それがよくドラマとかで目にすることの多い意識を失わせる薬品を染み込ませたハンカチかどうかなんて今更確認のしようがないのですが、とにかく私は「ソレ」で口を塞がれた。
急速に薄れゆく意識の中で私は必死に自分に言い聞かせたのです。

「眠ってはいけない！」

そして思い切って目を見開く。

・・・。

ああ。
夢だ。
いつもの変な夢。
「夢の中で寝る」という夢、その過程も含めて嫌な汗が額をつたう。

（めヲアケナケレバあタシ　ハどうなってイタダロウ）

壁時計を見上げると、綺麗な「Ｌ」の字を確認。

午前３時。

この覚醒に意図がないならば薄気味の悪い偶然なんて焼け付く渇きとともに飲み込んでしまえばいい。

私は浮浪者よろしく立ち上がりキッチンで立て続けにコップで2杯水道水を呷る。
下手に旨い水より落ち着くのはそれだけ人間が単純に出来てないって証明なのでしょうか。

パシ・・・ぺし・・・パシぱシ・・・・ぺし・・・。

幾らか落ち着いた鼓動に同調するかのような異音が廊下から鈍く響き応なくそれを再び速める結果に。

見え透いた恐怖が私の両手を握りしめる。

（こノいえにハじ　ぶンイガイダレモいナい）

目を背けたい事実を引きづり、私は恐る恐る廊下に首を出しましｔ

えっと。

確認しますと。

ニコールキャットマン（略称ニコ）（猫１６歳♀）が廊下をタップしておりました。

近づいて家主たる私は脳内でシンクロし会話を試みてみたのです。

まこ「えっと、こんな夜中に何してるのでしょう？」

ニコ「まーお（見たらわかるやろ）」

まこ「すみませんわかりません」

ニコ「まーお（よう見てみい）」

ニコの足元に微かに蠢く不快な造形。

まこ「ムカデ・・・ですね、大きな、気持ち悪いです」

ニコ「まーお（せや、動かんようなるまで痛めつけとるわけや）」

まこ「そおだったのですか、もういいですよ、片づけておきますので」

ニコ「まーお（ワレ、アホか。まだ動いとるやろ、虫の息やけどな、虫だけにｗｗ）」

まこ「・・・寝ますね。朝片付けます」

ニコ「まーお（起きたついでや、ちゅーるもってこんかい、ちゅーる、ちゃおちゅーるや、気がきかンのう、ワレ）」

何か無性に腹が立ったので放置して床につきました。

あいつはしばらく飯抜きだ。

Ｆｉｎ.

午前3時のオブ