叫びたかった。

「誰か、助けてよ…!」って。

でも、ずっと言えなかった。


何でだろう。

本当はしんどいはずなのに。

本当は泣きたいのに。

「大丈夫」って笑ってる自分が

もうクセになってた。


あの日もそうだった。

ちょっとでもミスすると

「どうして?」って言われる。


「わかってるよ…でも、こっちだって限界なんだよ」

そう言いたかったのに、飲み込んで。


「甘いものでも食べないと、倒れそう…」

それくらいギリギリだった。


帰宅して、バッグの中をガサガサ探る。

ずっとそのままにしていた、懐かしい顔の缶詰を見つけた。


開けると、見慣れたクッキーの中に

ひと粒だけ、氷砂糖が入ってた。


「え? なんで氷砂糖?」

ちょっと笑った。

でも、不思議と惹かれた。

最初はただのカリッとした塊。

口の中でゆっくり溶けていくうちに、

じわじわと広がってくる甘さに、

急に涙がこぼれた。


「あ、やばい……」


なんで泣いてるのか、

自分でもよくわからなかった。


でもその時、

ふっと思い出した。

子どもの頃、夏祭りの夜、

母が「熱中症予防になるからね」って

冷蔵庫から取り出してくれた氷砂糖。


その優しい味と、母のぬくもり。


「あの頃の私、もっと頼ってたな」

「甘えること、できてたな」


今の私はどうだろう?


涙は止まらなかった。

でも、それは「もうダメだ」の涙じゃなかった。


「まだ、間に合う」

そんな気持ちだった。


見えないけど、

ちゃんとそこにいてくれる。

いざという時の、私の味方。


甘さって、逃げじゃない。

「今の私、がんばってるよ」って自分に伝える手段だ。

氷砂糖は、あの時の私にそう教えてくれた。


あなたにも、あるかな。

口に入れた瞬間、

涙が出るくらい優しい味って。

言葉じゃない方法で、自分を癒すって

ときにはすごく大事なことかもしれない。


叫ぶかわりに、そっと甘さを口に含む。


それだけで「大丈夫」と言える力が、

また、じわじわと戻ってくる。



そっと寄り添ってくれる

何かがある。


それを、どうか見失わないでいてね。