ぶらり立ち寄った本屋さんで、何気なく手に取った本。
とくに関心を持っていたわけじゃない。
たくさんある本の中で、目にとまったんです。
大々的にコーナーができているわけでもなかった。
裏表紙のあらすじを読んで、戦争の話なんだと知る。
この時期に目に留まったのもなにかの巡りあわせだろう。
お盆休みは実家に帰るし、新幹線の中で読むのもいいし
向こうで時間があるときに読むのもいいか。
それくらいに思って、この本を買いました。
小学生の時から、戦争については何度も話を聞いてきた。
「戦争はしてはいけないもの。」
ただ、漠然とした考えだけは持っていました。
「何で?」なんて深く考えることはしてなかったと思います。
だって、考えるまでもない。
たくさんの人が死んでいった。悪い事以外の何物でもないでしょ?
失われた命の数に注目してたんだろうと思う。
でも、数からは戦争は見えないんだと気付いた。
失われた命の一つ一つにはその人達の
人生、感情、家族があった。
その人達の家族にもそれぞれ
人生があり、感情があった。
私たちの国だけじゃない、敵対した国や戦争に関係した国、巻き込まれた国
それぞれの人々に、それぞれの人生、感情、家族があった。
それがある日突然なくなってしまった。
失ったものが大きすぎやしないでしょうか?
あまりに広すぎて、大きすぎて
私のキャパを簡単にオーバーしてしまう。
特攻隊に焦点があるんだけれど
文中の言葉を引用すれば、「百死零生」の攻撃。
びっくりするくらい冷たい言葉です。
生き残る可能性が全くない攻撃です。
飛行機に乗り込んだ全員が同じ気持ちだったかといえば
それは、今となってはわかりませんが、
もし、わたしであれば、飛行機に乗り込む事に
自分の命の終わりを納得し、受け入れるのに理由が必要です。
飛行機に乗り込む彼らが選んだ理由は
「故国を守るため」と言いながらも、本質は「大切な人達を守るため」だったと思います。
この本以外にも、もう何冊か戦争についての本を読みました。
特攻隊員の残した遺書。何人かは
「国があるから、家族が生きていける。だから国を守らなければ」
と、言ったニュアンスで記してあります。
戦国を生きた武将、直江兼続の言葉に
「国の成り立ちは、民の成り立ちをもってす。」とあります。
私は、こっちの言葉のほうが好きだし、その通りだと思います。
たとえ、何かの天災で日本という国が破壊されても
そこに私たちがいれば、なんとか再興することができます。
人がいれば、またそこに国ができると思うからです。
国が続くためには、そこに住む人が大切なんだと思うのです。
だけど、特攻隊員の遺書は逆です。
戦争は特攻隊を見てもわかるように、人が大切にされませんでした。
「人ありきの国」ではなく「国ありきの人」であった為に
戦況が悪くなってからも、延々と戦争は続けられてしまったのでしょう。
特攻隊員の思想が悪いというつもりではありません。
そういう時代で、そう思うことが要求されていた時代だったという事。
そういう時代だったからあまりに大きな犠牲を出してしまった。
戦争では、たとえ勝ったとしても、何を得ることができるのでしょう?
失ったものであれば、たくさんあがると思います。
前述の直江兼続の言葉を真理とするならば
戦争で、日本は日本を失ってしまったといえます。
戦争は
権力や階級、出世欲といった私欲、部下を見捨てての上層部の遁走
戦争が終わったら、命がけで戦ってきた兵は戦犯と罵られたり等
人間の醜い部分やずるい部分があり
一方では
家族愛、恋人への愛、生への執着との葛藤
自分は死んでも、大切な人にはこれからの人生を幸せに生きてほしいと願う人もあり。
時代に立場にそれぞれある中で、どれが正しいのかはわからないけれど
結局は、誰が幸せになれたんだろう。
誰一人として幸せになれないもの。それが戦争だと思います。
戦争は、「かわいそうだから」「とおいとおい昔話でしょ?」という様な理由で
遠ざけてはいけない負の歴史です。
二度と繰り返してはいけないものです。
そのためには、戦争はどんなものか、私たちは知らなければいけないと思います。
戦後日本が、一転して戦争批判に変わり
兵士たちを戦犯と呼び、冷遇したこともありました。
その時の周囲の状況に流されるのではなく、
物事を知り、自分たちで考え、行動することを怠ってはいけません。
「永遠の0」の話に戻りますが、
話は「宮部久蔵」の人生を辿る形で展開していきます。
「生きて家族のもとに帰る。自分は死にたくない。」と発言し
軍人らしくない。臆病者だと周囲からは思われるけれど
決してその気持ちを隠すこともあきらめることもしなかった。
それは、口には出さない、意識もしていないことかもしれないけれど
心の奥底には誰もが思っていたこと。
「生きて帰る」という感情を自分のものとは認められず、
宮部へ嫌悪感をあらわにするもの、尊敬し憧れるものと様々。
どんな部下にでも、尋ねられれば時に命の大切さを説く宮部。
戦後、何十年も経ってわかることだが
宮部が優しく打ったものは、関わった者たちの心に響いていた。
家族を大事に思う宮部は日本兵だけでなく
敵国の兵士にも家族がいることを重々承知しているが
「戦争とは殺しあいだ。」
と冷静に見ている部分もあり、地獄のような日々であったと思う。
この極限の状況で、自分の命だけでなく人の命も同様
大切に思っていた宮部は、自分だけが助かるチャンスを掴むという選択はできなかった。
読んだ後、虚しさだけしか残らなかった。
実際に経験したわけじゃない。
今回、読んだのも戦争のほんの一部。
戦後、世界も目を見張るような勢いで復興、成長した日本。
(あまりに多くの犠牲の上の復興、成長だが…)
平和を願い、貧しい国の状況の中、日本を立て直した先人の
平和への願いを未来へつなげていく責任が今を生きる私たちにはある。
