テントに薪ストーブをインストールすると屋外は氷点下であっても暖かく過ごすことが出来ます!しかし薪ストーブとは?どんなストーブなのか?を理解せずに安易にテント内で使うと危険が伴いますので知識と理解を深め安全に楽しく使いたいですね?
※ テントで使う薪ストーブの選び方。
昔は選択肢が少なかったのでホンマ製作所か新保製作所の薪ストーブを選ぶことが多かったのですが、今は様々なメーカーから発売されてますが大きさは40cmの長さの薪が入る物をおすすめします。(キャンプ場などで売ってる薪の多くは40cmが多く奥行きが短いと1本1本切断しなければなりません)
・薪ストーブの種類
★一般的な物(本体を組み立てる必要が無い箱型や時計型、卵型などでキャンプ用薪ストーブに一番多いタイプで様々な大きさ、材質、形のものがあります。)
★組み立て式(本体薪燃焼部分を指します、箱型の物が多く材質も様々でメリットは収納サイズが小さくなるので積載に制限がある場合に便利です、デメリットはセットアップと片付けに一般的な物より時間がかかる事、気密性が低い為組み立て部分から酸素が入ってしまうので調整がしにくくなります、また薄い鉄板やステンレスを使った物は歪みによる隙間が出やすく、厚い鉄板の物は通常の薪ストーブより遥かに重くなるものが多いです。)
★シリンダー式(煙突を含めても1.5㎏程で軽量コンパクトなチタン製、組み立てに時間はかかますし耐久性も低いですが徒歩や自転車などの移動でも薪ストーブが利用出来ます)
・荷物の積載に問題が無いのなら容量が大きい薪ストーブのほうが連続燃焼時間が長く、煙突が106mmなど太いほうが詰まりにくく火の粉の飛散も少ないので幕へのダメージの心配が少ないので初心者でも使いやすいモノが多いです、材質は低温時でも遠赤外線の放出量が多い鉄製のほうが温かいのですが、耐久性や錆などに強いステンレス製も多く販売されて軽量なチタン製なども販売されています。
・薪ストーブの材質についてはステンレスやチタン製はどうしても鉄に比べると特に低温だと遠赤外線の放射量が少ないのでストーブを幕外や出入り口を開放して使用した時に体感できるほど暖かさに差があります、これは以前に鉄製の時計型薪ストーブから同型でステンレス製に変えた時に違いを感じ、後に金属によって遠赤外線の放出量の違いを知り様々なストーブにステンレス製が少ない理由が分かりました、でも薪ストーブの場合高温で使用するのが一般的で同じ位の温度でも鉄製の40~60%程の赤外線量を得ることが出来、熱に強いステンレス製は鉄製より高温で使用することが出来る物もあるので燃費は落ちますが材質によるデメリットを多少は補えます、寝る時など長時間薪をゆっくり燃焼させたいときなどは鋳鉄製や鉄製のダッチオーブンやスキレット、銅のケトルや鉄瓶などを加熱することで薪ストーブが低温になった時に補うことは可能です。特に鋳鉄製の物は冷めにくいこともあり家庭用の本格薪ストーブに鋳鉄製のものが多いのも頷けます。
・煙突の太さと長さについては太いほうが遅い排気速度で多くの量の煙が排気できるので火の粉の飛散を抑えられ温度も細い物ほど高温になります、長さについては基本横1縦2以上の長さですが縦方向が長ければ長いほど煙突効果によるドラフトが高くなり煙の逆流リスクが下がります、また煙突を断熱すれば短い縦方向の長さでより多くの煙突効果を得られます、煙突トップにしても理想はH型やT型のほうが抜けが良く詰まりにくいので薪ストーブの性能を生かすも殺すも煙突の取りましや煙突トップ形状次第という感じです。
・機能面では、耐熱ガラスの窓があった方が燃焼してる薪の状態が把握出来てお勧めで、吸気口が付いていて調整が出来る物、排気面でも煙突ダンパーを付けられる物のほうが薪ストーブの温度管理が楽で燃費良く暖房効率を上げる為の調節が出来ます。
