さん没後のコレクションの整理に取り組む光景を外枠として牧野博士夫妻の晩年を

描いています。レビュアーの中には、松坂さんと宮崎さんの出演をサプライズに仕立て、1回15分で 済ませることができるお話しに最終週をまるまる費やしてしまうのはあざといのではという 趣旨の批判をなさっている方々もいらっしゃいますが、それは、いささか違うように思えます 。

 個人が 作り出したコレクションを後の世の人たちが利用できる型で遺すのは、非常に難しいうことなので す。大学などの研究機関の常勤の教職員でいらした方々が収集されたコレクションを亡くなられた後も、利用することが可能な形で保管するということは、大学などの研究機関の図書館や収蔵庫が物理的な限界に達していることもあって、困難になっています。自治体の図書館に 蔵書の寄贈を申し出ても収容能力を限界を理由に断られることがあたり前になっています。

 コレクションを収集された方ご自身が整理する意志を持たれていても、整理できないままになってしまうことは稀ではありません。お亡くなりになった後、遺族の方々が整理しようとしても、呆然とするだけで、手に着かないまま未整理のまま年月だけが過ぎていくということも、ありふれたことになっています。地震や風水害で潰れてしまった倉庫などに保管されていたコレクションの保管場所を見つけることは、現在の大きな課題になっています。牧野博士のコレクションは、牧野家での整理の後、東京都立大学、高知県などが収蔵先となり、池長家に生前贈与されたものは、神戸の南蛮博物館の基礎となり、牧野家の跡地も植物園がある展示施設に変わっています。また、以前に触れられていた南方熊楠も個人を記念した記念館が複数設けられています。この他、個人のコレクションを母体とした記念館の類は、各地に設けられているのですが、経営の危機に瀕し閉鎖を余儀なくされているものも増えている由です。

 『らんまん』の最終週が、コレクションの整理の問題を扱っているのは、コレクションを抱えてしまっている人たちにとって切実な問題との取り組み方を手がかりを与えているようで、ありがたく思えます。

 なお、『らんまん』のドラマの中で、植物採集を行っている場面が少ないことを批判されている方々もいらっしゃるのですが、自然災害や戦災、あるいは開発によって、採集を再現することが不可能になっている場合や採集を再現することが環境破壊を意味している場合が多いことを配慮すると、無茶な要求をされているように思えます。

 いろいろ考える役に立ちそうな 本をpickしておきます!