フーミンさん(懐かしい名前;;)


コメント有難うございました。もう見ていらっしゃらないかもしれませんが・・・。


下記の記事は、確か去年の九月、PCが全て消去される前に、


「誕生日に、さらしてみよう」


というイベント(?)で、先取り登録してたので、


PCが動かない状態で勝手に公開(さらし物)になっていました。



1年ぶりですが、そんなことでした><




すっかり放置してました。


PCが壊れて、そのまま放置→仕事を始めてそのまま放置→MMO(ネットゲーム)初めてそのまま放置



この三段ステップで放置でしたガーン



パスワードを忘れた気がしたんですが、いくつか試したら開きました。




もう忘れ去られていると思うけど、チマチマ書こうかな。


昔書いた短編が、バックアップファイルから出てきた。

馬鹿なことを書いたものだ。

せっかくだからアップしてみる。

でも、期待しちゃ、駄目よ♪



゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆



『肉は腐りかけが一番美味い』


 どこかの本に書いてあった。殺してから数日間熟成させると、何とか成分が出てきて、旨味を引き出すという。

 なるほど、熟成すれば美味くなるのか。

 と言うことは、目の前にあるコレも数日間熟成させれば……。


 現実逃避は止めておいた。

 

 どうしたらいいものか。

 箸を握りしめながら、目の前のものを眺め続ける。

 何か手があるはずだ。


『そうか、香りだ』

 

 幸い、すり潰されたニンニクが用意されている。俺は大量にそれを摘み上げると、中へとぶち込んでみた。
 立ちのぼる湯気に、たちまちその芳香が混じり始める。

『ほぁら、やっぱり』

 俺はニヤリと笑みをこぼしながら、スープをすくい上げた。


 ところが、舌先にその液体が触れた途端、俺の期待は落胆の海へとダイブする。

『何だ、何が足りない?』


 何もかも。


 そう答えてしまえば全てが終わってしまう。俺は必死に調味料の入れ物を睨みつけた。

『そ、そうか』

 一つの香りに全てを託そうというのが、そもそもの間違いだった。ニンニクだけでは荷が重すぎたのだ。<忍辱>と書いてニンニクと読む。堪え忍び、恨み辛みを言わないという語源のニンニクだけど、援軍を入れてやればきっと喜んでくれるだろう。


『やっぱりここはコショウだろうな』

 料理本でも<最後に塩コショウで味を調える>と書いてあるじゃないか。つまり、味の大願成就はコショウなしでは有り得ないと言うことなのだ。
 俺は銀色の入れ物と手に取ると、思いを込めて振り続けた。
 たちまちスープの表面に細かな粒が広がり始める。湯気に混じる香りも、『ニンニク・コショウ・コショウ・コショウ・ニンニク』と訴えているようだった。


『完璧だ!』


 しかし人生には完璧など早々にやってこないことを、俺は次の瞬間思い知った。

『くそぉ、俺はなんてバカなんだ』
 香りだけで全てが丸く収まるなんて思うのは、ただの甘えだ。
 味には濃淡というものがある。深みも必要だ。
 だがこのスープには、その全てが足りなかった。
『やっぱり醤油か?』
 今でこそソイソースなどと呼ばれて世界中に広がっているが、本来は醤油の良さが分かるのは日本人でしか有り得ない。この体のどこかには、きっと紫色の液体が流れているはず。その上、醤油には大豆ペプチドが含まれている。何かは知らないが、きっと素晴らしい成分だろう。むろん俺予測だけど。


 それなのに俺としたことが、浮気心を起こしてしまっていた。

 ここに来た時、俺は事もあろうに味噌を選択したのだ。きっと、それが根本的な間違いなんだろう。むろん味噌にも謎の大豆ペプチド成分が入っているとは思う。原材料は同じだしな。しかし、味噌味噌と喜ぶのは愛知県民ぐらいだ。むろん愛知に怨恨はないが。

『男は黙って醤油、だな』
 醤油差しを手に取ると、俺は詫びを入れるつもりで、味噌色スープを醤油カラーへと変えていった。
 しかしここで味見をして、同じ失敗はしたくない。
 幸い、俺の前にはまだアイテム(調味料)が幾つか残っていた。
 まずは酸味に酢を加える。
 更にこれでもかとラー油をぶち込んだ。両方ともスープ用ではないが、使うなという法律はどこにもない。

『あと残るは七味か』
 ここにこれが置いてある意味は分からないが、きっと自分で味を何とかしろというサインだろう。
 そう思った俺は、七味の瓶に手を伸ばす。


 すると、俺の手をむんずと掴む奴が現れた。小説で言うなら、起承転結の<転>だ。

 恐る恐る顔を上げる。
 そこには、怒り心頭に発した様子で俺を見下ろすオヤジが一人。


「お客さん、うちの味が気に入らなきゃ、食べなくてもいいんですよ!」


 オヤジは唸るような声で、そう言い放った。



 超薄味ラーメン屋は、オヤジの髪も超薄型だった。ついでに言うなら客入りも超薄系で、チャーシューも極薄品。この場所で唯一濃いのは、オヤジの顔だけだ。


「き、気に入らないなんて言ってないですよ」
「だったらそのスープの色は何だ? せっかくの京都風味が台無しだ」


 京都人に謝れ!


 そう言い返したかったが、気の弱い俺にはとても無理。

 なので、代わりに「俺、大豆ペプチド風味が好きなんで」と、意味不明なことを呟いた。


「大豆ペプチド風味だ?」

「ええと、つまり、あの、簡単に説明しますと、つまり、味噌と醤油のタグマッチ……っすかね」


<誤魔化す>と書いて、ごまかすと読む。当て字だそうだ。
 なんてことはどうでもいい。それに、意味不明すぎて誤魔化しにもなってないし。


 ところが、オヤジはと円らな瞳を輝かせた。


「おおっ、なるほど」


 納得するのか!?




 数日後、そのラーメン屋の入口には、

『大豆ペプチドラーメン始めました』

 という紙が貼り付けてあった。
 向上心とチャレンジ精神にあふれたオヤジらしい。
 言い方を変えれば、切羽詰まっているとも……。


 俺はと言うともちろん入ったりはしていない。飛び込みで入ったラーメン屋に落胆するのは、もうこりごり。

 今回の教訓はやっぱりコレだろう。


『ラーメン屋は潰れかけが一番マズい』


 けど、ランチに教訓はいらないから。