・調理での使いやすさはステンレス製だと先の事でもわかるように鉄製のほうが使いやすいかな?と思われる方もいらっしゃると思いますが、確かにホイルに包んで直にストーブ乗せたりするならそうですが、天板に羽釜やダッチオーブンやスキレット、フライパンなどを使う時に直火焼が出来る【組蓋】がついてるかどうか?で大きく変わってきます!下の写真でもわかるように鍋の大きさに合わせて直火に出来る直径を変えられるようになっていて手前で湯沸かし奥で調理など家庭で使う事を前提に作られてる物は、熾火状態なら網を置いて焼肉なんか出来ちゃうのでとても使い勝手が良いです。また、大きいから運搬が…と思われるかもしれませんが中は空洞で煙突や用具を収納出来る為工夫次第ではセダンでも薪ストーブをキャンプに持ち込むことは可能です。
※ 火事の危険性…テント内での火気の使用は厳禁です!自己責任で火気を使用する場合は強風でもテントが倒壊しないようにしっかりペグダウンしてガイロープを張り絶対にストーブなどの火気と可燃物が接触することだけは避けなければなりません!無論幕内の可燃物や地面の草などにもストーブなどの熱で燃えないように配置しなければ危険です。(後で説明しますがテント選びも重要になってきます)
※ 薪ストーブと一酸化炭素中毒について…テント内で火を使うとまず心配なのが【一酸化炭素中毒】です。通常液体燃料ストーブや炭、練炭などを燃やした際に不完全燃焼などにより発生する無色・無味・無臭の有毒気体の事でニュースでも事故などが良く報道されてますね?ではどういう時に不完全燃焼が起こるのかと言うと、酸欠、機器の不具合などが一般的ですが炭練や炭、薪などは不完全燃焼状態で燃焼してると言っても過言ではなく、常に多く一酸化炭素を排出していますのでテント内で火を使う場合は信頼性の高い一酸化炭素警報機をセットしたほうが安心です、また石油ストーブも芯が古くなっていたり汚れてたり、ほこりやゴミなどにより酸素が正常に送られず不完全燃焼となり一酸化炭素が大量に発生したりします。換気をすることにより空気を入れ替えれば一酸化炭素もテント外に排出するわけですが、寝てる間に換気はできないので安全の為、ストーブは消して寝るのが原則ですが…
では、薪ストーブの場合はどうなのか?と言うと、当然薪を燃やしてるのですからどんなに燃焼効率がよくても一酸化炭素は大量に発生します、しかし発生してるのは薪ストーブの中で、煙突効果によって煙突を通って煙も一酸化炭素もテントの外に排出されますので正しい使い方をしてればテント内に一酸化炭素が充満する危険性は理屈では低いです【酸素>薪ストーブ>一酸化炭素>煙突>テントの外】という形になりますが、気を付けなければいけないのが空気(酸素)がテント内からどんどん薪ストーブに吸い込まれるので気密性の高いテントの場合(酸欠)になってしまうことがあります。(実際酸欠によりキャンドルの炎が消えた事があります)もっとも通常テントは気密性が低く、薪ストーブによって吸排気されればテント内の内圧が下がり外気が隙間から入ってくるので常に換気されてるのと同じ状態です。(家庭で換気扇を回すと気密性の低い場所から外気が入ってくるのと同じです)
しかし、薪ストーブを使っていても一酸化炭素中毒になる可能性はあります…【煙突から煙が逆流した時】に煙と一緒に薪ストーブ内の一酸化炭素がテント内に充満してしまいます(もっとも煙が充満するので臭いなどで逆流してるのはわかります)では主にどういった状態で煙が逆流するのか?を説明したいと思います。
1.煙突が雨や外気で冷やされ煙突効果が下がった時(特にストー
ブの温度が下がってる状態だと起こりやすいです。)
2.煙突が煤などで詰まり排出できなくなった時…【最初はうまく燃えて
たのに急に燃えにくくなったとか煙が逆流してくる】という方の多くに
煙突トップが詰まってる方が多いです。特にスパークアレイスター
の穴が小さかったりするストーブで良く乾いてない薪、特に針葉樹
を燃やすとすぐ詰まる場合があります。
3.風圧帯(風が障害物にぶつかり渦まいて発生する高気圧帯)によ
る煙の逆流
4.煙突の高さ(縦方向の長さ不足)【横1に対し縦2以上】
5.1と被りますがストーブ本体の温度が上がっていない
では?具体的にどうしたら煙を逆流させることなく燃焼効率を高め効率よく薪を燃やし煙突から効率良く排気することが出来るのか?ですが…
・ 煙突を高くし、更に冷やされないようにし断熱する事でより煙突
効果が高くなり効率良く排気される。
・ 煙突が詰まらないようにする(排気効率が良いものを利用)
・ 良く乾燥した薪を使う(乾燥してない薪を使うと温度が上がらない)
