智さんを隣に乗せての運転は、

最初こそ緊張もしたけど

慣れてくると落ち着いてきた。






その理由は…やっぱり智さんの態度…








「ふぁ~!」と大きなアクビをしたり、

窓の外の景色や建物に反応して

色々話してくれたり…






とにかく、お喋り大好きな恋人を

隣に乗せてドライブデートをしている気分。







智さんの話しに相槌を打ったり、

それに答えたり。






こんなこと…思い違いかもしれないけど…






智さんが凄く楽しそうで…






そんな智さんを見ているだけで俺はもう…

幸せで胸がいっぱいになっていた。










「お!あのスーパーな!」






「了解~」





「…んふふ。」





「ん?」






智さんをチラッと見ると…







「…なんか…翔とは…ずっと前から

友だちだったみたいだなって。」






「智さん…」






「…あ!ごめん!」





「えっ…?」






「…いや…その……」






「智さん…?」







「あ!あそこ空いた!」





「え?」






「ほら!入口の真ん前!そこ!そこ!」





「あっ!」








ちょうど車が出ていって

駐車するスペースが空いた。





そこへ車を停めた。










さっき…智さんは

なにを言おうとしたんだろう。






咄嗟に謝ったりしてたけど…

それもどうして?







確か…俺とずっと前から

友だちだったみたい…





そんなことを言っていた…






それって凄く嬉しい言葉なのに…

どうして謝ったりしたんだろう。








智さんだけそう思っていて…

俺は思ってないって感じたから?






そんなことない…






こんな風に親しくしてくれていることも

嬉しいし、自然体の智さんを見れることが

何よりも幸せだと感じる。









こんな関係がずっと続けばいいのにって…

俺は本気で思っているけど…







智さんも同じように

そう思ってくれているんだろうか…。







たまたま…ソロキャンプに嵌まった俺に

親切にしてくれているだけなのかなぁ。









俺…智さんのことが好きだけど…

これ以上欲深くならないようにって

思っている。







前みたいに…キスでもしようものなら…






またきっと突き放されてしまうから…







智さんの気持ちを無視して

暴走しないようにしないと…
















「よしっ!行こう!」






智さんが荷物を持とうとした…






「俺が。」





「え!」






荷物を持って歩き出すと…







「…智さん?」






「…あ!なんでもない!」






「どうかしました?」








「……いや…その…」







やっぱり智さん…どことなく歯切れが悪い。






すると…







「…こんな風に…荷物を持ったり……

今までと違うことに若干戸惑う…」







「…智さん……それって…」








「……比べたりして…ごめん。」







智さんが気まずそうに苦笑いをした…。