「ねぇねぇ知っている?こうやって街中ですれ違う人も出会う人も全部決まってるんだって」笑顔な彼女と上の空の僕。あの時何も考えてなかった彼女の笑顔はいつか画面の中でただ僕を見つめてる。

 

2018年9月。横浜駅騒がしいホームは気が付くと君の声をかき消す。ただ僕が聞きたくなかったのか。元からこうなることが決まってたのか。君が僕に笑いながら話したときから思ってた。僕たちの未来は決まってるのか。考えてたことはただ"ふたり"が寄り添う背中。誰も正面から見ようとしない。

 

懐かしい思い出が胸をぎゅーってするし、騒がしい音が言葉を急がせる。君を始めて最寄りまで送ったあの日、間違いなく僕と君はお互いに"ふたり"じゃなくても良かった。でも、ただなんとなく気が付くと肩を寄せ合い並んでいた。電車がガタンッと揺れる度に鼓動が早くなる。手をいつ繋ごう、いつ目を見つめよう、半分こしたイヤホンから流れる音楽なんて聞こえない。

 

「3番線海老名行きドアが閉まります」駅員さんのアナウンス。「まこちゃんが教えてくれた曲にもこんな歌あったよね。あのバンドね好きになったの。始めて"ふたり"が電車で帰った日聞いた曲覚えてるよ。」

「最初から全部決まってるの本当だったんだね」

「え?」

 

2022年8月。「嫌なことも忘れたいことも全部忘れられます。」僕にとっても大切な曲。あの時は言えなかったけど今なら言える気がする。「ありがとう」