・ 煙突出口周辺に障害物がないか確かめる
…などの対策をすることで効率よく薪を燃焼させスムーズに排気することが出来ますが…燃焼効率が良すぎても薪ストーブの温度も非常に高温になり危険ですし結果効率よく暖房する事とは全く意味が違ってきます。
確かに燃焼効率を上げればガンガン薪が燃えるのですから薪ストーブも高温になり真っ赤になって煙突も真っ赤になります!同時に輻射熱によって人を含むテント内全ての物体が暖められるので当然テント内温度も上がり暖かいのですが薪も短時間で燃え尽きてしまい、幕の内圧も下がってるのでどんどん冷たい外気も幕内に入ってくるため幕内温度もすぐに下がりますので、燃焼効率が良く燃費が悪い割に暖かく無いと言う結果になります。
・以下の写真にある非接触温度計(2000円前後)を使って温度を計って薪ストーブ管理するのも使い慣れるまでは手だと思います。
では、【燃費良く安全に効率的に暖房するには?どうしたらいい?】
薪ストーブは先の事から燃焼効率を上げてガンガン燃やせば多くの酸素を吸気して薪を燃やし排気されます、当然幕内気圧が下がるので冷たい外気が大量にテント内に入ってくるので暖められた空気はどんどん入れ替わってしまいます(燃焼効率は良くてもエネルギー消費に対しての暖房効率は悪くなるのです)結果【短時間で薪が燃え尽きてしまう】というような事態になります、理想はストーブ本体の温度が高く、煙突の温度は低くという状態だとストーブ内の温度を保ちつつ排気で熱が無駄にテントの外へ排出されていない状態を作り出せてる感じです。
※【煙突ダンパー(排気調整弁)】の活用!
薪ストーブのセットによっては標準装備されてるものもありますが多くはオプション設定だったりします、これは排気(排熱)量を調整することで煙突からどんどん逃げてしまう熱を制御することで薪をゆっくり燃やしながら暖房効率を上げるのにとても有効です!
・ 全てのセッティングが終わり換気されるようにテントの出入り口を開けダンパーと吸気口を全開にしてから薪投入口を開けて火を入れると最初は幕内に多少の煙が出ますが、着火を確認したら投入口を閉め少しするとストーブ内の温度が上がるため煙突効果で煙突から煙が出てきます、吸気口を全開のままにしておくと次第に薪が激しく燃え更にストーブ温度が上昇して煙突効果が高まります、投入口を開けても煙は煙突から排気されてるのでテント内に煙が出てくることは無いので必要なら追加で薪を投入します、薪全体に火が回って熾きが出来る頃には完全燃焼してる状態に近いので煙突から排気される煙は黒から次第にほぼ無色に変わっていくと思います(白い煙が出てるようだと薪が乾いてない証拠です)この状態で吸気口を絞っていくと煙突の排気についていこうと吸気口が狭くなるに従い強い気流で吸気口から酸素が入り轟音と共に薪の炎が激しく排気口に向けて舞います…ここでダンパーの出番です!ダンパーを徐々にゆっくり閉めていくと排気が少なくなるので激しく舞っていた炎が緩やかに舞うようになります、吸気と排気をうまくコントロールして燃焼効率と暖房効率の丁度良い塩梅に調整出来れば暖かく燃費の良い状態で燃焼させることが出来ます、逆にうまく調節出来ていないと煤煙が多く発生し最悪煙が逆流してしまいます。(完全燃焼してる状態とは違い煙突からはこの時煙は出ます)
またダンパーを使用する時の注意点は【投入口を開ける時は必ずダンパーを全開にする】ことが重要で閉めたままだとドラフトが抑えられてるので煙がテント内に入ってしまうことがあります。
・ 薪ストーブ投入口などに耐熱ガラスが使用される薪ストーブでガラスに煤が付き、酷いとガラスが真っ黒で中がほとんど見えない状態になることもありますがストーブ内温度が上がれば煤も燃焼されるので次第にガラスが透明になり薪の燃える様子が綺麗に見えるようになります!何時まで経っても煤でガラスが真っ黒な場合は排気や吸気に問題があったり薪が乾燥してなかったりでストーブ本体内の温度が上がってない状態ですのでここでいくら吸排気を調整しても理想的な暖房効率は得られません
・ 私の場合最低気温が氷点下10度以下になる事が予想される時は寝る時も燃やし続けてます、その時使ってる薪ストーブの容量でも変わってきますが概ね6時間後に薪を投入すればすぐ暖まるように熾きが残ってる状態を目標にしてます、乾燥を防ぐためと翌日すぐお湯が使えるように銅製の大型ケトルに水を入れてストーブに乗せておいてまず、十分幕内を温め熾火が十分ある状態で、火の粉が少なく、熱量が高く、燃焼速度が遅く、太く割った良く乾燥させたクヌギやナラなどの薪を一杯にくべて火が回ったところで調整してから寝てます、容量の少ない薪ストーブの場合は火持ちの良いオガ炭などの白炭を併用するのも手で明け方寒くて目が覚めても炭が少しでも残ってれば薪を投入すればすぐに暖まります。あと幕内を暖かく保つには薪ストーブを配置する場所も重要です!テントのなるべく中央に配置したほうが輻射熱によりテント内の多くの物が暖められるためテント内全体が温かくなりますしそばにダッチオーブンなどの鋳物の鍋などを置いておくのも効果的で、暖められた空気は必然上部に溜まるのでファンなどで下部に送ってやるのも効果的です。
・ ストーブの種類や容量、燃やしてる薪の乾燥度合いや種類や太さ、煙突の長さや太さ(太ければ気流が遅く火の粉が煙突の外に飛びにくく(低温)、細ければ速く火の粉が飛びやすく(高温))煙突の温度などなど様々な要因が重なり合って吸気をどのくらいで排気をどの程度に調整すれば良いとは一概に言えません!逆を言えば試行錯誤しながらの調整こそが薪ストーブを扱う上での要であり楽しさの一つでもあると私は思いますし、薪ストーブを理解して使い慣れてしまえば難しい事ではありません
※私的に思う薪ストーブをインストールしやすいテント
先に話した気密性の問題なども考慮すると…理想はもしも倒壊した時や煙突から飛んだ火の粉で穴が開きにくい(燃えにくい)生地で通気性があってベンチレレーター装備のもので、熱源でもある煙突の大部分をテント内、縦に配管出来て煙突が出しやすい形状で暖房効率を高めつつ煙突効果を下げない為に室内の高さを確保しつつも風に強テントは?なんだろう?(長っ)って考えると私的に【綿や混紡生地のワンポールティピー型テント】ではないかな?って思います。
以下の写真は20年ほど前のものですが過去に居住性が高く広いロッジ型やスクリーンタープなどにも薪ストーブをインストールしてきましたが…風に弱く、横出しが基本になるのでストーブ近くは高温になる煙突の断熱や煙突を出す部分のテントの加工が面倒ですし設営も大変で荷物も多くなり大がかりでした。
※薪ストーブでサイトに落ちてる倒木や流木は使えない?
良く乾燥された薪は良く燃え暖く使いやすいですが、キャンプ場などのフィールドには意外と倒木や流木などが沢山落ちていて拾って自由に使える場合が多々あります、懐にも優しくフィールドも綺麗になりますしなにより現地調達ってなんかロマンがありませんか?海外の動画などでは生木を薪ストーブで燃やしてたりしますよね?結論から言えば「使えます」但しいくつか条件があります。
・煙突トップはなるべく使わない(メッシュの物は絶対使わない)これは少しでも排気効率を上げる為で大量の煤や水蒸気とともにタールも発生し詰まってしまうからです。
・ダンパーを使わない(タールが大量に発生しますし排気効率を少しでも上げたいからです)
・煙突を横引きせずに幕内に多く配管して高くする(屋外に多く出てると煙突が冷えて煙突効果(ドラフト)が下がるからです、また横引きすると煙突のつなぎ目から大量のタールと木酢液が滴ります。)
・吸気を基本絞らない(ようは燃費だのなんだの考えずとにかくストーブの温度を下げないように効率よく吸排気させて燃やす事が大事になります)
・・・無論薪ストーブの性能によっても燃やす薪が広葉樹か?針葉樹か?木の種類によっても変わってきますので上記は今まで現地調達で薪ストーブを使ってきた経験なので全てに当てはまるわけではありませんが参考にして頂けたら幸いです。
※最後にここまでお読み頂きありがとうございます。
非常にダラダラと長く読みにくく書き殴ったような文章で申し訳ありません…本当はまだまだたくさん書きたいことがあるのですが…Q&Aで良く聞かれるもので此方にざっとまとめて思いのままに書いてみました。
気が向いたら追々編集していきたいと思います。









